大輪の花火の輪

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第30話 神様はどこかにいるかもしれない

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時々、神も仏もあったもんじゃないと思う位の受難にもまれる時代や、死にたいと思った時もあれば、狂乱の時代もあった。

でもね。本当に時々、神様が私の身体を借りて利用しているんじゃないかと何か仕組まれているんじゃないかとあまりにもタイミングが良い時があるんだ。


例えば、わたしが太っていたとき、高いエスカレーターを使っていたの。

わたしの一段や二段前には、お父さんらしき若い男と、幼い男の子が手を繋いでいたの。

嗚呼・・いいなあとなんとなし眺めていたら、いきなり男の子が手を離したと思ったら、わたしの元まで転んできたの。太ってて良かったよ。


まるでバリゲートみたいに私の肉の身体で子どもはこれ以上落ちるのは避けられた。

その瞬間を目撃した時、わたしはマスク越しにワアアと叫んでいた。


柔らかな子どもの身体は潰れなかった。わたしの身体に触れたよ。痛みは無かったみたい。良かったよ。

神様・あんた。心臓が止まるような瞬間はやめてください。


お父さんが慌てて、わたしに謝ってちゃんと再び手を繋いで男の子を立ち上がらせたよ。

傷は無かったけどひやりと背中に戦慄が走ったよ。


わたしの後ろにいる人も驚いた目でほっとしたように眺めていたよ。

もう良かったと安堵の空気に満ちていたよ。しばらくエスカレーターがトラウマになるほどだった。

考えてみたら、駅などのとても高いエスカレーターは子どもには危険だよね。

今更ながらに思い知ったよ。 ましてや大人がいきなり心不全などしたら倒れて、ドミノ倒しに怪我をする人が増えるかもしれない。今までが奇跡だったんだ。

だんだん足が悪くなったり、おかしくなっている人が多くなったよ。

これは予兆なのかなとも思った。


だって同じ日に、タクシーから降りた女の人が転倒して、倒れた瞬間見たもの。ワアアと叫びそうになった。

バスが目と鼻の先に動いていたから。幸い女の人はすぐに立ち上がって安全なところへ走ったよ。


1日に2回も心臓に悪いものをみたり、何かさせられたよ。


こういう時、神様って本当に居るのかもと思う時がある。


だんだん足が悪くなっている人が増えている。何故?原因はわからないけどなるべく駅の人もこの危険性に気づいてほしいなと思った。


人の安全を無視した高すぎるエスカレーターは止めた方が良いと思うのは気のせいだろうか?


弱くなっている人が増えたよ。

みんなはどう思う? わたしは神様がこの事を何かで知らせているんじゃないかと思う。

虫の知らせってやつかしら?

わたしは極稀に現れると思うことにしたよ。


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