大輪の花火の輪

栗菓子

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第33話 おしまいとその後

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少しずつ、弱い人や、強い人もいつの間にかいなくなった。

わたしは体が動かなくなり、病室で寝ながらネットで話をする。

たわいない話でもわたしのいた落書きのような証だ。

汚い事や、醜い事は書かない。 もうたくさんだ。

下らない話。ありふれた話。どこどこの人は良かったとかお茶話をする。


馬鹿馬鹿しくていいのだ。だってどんなに頭が良くても、素晴らしい人でも世界の崩壊は止められなかった。

それってわたしたちのような下らない人間のせいかな?

だとしても生きていたかった。わたしたちなりに精一杯生きたのに、それが間違いだと言われるのは辛い。

辛いけど、罪人の証を背負って、最後まで生きよう。

何がいけなかったのか?もう考えるのはやめよう。

唯、わたしたちはくだらなくても愚かでも生きた。それでいい。身勝手な自己満足。自己完結だろうとかまわない。

わたしよりもっと素晴らしい人達が生まれることを祈ろう。


世界は終わった。誰かが壊した。そしてわたしたちもなにか壊すことに加担していたのだろう。

わたしはなんとなく死の間際に全てが分かったような気がする。

死んだらどこへいくのか? 或る者は無というが、それじゃあなんかつまらない。

なにかもっと素晴らしい素敵な奇跡が起きてほしい。

わたしは祈る。 自分の事だけで精一杯だった下らない女だったけど、ここまで生きたことを否定しないでね。

わたしより素晴らしい心をもった能力のある生命が美しい世界を創ることを祈る。

悔しいけど、わたしたちはなにかを間違えた気がする。

世界は終わり、わたしも終わる。 そしてそのあと、もっとすばらしい何かが生まれてね。

わたしはそうして祈り続け、眠りにつく。

大輪の花火の輪が見えた、あれは人が花になって、輪になって踊り続ける最後の輝きだ。

嗚呼・・そうだったんだ。わたしもずっと踊っていたんだ。

やっと終わったよ。みんな。かんばったよ。

さよなら。ごめんね。ありがとう。のちのみんな。生き物たち頑張ってね。

わたしたちより幸福な世界をつくってね。


                おわり。
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