妖狐と魅惑の遊戯

夢咲まゆ

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第四十七話

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 ――ったく……そんな顔されたら「ダメ」って言えねぇじゃん……。

 九尾が行きたがっている場所には、なるべく連れて行ってあげたいと思う。とはいえ夏休み中の大学に関しては、冗談抜きで面白いところは何もない。見て回る場所も特にないし、ガッカリするのが目に見えている。

 そんなところにわざわざ九尾を連れて行くのも、気が引けたのだが……。

「なるほど……これが大学か」

 だが、レポートを提出するためだけに行った大学でも、九尾は興味深そうにキョロキョロ辺りを見回していた。

「……あれ。何か面白いところあったか?」
「ああ、見ているだけで面白い。この時代は不思議なものがたくさんある」
「そ、そうか? まあ、九尾にとっては何でも面白いのかな」
「ああ。食べ物、着る物、見る物、聞く物……全てが新鮮だ。この間、『自動改札機』を通った時は驚いたな」

 当時の九尾はまだ電車の乗り方を知らなくて、自動改札機をそのまま通過しようとして入口を封鎖されたことがあった。その時彼は困った顔をしながら、自動改札機に「すまないが、通してくれないだろうか」と話しかけていた。

 ――いや、機械に話しかけてもダメだぞ、九尾……。

 時折こういった天然っぷりを発揮してくれるので、晴斗としては目が離せない。思いもよらないところでトラブルになったら大変だ。

 もっとも、九尾はかなり物覚えがいいらしく、知らないものにぶち当たる度に反省して学習していった。横文字もスポンジのように吸収していった。

「この間食べた『そふとくりーむ』が欲しかったんだが、そこの『こんびに』には『かっぷ』の『あいすくりーむ』しか売っていなかったんだ。『こーん』がついた『そふとくりーむ』はどこに売っているんだ?」

 ……などと聞かれた時は、感激して思わず抱きついてしまった。「よくこんなにカタカナ覚えたなあ!」とキツネの耳を揉んだら、怒った彼に尻尾で叩かれた。

 そんな調子だったが、九尾は今の生活を楽しんでいるようだった。それはそれでいい傾向だ。晴明のことを吹っ切れたわけではないだろうが、楽しいことが増えたのはいいことだと思う。
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