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第五十二話
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「晴斗……家出するつもりじゃないよな?」
「えっ?」
「ちゃんと……帰ってきてくれるよな……?」
紫色の瞳がこちらを見つめてくる。長い睫毛がやや震えていて、眉尻も不安げに下がっていた。
――おいおい……そんな顔されたら、どこにも行けなくなっちゃうだろ……。
この寂しがりのキツネさんを、思いっきり抱き締めてやりたい。彼の不安が消えるまで側にいて、また存分に慰めてやりたい。
……が、今は近くにタヌキ少年がいるので自重しておく。代わりに、優しく九尾の肩を叩いてやった。
「夕方になったら戻るって。俺は晴明さんみたいに九尾を置いてどこかへ行ったりしないよ」
「……本当に?」
「ああ。俺、九尾に嘘ついたことないだろ? だいたいここ、俺の家だし。美味しいいなり寿司でも買ってきてやるから、いい子で待ってなよ」
そう言ったら、ようやく九尾は安心したように微笑んでくれた。彼の笑顔を見ることができて、晴斗も少しホッとした。
アパートを出て、とりあえず都心に出ようと思い、駅に向かうことにした。
ふと、背中に視線を感じて晴斗はくるりと振り返った。九尾がアパートのベランダに立って外を眺めていた。ベランダの手すりに手をかけて、こちらに視線を注いでいる。
晴斗が振り向いた途端、九尾は嬉しそうな笑みをこぼし、遠慮がちに手を振ってきた。綺麗な銀髪に夏の日差しが当たり、まばゆいくらいに輝いて見えた。
――ヤバい、何アレ……めっちゃ可愛いんですけど……。
九尾が俺の帰りを待っていてくれる。そう思うだけで、晴斗の心は踊った。
あのタヌキ少年が帰ったら、やっぱり思いっきり抱き締めてやろう……と思いつつ、晴斗も軽く手を振り返した。
「えっ?」
「ちゃんと……帰ってきてくれるよな……?」
紫色の瞳がこちらを見つめてくる。長い睫毛がやや震えていて、眉尻も不安げに下がっていた。
――おいおい……そんな顔されたら、どこにも行けなくなっちゃうだろ……。
この寂しがりのキツネさんを、思いっきり抱き締めてやりたい。彼の不安が消えるまで側にいて、また存分に慰めてやりたい。
……が、今は近くにタヌキ少年がいるので自重しておく。代わりに、優しく九尾の肩を叩いてやった。
「夕方になったら戻るって。俺は晴明さんみたいに九尾を置いてどこかへ行ったりしないよ」
「……本当に?」
「ああ。俺、九尾に嘘ついたことないだろ? だいたいここ、俺の家だし。美味しいいなり寿司でも買ってきてやるから、いい子で待ってなよ」
そう言ったら、ようやく九尾は安心したように微笑んでくれた。彼の笑顔を見ることができて、晴斗も少しホッとした。
アパートを出て、とりあえず都心に出ようと思い、駅に向かうことにした。
ふと、背中に視線を感じて晴斗はくるりと振り返った。九尾がアパートのベランダに立って外を眺めていた。ベランダの手すりに手をかけて、こちらに視線を注いでいる。
晴斗が振り向いた途端、九尾は嬉しそうな笑みをこぼし、遠慮がちに手を振ってきた。綺麗な銀髪に夏の日差しが当たり、まばゆいくらいに輝いて見えた。
――ヤバい、何アレ……めっちゃ可愛いんですけど……。
九尾が俺の帰りを待っていてくれる。そう思うだけで、晴斗の心は踊った。
あのタヌキ少年が帰ったら、やっぱり思いっきり抱き締めてやろう……と思いつつ、晴斗も軽く手を振り返した。
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