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第19話 アクタの第2の加護
おかっぱの幼女神はしばらく黙って考えていた。
しばらくして意を決したように、アクタに告げた。
『アクタよ。この3日ぐらい歩いた先にとても強力な神様の祠がある。しかし、その祠はとても危険なものでもある。大抵のものは気づかぬ。強力な結界が張られているからの。
その祠に居る神様は神界の中でも指折りの力を誇る強力な神様じゃ。でも人間嫌いなんじゃよ。迂闊に喋ったり、何か粗相をしたら、あやつの逆鱗を喰らうことになる。ひょっとしたらしばらく石化されるかも・・。しかし上手くすれば強力な加護をもらえる。お前のどうしても探したい犯人や醜い奴らや、鍵の謎も暴かれるかもしれん。』
アクタはしばらく神様の言うことを聞いていた。
そしてかつてない真剣な顔で神様に呟いた。
「行きます。行かせてください。」
アクタも知っていた。こんな無力な自分が何か強力な力がないと、到底犯人も探すことも叶わないと解っていた。
それには危険を冒しても手に入れなければならない加護は必要なのだ。
アクタは既に覚悟を決めていた。おかっぱの幼女神は優しくて良い神だったけど、今回の神はとても怖い神様かもしれない。代償になにか望まれるかもしれない。
それでもアクタはあえて危険を冒す。
もうこんな自分は嫌だったからだ。
黙って、荷台を運んで歩いて、犬と猫も何かを察して心配そうにアクタを見ている。
アクタは嗚呼・・ごめんよと無理に微笑んだ。
彼らにはわかるんだな・・とアクタは思った。
まさかこんな危険な冒険をするとは思わなかった。一生を「金継ぎ師」として凡庸な人生を送ると思っていた。
幸運にも神様やお姫様に会ったおかげで、アクタは救われた。しかし己の無力さも無価値さも思い知らされた。
『アクタ・・ここ。ここじゃよ。』
おかっぱの幼女神は、何もない空間、岩だけがある場所を指し示した。
「神様・・俺には見えませんよ。」
アクタは苦笑しながら、近寄った。 するとビリっと電流が奔ったようにしびれた。
け、結界とやらだ。これは・・。アクタは瞬時に理解した。
『●△×~※#^=』
おかっぱの幼女神はなにかアクタや人間にはわからない言葉を喋った。
すると、ギイイと透明な壁が消え、岩が二つに割れた。
中には、おぞましいものがいた。アクタには悪霊としか思えない醜い異形の姿。 木が無数に集まってよじれたような身体。漆黒の空洞の目。嗚呼‥神様よりとても怖い神だ。存在価値が重い感じがする。
『岩の主を。お久しぶりでございます。突如の訪問をお許し下さい。我が寵愛するこの者が、貴方様の加護を必要としております。敵を探し滅ぼしたいという渇望を抱いております。哀れな寵子にお情けをお与えください。』
いつもどこか超然としているおかっぱの幼女神も跪くほど、この神様は位が高いらしい。
神力がビリビリとアクタにしびれるほど伝わってくる。
アクタは恐ろしくて顔を伏せて土下座した。
思い切って、叫ぶように懇願した。
「岩の神様。お願いいたします。どうしても許せない奴らを倒したいのです!この心を抑えきれないのです!
何とぞ、この愚かな男に加護をお与えくださいませ!」
『ア、アクタ!』
珍しくおかっぱの幼女神があたふたしたが、何も起こらなかった。
岩の主はしばらくアクタの伏せた姿を見ていた。
『・・そなたの耐えがたい心。虐げられた自分と、他の命に報うため、醜きやつらと犯人を捜したい強い気持ちが伝わった。よかろう・・・。だが代償は必要だ。』
『代償がある分、より強力な加護を与えることができる。お前は何を差し出す?お前が助けた犬と猫の命か?』
アクタは驚愕した。何を言っているかわからず一瞬頭が真っ白になった。
『なにをなにをおっしゃいますか。神様・・。できません!あれらは俺が救った命です。 俺の命を差し上げてもいいです。あいつらに報復することができるなら!』
アクタはかまわなかった。どうせ殺される命だった。ならば自分の命を代償にすればよいのだ。
『・・よかろう。そなたの右目をもらおう。片目さえあればなんとか敵の姿もみえよう。』
不意に木の枝がアクタの右目を貫いた。壮絶な悲鳴が上がった。
枝の先端にはアクタの右目があった。しゅるしゅると岩の主は右目をべちゃりぐちゃりと喰らいながら。
『・・・ほお。これは美味じゃ。美しい魂の味じゃ。良い子を持ったのお。家の主よ。』
くくっと岩の主は嗤った。とてもとても怖い神だった。
アクタは気を失う前に、強力な加護が全身に施された事を悟った。
力が奥底から熱く燃え盛るような感覚を感じる。激痛と共に、アクタは体のかつてない高揚感を感じた。
アクタは耐えきれず、気絶した。葉のような形がアクタの右目に焼き印のように押し付けられていた。
『・・これは代償と共に加護を頂いた証でもある。』
嗚呼・・これが本当の神様と人との格の違いなんだ。やはり供物が必要なんだ。
アクタは薄々気づいていた神の本質の裏に気づいた。
おかっぱの幼女神にも聞きたかった。神様・・あんたも代償に何かを要求したことがあるのかい。
いつか聞いてみたい・・。
アクタは深い眠りについた。
犬と猫とお姫様が心配そうにアクタを見ていた。
おかっぱの幼女神はどこかすまなそうな顔をしていた。
しばらくして意を決したように、アクタに告げた。
『アクタよ。この3日ぐらい歩いた先にとても強力な神様の祠がある。しかし、その祠はとても危険なものでもある。大抵のものは気づかぬ。強力な結界が張られているからの。
その祠に居る神様は神界の中でも指折りの力を誇る強力な神様じゃ。でも人間嫌いなんじゃよ。迂闊に喋ったり、何か粗相をしたら、あやつの逆鱗を喰らうことになる。ひょっとしたらしばらく石化されるかも・・。しかし上手くすれば強力な加護をもらえる。お前のどうしても探したい犯人や醜い奴らや、鍵の謎も暴かれるかもしれん。』
アクタはしばらく神様の言うことを聞いていた。
そしてかつてない真剣な顔で神様に呟いた。
「行きます。行かせてください。」
アクタも知っていた。こんな無力な自分が何か強力な力がないと、到底犯人も探すことも叶わないと解っていた。
それには危険を冒しても手に入れなければならない加護は必要なのだ。
アクタは既に覚悟を決めていた。おかっぱの幼女神は優しくて良い神だったけど、今回の神はとても怖い神様かもしれない。代償になにか望まれるかもしれない。
それでもアクタはあえて危険を冒す。
もうこんな自分は嫌だったからだ。
黙って、荷台を運んで歩いて、犬と猫も何かを察して心配そうにアクタを見ている。
アクタは嗚呼・・ごめんよと無理に微笑んだ。
彼らにはわかるんだな・・とアクタは思った。
まさかこんな危険な冒険をするとは思わなかった。一生を「金継ぎ師」として凡庸な人生を送ると思っていた。
幸運にも神様やお姫様に会ったおかげで、アクタは救われた。しかし己の無力さも無価値さも思い知らされた。
『アクタ・・ここ。ここじゃよ。』
おかっぱの幼女神は、何もない空間、岩だけがある場所を指し示した。
「神様・・俺には見えませんよ。」
アクタは苦笑しながら、近寄った。 するとビリっと電流が奔ったようにしびれた。
け、結界とやらだ。これは・・。アクタは瞬時に理解した。
『●△×~※#^=』
おかっぱの幼女神はなにかアクタや人間にはわからない言葉を喋った。
すると、ギイイと透明な壁が消え、岩が二つに割れた。
中には、おぞましいものがいた。アクタには悪霊としか思えない醜い異形の姿。 木が無数に集まってよじれたような身体。漆黒の空洞の目。嗚呼‥神様よりとても怖い神だ。存在価値が重い感じがする。
『岩の主を。お久しぶりでございます。突如の訪問をお許し下さい。我が寵愛するこの者が、貴方様の加護を必要としております。敵を探し滅ぼしたいという渇望を抱いております。哀れな寵子にお情けをお与えください。』
いつもどこか超然としているおかっぱの幼女神も跪くほど、この神様は位が高いらしい。
神力がビリビリとアクタにしびれるほど伝わってくる。
アクタは恐ろしくて顔を伏せて土下座した。
思い切って、叫ぶように懇願した。
「岩の神様。お願いいたします。どうしても許せない奴らを倒したいのです!この心を抑えきれないのです!
何とぞ、この愚かな男に加護をお与えくださいませ!」
『ア、アクタ!』
珍しくおかっぱの幼女神があたふたしたが、何も起こらなかった。
岩の主はしばらくアクタの伏せた姿を見ていた。
『・・そなたの耐えがたい心。虐げられた自分と、他の命に報うため、醜きやつらと犯人を捜したい強い気持ちが伝わった。よかろう・・・。だが代償は必要だ。』
『代償がある分、より強力な加護を与えることができる。お前は何を差し出す?お前が助けた犬と猫の命か?』
アクタは驚愕した。何を言っているかわからず一瞬頭が真っ白になった。
『なにをなにをおっしゃいますか。神様・・。できません!あれらは俺が救った命です。 俺の命を差し上げてもいいです。あいつらに報復することができるなら!』
アクタはかまわなかった。どうせ殺される命だった。ならば自分の命を代償にすればよいのだ。
『・・よかろう。そなたの右目をもらおう。片目さえあればなんとか敵の姿もみえよう。』
不意に木の枝がアクタの右目を貫いた。壮絶な悲鳴が上がった。
枝の先端にはアクタの右目があった。しゅるしゅると岩の主は右目をべちゃりぐちゃりと喰らいながら。
『・・・ほお。これは美味じゃ。美しい魂の味じゃ。良い子を持ったのお。家の主よ。』
くくっと岩の主は嗤った。とてもとても怖い神だった。
アクタは気を失う前に、強力な加護が全身に施された事を悟った。
力が奥底から熱く燃え盛るような感覚を感じる。激痛と共に、アクタは体のかつてない高揚感を感じた。
アクタは耐えきれず、気絶した。葉のような形がアクタの右目に焼き印のように押し付けられていた。
『・・これは代償と共に加護を頂いた証でもある。』
嗚呼・・これが本当の神様と人との格の違いなんだ。やはり供物が必要なんだ。
アクタは薄々気づいていた神の本質の裏に気づいた。
おかっぱの幼女神にも聞きたかった。神様・・あんたも代償に何かを要求したことがあるのかい。
いつか聞いてみたい・・。
アクタは深い眠りについた。
犬と猫とお姫様が心配そうにアクタを見ていた。
おかっぱの幼女神はどこかすまなそうな顔をしていた。
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