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第二十六話
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――にしても、食われると思ってガクブルするとか、どんな萌えキャラだよ……。
本人は真面目に震えていたのだろうが、晴斗からすれば天然以外の何物でもない。笑っちゃ悪いと思ったから一生懸命堪えたけど、本当は笑いながら抱き締めて「お前、可愛いな」とからかってやりたかった。
このキツネさん、マジで俺のツボかも……と思いつつ、晴斗は「きつねうどん」の具を買い込み、デパ地下を後にした。
午後五時をすぎても、真夏の京都はまだまだ暑かった。荷物も多くなってしまったので、晴斗は休憩がてら喫茶店に入ってみた。九尾も物珍しそうについて来た。
空いている席に着き、晴斗はメニューを見ながら言った。
「なあ九尾、かき氷食べないか? 夏の定番おやつだぜ」
「かき氷……? 削り氷のことか?」
「ああ、削った氷にシロップかけて食べるんだ。今のかき氷はすごく進化してるから、見たらびっくりすると思うぞ」
「進化……」
そう呟いたきり、九尾は宙を見つめたまま固まってしまった。一体何を想像しているのだろう。かき氷に食われるとでも思っているのだろうか。
晴斗はこっそり笑いながら、いちご味と抹茶味のかき氷を注文した。いろいろ想像するより、実物を見た方が早い。百聞は一見に如かず、だ。
しばらくして、ふたつのかき氷が運ばれてきた。大きくて透明な器に、ふわふわの氷が山盛りにされている。いちごジャムのように濃厚なシロップがその上からたっぷりかかっていて、てっぺんにはバニラアイスがちょこんと乗っていた。抹茶味も同様だ。お祭りの屋台で売っているような簡素なものではなく、かなり本格的なかき氷である。
案の定、九尾は目を丸くしてかき氷をまじまじと見つめた。
「これが……かき氷?」
「ああ。九尾はどっちが好みだ? いちご? 抹茶?」
「じゃあ……いちご」
「そうか。なら俺は抹茶だな」
晴斗は手元に抹茶のかき氷を引き寄せ、付属のミルクソーサーを手に取った。
「このままでも十分美味しいけど、お好みで練乳かけても美味しいぞ」
「あ、ああ……」
「じゃ、解けないうちにいただきます」
存分に練乳をかけ、氷の山を崩さないようにスプーンを入れた。
本人は真面目に震えていたのだろうが、晴斗からすれば天然以外の何物でもない。笑っちゃ悪いと思ったから一生懸命堪えたけど、本当は笑いながら抱き締めて「お前、可愛いな」とからかってやりたかった。
このキツネさん、マジで俺のツボかも……と思いつつ、晴斗は「きつねうどん」の具を買い込み、デパ地下を後にした。
午後五時をすぎても、真夏の京都はまだまだ暑かった。荷物も多くなってしまったので、晴斗は休憩がてら喫茶店に入ってみた。九尾も物珍しそうについて来た。
空いている席に着き、晴斗はメニューを見ながら言った。
「なあ九尾、かき氷食べないか? 夏の定番おやつだぜ」
「かき氷……? 削り氷のことか?」
「ああ、削った氷にシロップかけて食べるんだ。今のかき氷はすごく進化してるから、見たらびっくりすると思うぞ」
「進化……」
そう呟いたきり、九尾は宙を見つめたまま固まってしまった。一体何を想像しているのだろう。かき氷に食われるとでも思っているのだろうか。
晴斗はこっそり笑いながら、いちご味と抹茶味のかき氷を注文した。いろいろ想像するより、実物を見た方が早い。百聞は一見に如かず、だ。
しばらくして、ふたつのかき氷が運ばれてきた。大きくて透明な器に、ふわふわの氷が山盛りにされている。いちごジャムのように濃厚なシロップがその上からたっぷりかかっていて、てっぺんにはバニラアイスがちょこんと乗っていた。抹茶味も同様だ。お祭りの屋台で売っているような簡素なものではなく、かなり本格的なかき氷である。
案の定、九尾は目を丸くしてかき氷をまじまじと見つめた。
「これが……かき氷?」
「ああ。九尾はどっちが好みだ? いちご? 抹茶?」
「じゃあ……いちご」
「そうか。なら俺は抹茶だな」
晴斗は手元に抹茶のかき氷を引き寄せ、付属のミルクソーサーを手に取った。
「このままでも十分美味しいけど、お好みで練乳かけても美味しいぞ」
「あ、ああ……」
「じゃ、解けないうちにいただきます」
存分に練乳をかけ、氷の山を崩さないようにスプーンを入れた。
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