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第九十三話
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いよいよ十三階に到着し、嫌な気配もピークに達してきた。
尻尾から下ろしてもらい、晴斗はそっと階段口からフロアの様子を窺った。ここは玉藻前がいる階だけあって、人の数もそれなりのようだった。常にスタッフが忙しそうに行き来している。誰にも見つからずに玉藻前に接触するのは、非常に困難に思えた。
さて、どうするか……。
「ていっ!」
「どわ!」
不意に後ろから膝カックンされて、晴斗は前につんのめりそうになった。目を白黒させて振り返ったら、消火器を手にした三尾がニヤニヤした顔でこちらを見ていた。
「さ、三尾!? お前、無事なら無事らしくちゃんと正面から出てこいよ! 心臓止まるかと思っただろ!」
「やだね~、これくらいで腰抜かしそうになるなんて。修行が足りないんじゃない?」
「お前みたいな千年ダヌキと、人間の若者を一緒にすんな!」
そう怒鳴ったら、九尾に「まあまあ」と窘められた。
「三尾、よかった。無事だったんだな」
「当たり前じゃない。あいつら、ただ追いかけてくるだけだもん。刀や拳銃持ってるわけじゃないし、千人相手でも捕まらない自信があるね」
「そうか……。さすが三尾、たくましいな」
「でしょ? じゃあ九尾ちゃん、今度お礼にデートして」
そう九尾に笑いかけた後、三尾がこちらの全身を眺めてきた。
「……ところであんた、武器はどうしたの?」
「は? 武器?」
「ええ~? あんた、追われてる立場だってのに、全くの丸腰で逃げてたわけ? 信じらんなーい」
さも小馬鹿にしたような口調で言うと、彼は手にした消火器を差し出した。
「じゃあこれ一本持っときなよ。煙も出せるし、振り回して威嚇もできる。意外と使えるよ」
「は、はあ……どうも」
消火器を武器にするなんて考えたこともなかったが、何もないよりはあった方がいい。目くらましくらいには使えるだろう。
どのタイミングで出て行こうか……と考えあぐねていると、あろうことか三尾は消火器を構えつつ、堂々と階段から出て行ってしまった。
「お、おい、ちょっと待て! 今出て行ったら……」
「ここまで来たらコソコソしててもしょうがないでしょ。早いとこ玉藻前に会いに行こう」
「ちょっ……! 待てって!」
晴斗は九尾を引き連れ、三尾を追いかけた。
尻尾から下ろしてもらい、晴斗はそっと階段口からフロアの様子を窺った。ここは玉藻前がいる階だけあって、人の数もそれなりのようだった。常にスタッフが忙しそうに行き来している。誰にも見つからずに玉藻前に接触するのは、非常に困難に思えた。
さて、どうするか……。
「ていっ!」
「どわ!」
不意に後ろから膝カックンされて、晴斗は前につんのめりそうになった。目を白黒させて振り返ったら、消火器を手にした三尾がニヤニヤした顔でこちらを見ていた。
「さ、三尾!? お前、無事なら無事らしくちゃんと正面から出てこいよ! 心臓止まるかと思っただろ!」
「やだね~、これくらいで腰抜かしそうになるなんて。修行が足りないんじゃない?」
「お前みたいな千年ダヌキと、人間の若者を一緒にすんな!」
そう怒鳴ったら、九尾に「まあまあ」と窘められた。
「三尾、よかった。無事だったんだな」
「当たり前じゃない。あいつら、ただ追いかけてくるだけだもん。刀や拳銃持ってるわけじゃないし、千人相手でも捕まらない自信があるね」
「そうか……。さすが三尾、たくましいな」
「でしょ? じゃあ九尾ちゃん、今度お礼にデートして」
そう九尾に笑いかけた後、三尾がこちらの全身を眺めてきた。
「……ところであんた、武器はどうしたの?」
「は? 武器?」
「ええ~? あんた、追われてる立場だってのに、全くの丸腰で逃げてたわけ? 信じらんなーい」
さも小馬鹿にしたような口調で言うと、彼は手にした消火器を差し出した。
「じゃあこれ一本持っときなよ。煙も出せるし、振り回して威嚇もできる。意外と使えるよ」
「は、はあ……どうも」
消火器を武器にするなんて考えたこともなかったが、何もないよりはあった方がいい。目くらましくらいには使えるだろう。
どのタイミングで出て行こうか……と考えあぐねていると、あろうことか三尾は消火器を構えつつ、堂々と階段から出て行ってしまった。
「お、おい、ちょっと待て! 今出て行ったら……」
「ここまで来たらコソコソしててもしょうがないでしょ。早いとこ玉藻前に会いに行こう」
「ちょっ……! 待てって!」
晴斗は九尾を引き連れ、三尾を追いかけた。
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