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第15話 婚姻
『夢の託宣』と真理子の証言は見事に一致しており、意外と信仰深い両親は、これも神様の導きだろうと思い、せっかく格上の貴族の家にやって幸福に生きるだろうと思っていた安和子は、砂上の楼閣のように淡く儚く、無責任な夫の罪業によって、死んでしまった・・。
人生は儚い・・。どれほど、親が子供のために考えても、予期せぬ事態が起きる。
今、こうやって疎開しているのも、運命だ。
『無価値な者達の反乱』は大きく拡大しているらしい。 多くの貴族は恨みが深い家程襲われている。
兄一臣は下賤な者どもが・・必ず復讐してやると怨嗟していたが、両親は、安和子に関しては、夫が原因だと解っている。
その良心の呵責もあってだろうが。両親は割とすんなりと、アクタと言う男と可愛い真理子との婚姻を承諾した。
この時代だ。たぶん大きく、変化するだろう。多くの犠牲者の血を伴って、社会は色々と昔には戻れないだろう。
聡明な彼らは既に予測していた。 では、どうせなら前世から慕っている男の嫁にしたほうがいい。
満知子は、しかるべき家へ政略結婚させよう。家の生存を図るために、より有利な勢力に加担する権力が或る家の方が良い。満知子も、この時代の動乱をわかっているはずだ。そのために幼少の頃から淑女教育をしてきた。
兄の一臣は、しばらくより権力を持っている家に奉公させた方が良い。
一種の鍛錬だ。なにかを見極めたり、どこの勢力が動くかよく解る家の方が良いだろう。
両親はそこまでよく吟味して考えて、真理子は神様の言う通り、アクタに差し出した。
その方が、真理子も喜ぶだろう。いざとなったら力を貸してくれるかもしれない。
そんな下心もあって、真理子とアクタの婚姻は両親の祝福も頂いて、晴れて結婚できることになった。
真理子は唯、純粋に喜んで、泣いて「ありがとう・・!お父様。お母様。嬉しいです!」
両親に子どものように抱き着いた。 「これ・・真理子や、もう大人になったのだから・・。」と母親は苦笑いをしながらも母親として抱きしめた。父も父親として、娘の幸福を祈って抱擁した。
これが最後の両親と娘としての抱擁だ。
これからは真理子はアクタと言う男の嫁になって、もしかしたら母親になるかもしれない。
これも運命だろう・・。両親はもう、安和子の死や、反乱などで運命の変化や儚さ、無情を味わった。
満知子は、敏感に家族の心情を察知して、かすかに羨望を抱いた。
これから満知子は、家のために、生き延びるために、どこかへ人質のように嫁すだろう。
結婚相手は見知らぬ相手だ。それでも満知子は、運命に人生に立ち向かわなければならない。
満知子は真理子が羨ましかった。神様のお墨付きで、慕っている男と結婚できるのだ。
だが、すぐに満知子は思い直した。わたくしとしたことが・・。わたくしはわたくしの道を華やかに美しく生きなければ・・。妹は妹の道が或る。
人にはそれぞれの道が或ることを忘れていたわ・・。覚悟を決めなければね。
一臣も微妙な顔で、両親を、真理子を眺めていた。あの方も複雑な気持ちなんでしょうね。
仕方がない。わたくしたちは家のために自分のために戦いに行くのだから・・。
安和子お姉様も可哀相に。運が悪かったのね。でも、安和子姉様がちゃんと夫の動向や、手綱をとっていてくれたら
こんなことは起きなかったかも知れない・・。嗚呼駄目ね。 今更・・。安和子姉様が無責任な夫を手玉にとれるはずはない。あの方は残念ながらおっとりとした貴婦人として育てられたから・・。
わたくしは安和子姉様の死を学んで、夫の動向や、怪しい動き、誰と交際しているのかよくわかるように子飼いの密偵が欲しい。 一臣兄さまに頼んでもらおう。
わたくしも自衛のために、無知なお姫様ではいられないのだ・・。
満知子はそう学んだ。利用できるものはなんでも利用しなければいけない。死ぬかもしれないから・・。
満知子とて死は怖い。悪女にならなければ生き残れないかもしれないと危惧を抱いた。
人生は儚い・・。どれほど、親が子供のために考えても、予期せぬ事態が起きる。
今、こうやって疎開しているのも、運命だ。
『無価値な者達の反乱』は大きく拡大しているらしい。 多くの貴族は恨みが深い家程襲われている。
兄一臣は下賤な者どもが・・必ず復讐してやると怨嗟していたが、両親は、安和子に関しては、夫が原因だと解っている。
その良心の呵責もあってだろうが。両親は割とすんなりと、アクタと言う男と可愛い真理子との婚姻を承諾した。
この時代だ。たぶん大きく、変化するだろう。多くの犠牲者の血を伴って、社会は色々と昔には戻れないだろう。
聡明な彼らは既に予測していた。 では、どうせなら前世から慕っている男の嫁にしたほうがいい。
満知子は、しかるべき家へ政略結婚させよう。家の生存を図るために、より有利な勢力に加担する権力が或る家の方が良い。満知子も、この時代の動乱をわかっているはずだ。そのために幼少の頃から淑女教育をしてきた。
兄の一臣は、しばらくより権力を持っている家に奉公させた方が良い。
一種の鍛錬だ。なにかを見極めたり、どこの勢力が動くかよく解る家の方が良いだろう。
両親はそこまでよく吟味して考えて、真理子は神様の言う通り、アクタに差し出した。
その方が、真理子も喜ぶだろう。いざとなったら力を貸してくれるかもしれない。
そんな下心もあって、真理子とアクタの婚姻は両親の祝福も頂いて、晴れて結婚できることになった。
真理子は唯、純粋に喜んで、泣いて「ありがとう・・!お父様。お母様。嬉しいです!」
両親に子どものように抱き着いた。 「これ・・真理子や、もう大人になったのだから・・。」と母親は苦笑いをしながらも母親として抱きしめた。父も父親として、娘の幸福を祈って抱擁した。
これが最後の両親と娘としての抱擁だ。
これからは真理子はアクタと言う男の嫁になって、もしかしたら母親になるかもしれない。
これも運命だろう・・。両親はもう、安和子の死や、反乱などで運命の変化や儚さ、無情を味わった。
満知子は、敏感に家族の心情を察知して、かすかに羨望を抱いた。
これから満知子は、家のために、生き延びるために、どこかへ人質のように嫁すだろう。
結婚相手は見知らぬ相手だ。それでも満知子は、運命に人生に立ち向かわなければならない。
満知子は真理子が羨ましかった。神様のお墨付きで、慕っている男と結婚できるのだ。
だが、すぐに満知子は思い直した。わたくしとしたことが・・。わたくしはわたくしの道を華やかに美しく生きなければ・・。妹は妹の道が或る。
人にはそれぞれの道が或ることを忘れていたわ・・。覚悟を決めなければね。
一臣も微妙な顔で、両親を、真理子を眺めていた。あの方も複雑な気持ちなんでしょうね。
仕方がない。わたくしたちは家のために自分のために戦いに行くのだから・・。
安和子お姉様も可哀相に。運が悪かったのね。でも、安和子姉様がちゃんと夫の動向や、手綱をとっていてくれたら
こんなことは起きなかったかも知れない・・。嗚呼駄目ね。 今更・・。安和子姉様が無責任な夫を手玉にとれるはずはない。あの方は残念ながらおっとりとした貴婦人として育てられたから・・。
わたくしは安和子姉様の死を学んで、夫の動向や、怪しい動き、誰と交際しているのかよくわかるように子飼いの密偵が欲しい。 一臣兄さまに頼んでもらおう。
わたくしも自衛のために、無知なお姫様ではいられないのだ・・。
満知子はそう学んだ。利用できるものはなんでも利用しなければいけない。死ぬかもしれないから・・。
満知子とて死は怖い。悪女にならなければ生き残れないかもしれないと危惧を抱いた。
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