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第五十五話(九尾目線)
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――晴明……やっぱり私は、あなたの迷惑だったのか……?
言われてみれば、その通りかもしれない。九尾は晴明と暮らしていて不満を感じたことはなかったけれど、晴明はどうだったかわからない。
安倍晴明は、天才陰陽師として朝廷に出仕していた有名人だった。帝に呼び出されて加持・祈禱を任されたり、弟子に陰陽術の手解きをしたりと、毎日忙しそうにしていた。九尾の面倒だけを見ていればいいわけではなかった。
九尾もそれをわかっていたから、なるべく晴明の手を煩わせないようにしてきたつもりだったけど……。
――でも……結果的に晴明は、私より他の人間との生活を選んだんだよな……。
あの時の晴明の気持ちは、九尾にはわからない。彼が抱えていた葛藤も、今となっては謎のままだ。
だが事情はどうあれ、九尾は晴明に捨てられた。どんなに九尾が晴明のことを想っても、晴明にとって妖狐は妖狐でしかなかった。ずっと一緒に生きて行くことはできない。
それなら……それなら、晴斗も……いつか私を……?
「ねえ、いい機会だから僕といろんな場所を行脚してみない? 九尾ちゃん、京都と東京しか知らないでしょ? 日本にはもっと素敵なところがいっぱいあるよ? いろんな場所を見て回ってさ、九尾ちゃんが過ごしやすい場所を見つければいいと思うな。わざわざ人間に関わらなくても、快適に暮らせるところはたくさんあるからさ」
「…………」
「ね、一緒に行こうよ」
「ちょ、ちょっと……」
三尾が腕を掴んでくるので、九尾はなんとか語気を強めて言った。
「ちょっと待ってくれ!」
「えっ?」
「……三尾の言うことはよくわかった。だから少し考えさせてくれないか?」
「考えるって……何を考えるの?」
「それはいろいろ……。私はまだ心の整理が中途半端で……自分が何をしたいのか、誰とどう生きて行けばいいのかも、よくわからなくて……」
「…………」
「だから……今日のところは、もう帰ってくれないか? 意見してくれたのはありがたいけど、今すぐ答えが出せる状態じゃないから……」
「九尾ちゃん」
「そ、それに……」
三尾に何か言われる前に、九尾は言葉を続けた。
言われてみれば、その通りかもしれない。九尾は晴明と暮らしていて不満を感じたことはなかったけれど、晴明はどうだったかわからない。
安倍晴明は、天才陰陽師として朝廷に出仕していた有名人だった。帝に呼び出されて加持・祈禱を任されたり、弟子に陰陽術の手解きをしたりと、毎日忙しそうにしていた。九尾の面倒だけを見ていればいいわけではなかった。
九尾もそれをわかっていたから、なるべく晴明の手を煩わせないようにしてきたつもりだったけど……。
――でも……結果的に晴明は、私より他の人間との生活を選んだんだよな……。
あの時の晴明の気持ちは、九尾にはわからない。彼が抱えていた葛藤も、今となっては謎のままだ。
だが事情はどうあれ、九尾は晴明に捨てられた。どんなに九尾が晴明のことを想っても、晴明にとって妖狐は妖狐でしかなかった。ずっと一緒に生きて行くことはできない。
それなら……それなら、晴斗も……いつか私を……?
「ねえ、いい機会だから僕といろんな場所を行脚してみない? 九尾ちゃん、京都と東京しか知らないでしょ? 日本にはもっと素敵なところがいっぱいあるよ? いろんな場所を見て回ってさ、九尾ちゃんが過ごしやすい場所を見つければいいと思うな。わざわざ人間に関わらなくても、快適に暮らせるところはたくさんあるからさ」
「…………」
「ね、一緒に行こうよ」
「ちょ、ちょっと……」
三尾が腕を掴んでくるので、九尾はなんとか語気を強めて言った。
「ちょっと待ってくれ!」
「えっ?」
「……三尾の言うことはよくわかった。だから少し考えさせてくれないか?」
「考えるって……何を考えるの?」
「それはいろいろ……。私はまだ心の整理が中途半端で……自分が何をしたいのか、誰とどう生きて行けばいいのかも、よくわからなくて……」
「…………」
「だから……今日のところは、もう帰ってくれないか? 意見してくれたのはありがたいけど、今すぐ答えが出せる状態じゃないから……」
「九尾ちゃん」
「そ、それに……」
三尾に何か言われる前に、九尾は言葉を続けた。
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