上 下
567 / 2,485
第5章~神々の国へ~

第91話

しおりを挟む
「バルドル様、早く行きましょう」
「はは、ちょっと落ち着こうね。転ばないように注意して」

 バルドルに窘められたけど、落ち着いてなどいられなかった。アクセルは喜び勇んで光るゲートに飛び込んだ。

 ゲートの中を二、三歩走ったら、すぐに見慣れた景色が現れてきた。

 ――ヴァルハラだ……!

 いつもランクが張り出されている掲示板の前。そこにアクセルは立っていた。四ヶ月という期間はそんなに長くないはずなのだが、こうして見ると随分と久しぶりに思える。

 思い出したように掲示板を見上げたら、戦士ランク三位のところに「フレイン」と書かれていた。一時はサボって七位にまで下がったランクも、ちゃんと元に戻してくれたみたいだ。

 ――兄上はどこにいるんだろう……?

 早速捜しに行こう……と思っていたら、突然巨大な何かにぶつかって軽く吹っ飛ばされてしまった。

 咄嗟に受け身をとったものの、思いっきり世界樹に叩きつけられて全身に衝撃が走った。

「おっと足元が見えなかった。悪いな、小僧」
「……え?」

 何にぶつかったのかと思ったら、たった今ゲートから出てきた巨人だった。

 そのまま巨人は岩のような巨体を揺らしながら、ズシンズシンと立ち去っていった。

 ――で、でかい……!

 なんだアレは。あんな大きな神がいるのか? 控えめに見積もっても絶対に五メートル以上はあった。

 バルドルみたいな人間に近い神が普通だと思っていたけど、ああいう異形の神もたくさんいるということか。気をつけないと知らずに踏み潰されてしまいそうだ。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

女装人間

現代文学 / 連載中 24h.ポイント:234pt お気に入り:12

百鬼夜荘 妖怪たちの住むところ

キャラ文芸 / 連載中 24h.ポイント:1,682pt お気に入り:16

弱みを握られた僕が、毎日女装して男に奉仕する話

BL / 完結 24h.ポイント:894pt お気に入り:10

屋烏の愛

BL / 完結 24h.ポイント:376pt お気に入り:11

処理中です...