大輪の花火の輪

栗菓子

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第20話 寄付

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わたしの人生を救った団体は、よくわからないけど、多くの人の寄付で成り立っている団体らしい。

わたしはそんなに良心的な人がいるんだとほっこりしたものだが、明日は我が身かもしれないと思った人が、いざという時の避難施設や保護施設を存続させようと必死に寄付するひともいるんだよと皮肉気に、団体で働いている女の人が嫌らしく笑ったのには少し厭だった。

でも一時は金を持っても、すぐにあぶく銭のように消えてしまう人は多いらしい。
大抵は、詐欺や、田舎などあちこち放浪する癖があったり、何か問題に対応できない人もいるらしい。

せっかく貯めても、何か家族との問題に巻き込まれて全てを失った人も居る。

老親の介護で一生を潰した子どもや、転職などでなにか失敗した人も居る。

お金や株の運用に失敗したひともいるようだ。

人生はいきなりなにかあると狂う人が多い。人の脆弱さと運命に翻弄される人がなんと多い事か。

その再起のためのてかがりとなるための一つの試みた団体らしい。ここは。


わたしはああなるほどと納得したものだ。それはそうだ。必要とする者が多いとこの団体はできなかっただろう。

なかには怪しい悪徳詐欺で寄付を横領して正しく運営していない団体も多かった。

わたしの頼った団体は良心的で、しっかりと経営運営がなされていた。
それには数学や、金の流れに詳しい専門家など必要だろう。

ちゃんと、金の流れが寄付した人たちに説明会も行われていた。

豚汁は栄養価が高いことで、一日一膳で 朝、配給されていた。
ちゃんと丁寧に作られていて、これならプロのどこか店でも通用するんじゃないかと思う位の湯気が立った美味しさだった。
豚の甘味とこんにゃくの染み込んた味。根菜の味が味噌で混在として、身も心も消耗しきったわたしにとっては心温まる食べ物だった。

冷え切ったからだが一気に温まり腸が喜んでいるようだった。

おにぎりなどパンも配給されてわたしは贅沢だなと思った。お金がある時は何も感じなかった豚汁が、身も心も冷え切ると一気にご馳走になるのだ。


おにぎりも手慣れた人が塩と海苔で調理されていた。
バナナなど果物も配給されていた。

これは嬉しいだろう。弱者にとっては。わたしも弱者だから喜んで受け取った。

中には変な自尊心をもって拒否して、餓死寸前の状態に陥った人も居る。世の中にはいろんな人もいるものだ。

わたしは相談会で、資格とかとれる仕事に必要な事とか色々と教わった。
わたしは女優の仕事などでお世辞にもまっとうな仕事は言えない。
だけど世の中には、看護師とか介護士とか水道に関する修理の資格とか色々な業種の仕事があるのだと解った。

働きながら、資格を取る人も居るらしい。生きるために必要なことは何でもした人がいるようだ。

なかには後ろ暗い仕事もあったらしいけどわたしはあえて沈黙した。

ここは生きるために創られた団体なのだ。

余計な詮索はかえって禁物だ。 わたしは暗黙の了解や色々学んだ。



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