56 / 2,486
第1章~あなたを目指して~
第56話
しおりを挟む
「というわけで、なるべく早く手伝いに来てくれよー! 宴は夕方から始まるからなー!」
そう言ってジークは岩場から立ち去ってしまった。
……というか、こんな風にイチャついている自分たちを見ながら、それでも平然と事務連絡できる彼も変わっているかもしれない。
「それで……真面目な話、もう怪我は大丈夫?」
「え? ああ……」
抉れた脇腹や斬られたふくらはぎに意識を戻す。いつの間にか痛みはなくなっており、きちんと両脚が動く感覚があった。
兄がようやく腕を緩めてくれる。
「どうやら大丈夫そうだね。残念だけど、そろそろ行かないとだめかな」
「ああ、そうだな……」
二人で一緒に泉から出た。せっかくの二人きりの時間が終わってしまうと思うと、少し名残惜しかった。
「兄上はイノシシを捌く方に行くんだよな?」
「そうだよ。細々と料理するより、すぱすぱ肉を捌く方が性に合ってるからね」
「確かに、兄上が料理したら全部大味になりそうだ」
「やろうと思えばできるんだよ。性に合わないだけで」
「へえ、そうか」
「おや、その顔は信じてないね? 一緒に暮らせるようになったら料理してあげるから、楽しみにしてて」
その台詞に、不覚にもキュンとしてしまった。大好きな兄とひとつ屋根の下で暮らせる上、手料理まで振る舞ってもらえるとは。考えただけで甘酸っぱい気持ちが溢れてきた。
「じゃあアクセル、またランク上げ頑張って。お兄ちゃん応援してるからね」
「ああ、もちろんだ」
軽く手を振って、兄と別れた。初めての狩りで大変な目に遭ったけれど、結果的には幸せな時間を過ごせた。早く一緒に暮らせるよう、また鍛錬に励まなくては。
アクセルは足取りも軽く、宴の厨房に向かった。
そう言ってジークは岩場から立ち去ってしまった。
……というか、こんな風にイチャついている自分たちを見ながら、それでも平然と事務連絡できる彼も変わっているかもしれない。
「それで……真面目な話、もう怪我は大丈夫?」
「え? ああ……」
抉れた脇腹や斬られたふくらはぎに意識を戻す。いつの間にか痛みはなくなっており、きちんと両脚が動く感覚があった。
兄がようやく腕を緩めてくれる。
「どうやら大丈夫そうだね。残念だけど、そろそろ行かないとだめかな」
「ああ、そうだな……」
二人で一緒に泉から出た。せっかくの二人きりの時間が終わってしまうと思うと、少し名残惜しかった。
「兄上はイノシシを捌く方に行くんだよな?」
「そうだよ。細々と料理するより、すぱすぱ肉を捌く方が性に合ってるからね」
「確かに、兄上が料理したら全部大味になりそうだ」
「やろうと思えばできるんだよ。性に合わないだけで」
「へえ、そうか」
「おや、その顔は信じてないね? 一緒に暮らせるようになったら料理してあげるから、楽しみにしてて」
その台詞に、不覚にもキュンとしてしまった。大好きな兄とひとつ屋根の下で暮らせる上、手料理まで振る舞ってもらえるとは。考えただけで甘酸っぱい気持ちが溢れてきた。
「じゃあアクセル、またランク上げ頑張って。お兄ちゃん応援してるからね」
「ああ、もちろんだ」
軽く手を振って、兄と別れた。初めての狩りで大変な目に遭ったけれど、結果的には幸せな時間を過ごせた。早く一緒に暮らせるよう、また鍛錬に励まなくては。
アクセルは足取りも軽く、宴の厨房に向かった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
801
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる