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第六十二話
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「ただね、これだけは言いたいんだけど……妖怪と人間は全然違う生き物だよ。コミュニケーションは取れるけど、完全にわかり合うことはできない。必要以上に関わらないのが、お互いのためだ」
「それもお前の偏見だろ。余計なお世話だよ」
「年長者の意見は聞いておいた方がいいよ。だいたいあんた、あと何年生きられるわけ? 仮に一生九尾ちゃんの側にいるつもりだとしても、長くてせいぜい七、八十年くらいでしょ。あんたが死んだら、九尾ちゃんまた独りぼっちだよ。わかってるの?」
「それは……」
「九尾ちゃんのことを想うなら、なおのこと関わらない方がいいよ。あんたは九尾ちゃんに看取られて幸せに死ねるかもしれないけど、九尾ちゃんは見送る一方なんだから。……親しくしていた人を見送るのって、何回経験しても辛いものだよ」
三尾が夏の星空を見上げた。どことなく遠い目をしていた。無数に輝いている星の中には、三尾が見送った人たちもたくさん含まれている……。
――千年も生きて来たヤツの言葉は、さすがに重いな……。
妖怪と違い、人間には寿命がある。今の医療技術だったら百年くらいは生きられるかもしれないけど、百歳まで生きられる人間は稀だ。事故や病気で早死にしてしまう可能性も否定できない。どんなに一緒にいたいと願ったとしても、お別れの時は必ずやってくる。悲しいことだけど、それが現実なのだ。
それはわかっている。わかっているけど……。
「……それでも俺は、九尾が好きだ」
「は……?」
「終わりがあることなんて最初からわかってんだよ。だからこそ、できる限り一緒にいたいと思うんだ。寿命があるからこそ、一緒にいられる時間を存分に楽しみたい。そう考えるのがそんなに悪いことなのかよ?」
「それもお前の偏見だろ。余計なお世話だよ」
「年長者の意見は聞いておいた方がいいよ。だいたいあんた、あと何年生きられるわけ? 仮に一生九尾ちゃんの側にいるつもりだとしても、長くてせいぜい七、八十年くらいでしょ。あんたが死んだら、九尾ちゃんまた独りぼっちだよ。わかってるの?」
「それは……」
「九尾ちゃんのことを想うなら、なおのこと関わらない方がいいよ。あんたは九尾ちゃんに看取られて幸せに死ねるかもしれないけど、九尾ちゃんは見送る一方なんだから。……親しくしていた人を見送るのって、何回経験しても辛いものだよ」
三尾が夏の星空を見上げた。どことなく遠い目をしていた。無数に輝いている星の中には、三尾が見送った人たちもたくさん含まれている……。
――千年も生きて来たヤツの言葉は、さすがに重いな……。
妖怪と違い、人間には寿命がある。今の医療技術だったら百年くらいは生きられるかもしれないけど、百歳まで生きられる人間は稀だ。事故や病気で早死にしてしまう可能性も否定できない。どんなに一緒にいたいと願ったとしても、お別れの時は必ずやってくる。悲しいことだけど、それが現実なのだ。
それはわかっている。わかっているけど……。
「……それでも俺は、九尾が好きだ」
「は……?」
「終わりがあることなんて最初からわかってんだよ。だからこそ、できる限り一緒にいたいと思うんだ。寿命があるからこそ、一緒にいられる時間を存分に楽しみたい。そう考えるのがそんなに悪いことなのかよ?」
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