5 / 14
第5話
しおりを挟む
「きみはまだ人間の悪意を知らない。人間は自分とは違うもの、未知の生き物に対して非常に冷淡だ。私は見た目こそ人間そっくりだけど、中身は全然違う化け物なんだよ。時々里に下りたりすると、人は皆、何か得体の知れないものを見るような目で私を見てくるんだ。石を投げつけられたこともある。そんな目に遭うの、嫌だろう?」
「何言ってるんスか。石投げてくるヤツなんて、逆に俺がぶっ飛ばしてやりますよ。それに師匠は化け物なんかじゃないし。俺にとっては一番……」
大事な人なんです、というのは照れくさくて言えなかったので、咳払いしてごまかした。
「とにかく! 今日という今日は『印』を刻んでもらいますからね! 師匠がそうしてくれるまで、俺絶対ここを出て行きませんから!」
「……やれやれ、困ったね。魔法使いになったら寿命もなくなってしまうのに」
呆れたように苦笑し、リデルは話題を変えた。
「ジェームズ、私は朝ご飯を食べたら出掛けないといけないんだ。遅くなるかもしれないから、今日一日留守番頼めるかな」
「いいっすけど、帰ってきたら魔法使いにしてくれます?」
「それは考えておくよ。ご飯、早く持って来てね」
そう言い置き、リデルは逃げるようにキッチンから出て行ってしまった。肝心なところで話をうやむやにするのは、リデルの常套手段だ。そうやって二年間、ずっとごまかされ続けて来た。
でも……。
(今日という今日は絶対ごまかされないからな!)
リデルが帰ってきたら絶対に魔法使いにしてもらおう。この想いだけは何を言われようと変えるつもりはない。
魔法使いになりたいというのは物心つく前からの悲願なのだ。ちょっと反対されたくらいで諦めてたまるか!
ジェームズは内心で気合いを入れながら、熱々のスープを皿によそった。
「何言ってるんスか。石投げてくるヤツなんて、逆に俺がぶっ飛ばしてやりますよ。それに師匠は化け物なんかじゃないし。俺にとっては一番……」
大事な人なんです、というのは照れくさくて言えなかったので、咳払いしてごまかした。
「とにかく! 今日という今日は『印』を刻んでもらいますからね! 師匠がそうしてくれるまで、俺絶対ここを出て行きませんから!」
「……やれやれ、困ったね。魔法使いになったら寿命もなくなってしまうのに」
呆れたように苦笑し、リデルは話題を変えた。
「ジェームズ、私は朝ご飯を食べたら出掛けないといけないんだ。遅くなるかもしれないから、今日一日留守番頼めるかな」
「いいっすけど、帰ってきたら魔法使いにしてくれます?」
「それは考えておくよ。ご飯、早く持って来てね」
そう言い置き、リデルは逃げるようにキッチンから出て行ってしまった。肝心なところで話をうやむやにするのは、リデルの常套手段だ。そうやって二年間、ずっとごまかされ続けて来た。
でも……。
(今日という今日は絶対ごまかされないからな!)
リデルが帰ってきたら絶対に魔法使いにしてもらおう。この想いだけは何を言われようと変えるつもりはない。
魔法使いになりたいというのは物心つく前からの悲願なのだ。ちょっと反対されたくらいで諦めてたまるか!
ジェームズは内心で気合いを入れながら、熱々のスープを皿によそった。
0
あなたにおすすめの小説
ReBirth 上位世界から下位世界へ
小林誉
ファンタジー
ある日帰宅途中にマンホールに落ちた男。気がつくと見知らぬ部屋に居て、世界間のシステムを名乗る声に死を告げられる。そして『あなたが落ちたのは下位世界に繋がる穴です』と説明された。この世に現れる天才奇才の一部は、今のあなたと同様に上位世界から落ちてきた者達だと。下位世界に転生できる機会を得た男に、どのような世界や環境を希望するのか質問される。男が出した答えとは――
※この小説の主人公は聖人君子ではありません。正義の味方のつもりもありません。勝つためならどんな手でも使い、売られた喧嘩は買う人物です。他人より仲間を最優先し、面倒な事が嫌いです。これはそんな、少しずるい男の物語。
1~4巻発売中です。
思いを込めてあなたに贈る
あんど もあ
ファンタジー
ファナの母が亡くなった二ヶ月後に、父は新しい妻とその妻との間に生まれた赤ん坊を家に連れて来た。義母は、お前はもうこの家の後継者では無いと母から受け継いだ家宝のネックレスを奪うが、そのネックレスは……。
悪役女王アウラの休日 ~処刑した女王が名君だったかもなんて、もう遅い~
オレンジ方解石
ファンタジー
恋人に裏切られ、嘘の噂を立てられ、契約も打ち切られた二十七歳の派遣社員、雨井桜子。
世界に絶望した彼女は、むかし読んだ少女漫画『聖なる乙女の祈りの伝説』の悪役女王アウラと魂が入れ替わる。
アウラは二年後に処刑されるキャラ。
桜子は処刑を回避して、今度こそ幸せになろうと奮闘するが、その時は迫りーーーー
帰国した王子の受難
ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。
取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
恋愛
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
〈完結〉貴女を母親に持ったことは私の最大の不幸でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」ミュゼットは初潮が来た時に母から「唯一のこの家の女は自分」という理由で使用人の地位に落とされる。
そこで異母姉(と思っていた)アリサや他の使用人達から仕事を学びつつ、母への復讐を心に秘めることとなる。
二年後にアリサの乳母マルティーヌのもとに逃がされた彼女は、父の正体を知りたいアリサに応える形であちこち飛び回り、情報を渡していく。
やがて本当の父親もわかり、暖かい家庭を手に入れることもできる見込みも立つ。
そんな彼女にとっての母の最期は。
「この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。」のミュゼットのスピンオフ。
番外編にするとまた本編より長くなったりややこしくなりそうなんでもう分けることに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる