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第百八話
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久しぶりに夢を見た。真っ白な霧が立ち込めた空間にいて、自分以外のものはほとんど何も見えなかった。物音も聞こえなかった。
試しに晴斗は、数メートル先に進んでみた。
しばらくすると、うっすらと霧が晴れて来て目の前に川が見えてきた。大きな川だった。流れは穏やかだったが橋の類いはなく、舟を使わないと向こうには渡れなさそうだった。
対岸には色とりどりの花が咲いている。この世のものとは思えない、幻想的なお花畑だ。
そこで晴斗は、ようやく「ああ」と気付いた。これは夢じゃない。ここは三途の川だ。自分はテレビ局の屋上から飛び降りて死んだのだ。玉藻前と一緒に。
ということは……。
晴斗は周辺を見回しながら、川岸を小走りした。死んだ時間と場所は自分とほとんど変わらないから、きっとまだ近くに……。
「あ……っ!」
いた。ふさふさの九本の尻尾に、キツネの耳。綺麗な銀髪をした背の高い青年だ。
「九尾!」
いても立ってもいられなくなって、晴斗は勢いよく走って九尾に飛びついた。
「うわっ……!」
急に飛びついてきた人物に驚き、九尾は後ろにすっ転んだ。最初は目を白黒させていたが、飛びついてきた人が晴斗だと知ると、
「は、晴斗!? 何故ここに!? まさか玉藻前にやられて……」
「違うって。お前を追いかけて来たんだ。玉藻前を道連れにしてさ」
「えっ!? どうしてそんなことを……! それじゃ私が飛び降りた意味がないじゃないか!」
「……悪い。でも、総合的にはこれが一番いいと思ったんだ。玉藻前にとっても、俺にとっても」
何か言われそうだったので、その前に晴斗は九尾の唇を塞いだ。九尾は少しびっくりしていたみたいだが、抵抗することなくそのキスを受け止めてくれた。
唇を離して至近距離で九尾を見つめたら、彼もやや複雑なまなざしでこちらを見た。
試しに晴斗は、数メートル先に進んでみた。
しばらくすると、うっすらと霧が晴れて来て目の前に川が見えてきた。大きな川だった。流れは穏やかだったが橋の類いはなく、舟を使わないと向こうには渡れなさそうだった。
対岸には色とりどりの花が咲いている。この世のものとは思えない、幻想的なお花畑だ。
そこで晴斗は、ようやく「ああ」と気付いた。これは夢じゃない。ここは三途の川だ。自分はテレビ局の屋上から飛び降りて死んだのだ。玉藻前と一緒に。
ということは……。
晴斗は周辺を見回しながら、川岸を小走りした。死んだ時間と場所は自分とほとんど変わらないから、きっとまだ近くに……。
「あ……っ!」
いた。ふさふさの九本の尻尾に、キツネの耳。綺麗な銀髪をした背の高い青年だ。
「九尾!」
いても立ってもいられなくなって、晴斗は勢いよく走って九尾に飛びついた。
「うわっ……!」
急に飛びついてきた人物に驚き、九尾は後ろにすっ転んだ。最初は目を白黒させていたが、飛びついてきた人が晴斗だと知ると、
「は、晴斗!? 何故ここに!? まさか玉藻前にやられて……」
「違うって。お前を追いかけて来たんだ。玉藻前を道連れにしてさ」
「えっ!? どうしてそんなことを……! それじゃ私が飛び降りた意味がないじゃないか!」
「……悪い。でも、総合的にはこれが一番いいと思ったんだ。玉藻前にとっても、俺にとっても」
何か言われそうだったので、その前に晴斗は九尾の唇を塞いだ。九尾は少しびっくりしていたみたいだが、抵抗することなくそのキスを受け止めてくれた。
唇を離して至近距離で九尾を見つめたら、彼もやや複雑なまなざしでこちらを見た。
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