人生に疲れた女と殺人鬼の愛欲の末路

栗菓子

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名前のない女

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わたしに名前は無い。 
勝手にキリルという男が暗号名で蝶花と言ってるけど、わたしはもう精神的には異様に年老いた枯れ果てた花。
ドライフラワーだ。

死人の花だ。生気はない。冥府の花だ。

わたしを気に入っている男たちはみんなどこか壊れている。 生きていることに執着している奴や生気が溢れる奴は
わたしには眼中にない・・嗚呼無意識にわかっているんだ。彼らとわたしは違う世界に居るんだって・・。

わたしはなんとなく暗殺部隊にも棲み分けというのがあった。まだ若く生気があるやつは、すっかり闇に浸った奴らを警戒する。そこまでいったら底なし沼に沈む感覚があるのだろうか?

わたしにはわからない。わたしは唯、受け入れただけだ。
ユンという主人を。それを取り巻く世界を。わたしは淡々と生きるふりをする。

目はとうに死人の目をしているだろう。わたしの目は濁っているだろうか。光差さない目になっているのだろうか?

わたしにはわからない。わたしは時々自分の顔がのっぺらぼうに見える。

少しユンと言う主人といる時だけがわたしを犬のような顔にさせる。

わたしは本当に愚かな無知な犬のように見えているだろう。わたしの見えない尻尾はユンだけに振っている。

嗚呼ご主人様だというように嬉し気に振っていることだろう。

わたしは自分を俯瞰的に見ることができる。 無知な犬もわたしの一部なのだ。

ユンはわずかに苦笑しながら、わたしという奇妙な犬を見つめて撫でる。嗚呼気持ちが良い。

ここまで墜ちると人間は気持ち良さを求める。嗚呼もっと撫でてほしいなあ。

わたしは犬だ。ユンのための畜生だ。

わたしはなるべくしてここまで墜ちてきたのだ。わたしには後悔はない。

ユンという主人の元で仕えるだけ。愚かな愚かな犬のような奴隷として仕える。


これ以上の果てがあろうが・・わたしにまともな感覚はとうにない。

唯麻薬のように、ユンに盲信して、この世界を金魚のようにすいすいと泳ぎ続けるだけだ。


嗚呼ユンも気の毒に。わたしのような女に憑かれてしまった。

ごめんね。でももう少しこの余興のような人生を楽しませてね・・。

愛してるわ。わたしの愛しい主人ヨ。貴方だけは裏切らない。


唯わたしはわたしという人生のショーを演じているだけヨ。それにはユンがどうしても必要なの。


わたしの世界にはユンと言う主人が真ん中にいるのだ。

ユンの世界の真ん中には誰がいるのだろうか?ユンだけかしらん。他にもいるのかな。

だとしたらもっと興味がある。

わたしはいつかユンの世界を覗きたい。嗚呼まるでわたしはユンのストーカーだ。




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