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初めてのお稽古編
第37話
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「にしても……ホントにクソだな、あの女。俺だけに嫌がらせするならともかく、夏樹にまでそんなことするなんて。マジで一回立ち直れないくらいボコボコにしてやろうか」
「……それはもっと面倒なことになりそうなのでやめてください。というか、俺が弟子入りしなければいいだけの話でしょう」
「いや、そんなことない! 夏樹は俺の弟子だ! 美和さんのことなんて気にする必要ないからな!」
「でも、これからもずっとこんなことが続くのはさすがに嫌ですよ……」
「大丈夫だ! もう二度とこんなこと起こさせない! 屋敷には近づかせないし、美和さんにも会わせない! 夏樹は堂々と稽古に専念していいんだから、な?」
「先生……」
「一度美和さんとはきちんと話をつけなきゃと思ってたんだ。今までは俺一人だったから我慢してたけど、夏樹にまで手を出したとなっちゃもう黙ってられん。明日にでも落とし前をつけさせてやる!」
ちょっとヤクザっぽい発言まで飛び出してきたが、そんな市川が今は頼もしく思えた。
(そうだな……困った時はいつも先生が守ってくれるし)
だから、これからも先生を信じてついて行こう。自分にできることはただそれだけだ。
夏樹は軽く笑って話題を変えた。
「ところで、先生が用意してくれたお稽古の道具ってどれですか? ちょっと見てみたいんですけど」
「あ、それはな……」
その時、スマホが震える音がした。市川のスマホだ。
「お? 誰だ?」
市川はソファーから立ち上がり、電話をしながらベランダに出た。
そしてそのまま二、三分喋った後、リビングに戻ってきた。やや神妙な面持ちをしていた。
「……それはもっと面倒なことになりそうなのでやめてください。というか、俺が弟子入りしなければいいだけの話でしょう」
「いや、そんなことない! 夏樹は俺の弟子だ! 美和さんのことなんて気にする必要ないからな!」
「でも、これからもずっとこんなことが続くのはさすがに嫌ですよ……」
「大丈夫だ! もう二度とこんなこと起こさせない! 屋敷には近づかせないし、美和さんにも会わせない! 夏樹は堂々と稽古に専念していいんだから、な?」
「先生……」
「一度美和さんとはきちんと話をつけなきゃと思ってたんだ。今までは俺一人だったから我慢してたけど、夏樹にまで手を出したとなっちゃもう黙ってられん。明日にでも落とし前をつけさせてやる!」
ちょっとヤクザっぽい発言まで飛び出してきたが、そんな市川が今は頼もしく思えた。
(そうだな……困った時はいつも先生が守ってくれるし)
だから、これからも先生を信じてついて行こう。自分にできることはただそれだけだ。
夏樹は軽く笑って話題を変えた。
「ところで、先生が用意してくれたお稽古の道具ってどれですか? ちょっと見てみたいんですけど」
「あ、それはな……」
その時、スマホが震える音がした。市川のスマホだ。
「お? 誰だ?」
市川はソファーから立ち上がり、電話をしながらベランダに出た。
そしてそのまま二、三分喋った後、リビングに戻ってきた。やや神妙な面持ちをしていた。
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