ゴミの金継ぎ師

栗菓子

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第7話 はるの未来 

はるは、アクタを愛してはいなかったが、少しは夫婦としての情を持っていた。
しかし、下級とはいえ武家としての嗜みと教養を受けて居たはるは、アクタの職人としての技量を素晴らしいと思っていたが、ずっと夫婦である未来がなぜか浮かばなかった。

閨でもそうだった。何かが、アクタとはるは合わないと神様が言っているようだった。

お互いに心が通わせたくても通わせない。すれ違いがあった。見えない距離があった。

はるの武家としての誇りがそうさせたのか?いや、アクタ様も十分に素晴らしいお方なのに?

はるには訳が分からなかった。だんだんアクタ様には心に思い人が居ることも分かるようになり、はるは少し心が痛んたが、強い女ゆえ、それを出すことはできなかった。

そんな時、アクタ様が真剣な顔で、はるとこれからの将来について話し合おうと言った。

話しあっているとき、この方は、女である私を軽んじない。それどころがお互いの未来について話し合っている。

薄々気づいていることもなにもかも真剣にアクタは話しあった。これこそが本当に夫婦の会話かもしれないとはるは思った。

そして、はるは自分が、男より強い運をもっているんじゃないかと思っていたことがある。
はるは、父にも言われたように、男性的な面が強いとよく言われていた。
アクタ様とは釣り合いがとれないのでは?もっと女性的な嫋やかな女性がアクタ様に相応しいのでは?


はるは薄々己の性格、気質、運の強さを鑑みて、アクタ様にとって悪妻になりえるかもしれないと危惧も抱いていた。
はるは男の運を喰らう気性に生まれたと父は見抜いていた。

はるは、父性的な社会で、精進し、高みを目指すのが性にあっている。


その通り、はるは、とある武家の嫡男や、次男などの優秀な厳しい教育係として活躍をして、みるみる教え子たちは、はるの考えて創り上げた教育法によって、目覚ましい成長をした。
はじめは、子どもたちもこんな女が?と侮っていたが、学ぶうちに、己たちが、よりよく、剣や勉強についても上達していく過程によって、尊敬の目ではるを見るようになった。

全ては、はるの並々ならぬ修練と努力の賜物であったが、ここまできさせたのは、アクタ様と父上の勧めだった。

はるの教え子は優秀な武家の有望な人達と、周囲にも知れ渡る様になった。

彼らを引き抜きたい上の方も多くなった。彼らは成長して、上司に多大な貢献をした。

上司でさえも目を瞠るほど、優秀であった。
その上司はその教育係のはるに目を付けて、もっと上の階級の子どもの教育係に推薦した。

はるはこれも運命と受け入れた。不出来な愚鈍な子と周囲からは出来損ないと侮蔑されていた子だが、はるは上手くしたら、良くなるかもしれないと、体質改善のため、健康な食事と、適度な運動。どこかがかけている面があるか医者のように丹念に調べ上げた。どうも何かが足りない用で頭が上手く回らないらしい。

はるは、仕える子の父上に、嘆願した。
「どうやら、何かが足りないようでうまく頭が回らないようです。ある程度食べ物で体質改善はできますが、この場合専門的な薬師や医者は必要です。わたくしだけでは手に負えません。
どうか、調べさせていただけないでしょうか?」

高名なはるの言う通り父親は、子どものために名医や薬師を寄越した。
どうも、青魚料理や、何十種類の薬草をすりつぶした漢方薬が奇跡的に効果があって、その愚鈍と呼ばれた子どもはみるみる聡明になっていった。いままで不自由だったのが、一気に吸収するように、彼は勉強を綿のように脳に吸い込んだ。

彼は天才と呼ばれるようになった。多くの斬新な発明でその家は発明の特許で莫大な利益を上げた。

これには子どもの父親も、嬉しさの余り、天にも上る気持ちであった。
はるは、多額の謝礼金と、うなぎのぼりの出世街道を歩んだ。着実にはるは、高みに昇っていった。

はるは思った。これがわたしの運命だったのだ。

アクタ様も父も薄々分かっていたのだろう・・。

はるは彼らが幸福になることを祈った。




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