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第11章~強くなるために~
第67話
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「急にピピちゃんがいなくなって寂しいんでしょ? 別にそんなの隠すことないじゃないか。寂しいなら寂しいって言った方がいいよ」
「……そりゃあ、全然寂しくないなんて言ったら嘘になるよ。でも、あの状況でピピを引き留めるわけにはいかないだろ。せっかく再会できた家族と引き離すことになるんだぞ」
「そうとは限らないけどね。ピピちゃんがどういう選択をするか、それは本人しかわからないんだし」
「……だとしても、ピピがいるべき場所はここじゃないよ」
アクセルは自嘲気味に笑った。滲んできた涙を、どうにかこうにか引っ込める。
「もういいんだ。この話はやめよう。明日になれば気持ちも切り替えられていると思うから……今はなるべく、気を紛らわせていたいんだ」
「…………」
「……それくらいいいだろ、兄上」
「そっか……わかったよ」
これ以降、兄は何も言わずにいつも通り振る舞ってくれた。
アクセルもなるべくいつもと同じことをして気を紛らわせようとしたが、庭で鍛錬すると空っぽになったうさぎ小屋が目につくし、食事を用意するといつもの習慣でピピの野菜スープを作ろうしてしまう。
それでいかにピピが身近な存在だったか思い知り、寂しさに胸が痛くなってつい泣きそうになった。
――ああもう……何してるんだ、俺は……。
ピピのためにあえて離れたのに、なんて女々しいんだ。未練タラタラの元カノみたいだ。まったく、いい大人が情けない……。
「……そりゃあ、全然寂しくないなんて言ったら嘘になるよ。でも、あの状況でピピを引き留めるわけにはいかないだろ。せっかく再会できた家族と引き離すことになるんだぞ」
「そうとは限らないけどね。ピピちゃんがどういう選択をするか、それは本人しかわからないんだし」
「……だとしても、ピピがいるべき場所はここじゃないよ」
アクセルは自嘲気味に笑った。滲んできた涙を、どうにかこうにか引っ込める。
「もういいんだ。この話はやめよう。明日になれば気持ちも切り替えられていると思うから……今はなるべく、気を紛らわせていたいんだ」
「…………」
「……それくらいいいだろ、兄上」
「そっか……わかったよ」
これ以降、兄は何も言わずにいつも通り振る舞ってくれた。
アクセルもなるべくいつもと同じことをして気を紛らわせようとしたが、庭で鍛錬すると空っぽになったうさぎ小屋が目につくし、食事を用意するといつもの習慣でピピの野菜スープを作ろうしてしまう。
それでいかにピピが身近な存在だったか思い知り、寂しさに胸が痛くなってつい泣きそうになった。
――ああもう……何してるんだ、俺は……。
ピピのためにあえて離れたのに、なんて女々しいんだ。未練タラタラの元カノみたいだ。まったく、いい大人が情けない……。
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