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しおりを挟む「久しぶりだね、…」
「ええ、…久しぶり。」
黒髪。時々、夕日に照らされると茶髪に見える、うねりのような癖っ毛な、君の髪。
何度君の髪を梳かしただろう。
櫛の間隔をくすぐったがって、進まなかった。
「真也くん、…」
「はじめに、すまなかった。俺は、君を信じられなかった。君から、俺が消えていくようで、耐えられなかったんだ」
「………、わたしは、あなたに心配してほしくなかったの。ちゃんと、元気よって、思って欲しかったの…」
好きだったよ。
好きだったわ。
お互いに、その言葉で、わかった。
そばにいたら、たぶんずっといただろう。
でも、離れたんだ。
別れたんだ。
「ありがとう、…会ってくれて、付き合ってくれて、…出会ってくれたこと、感謝している」
「わたしも…あなたと会えて、嬉しかったわ。また、会いましょう?同窓会でも、」
「…機会があれば、是非。」
夕日が、彼女を連れていく。
ああ。
黄昏は、昼との別れを告げる時間。
楽しく明るかった、君との時間の終わりなんだ。
好きだったよ…愛してた。
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