1,125 / 3,048
第11章~強くなるために~
第70話
しおりを挟む
「わかった、今から夕食作ってくるよ。ちょっと待っててくれ」
すぐさまキッチンに戻り、食材を切り刻む。ザクザクと切り刻む音がいつもより心地よかった。
「ピピちゃん、帰って来てくれてよかったねぇ」
と、兄がキッチンに入って来る。
「もっとも、私は近いうちに帰ってくるだろうとは思ってたけど」
「えっ? 何でだ?」
「だって、ピピちゃんにとってはここでの暮らしはメリットばかりだもん。しっかりしたうさぎ小屋で雨風は凌げるし、待っていれば自動的に美味しいご飯が出て来るし、狼を気にせずに走り回ることもできる。これから露天風呂も作ってくれるっていうんだから、ピピちゃんにとっては至れり尽くせりなんじゃないかな」
「そ、そういうことだったのか……」
言われてみれば、山で家族と暮らすよりも遥かに快適で危険性は少ない。もともとピピは臆病な性格だし、寝ている間に狼に襲われないというだけでも十分すぎるメリットなのかもしれない。
兄は笑いながら続けた。
「まあ理由はどうあれ、こっちを選んだのは事実なわけで。あまり深く考えなくていいんじゃないかな。これまで通り愛情をもって接してあげれば、ピピちゃんはきっと幸せさ」
「……だといいけどな」
ちょっと苦笑しつつ、アクセルはひたすら野菜を切り刻んだ。今日見つけたヒノキの群生地、覚えてるだろうか……と少し心配になった。
すぐさまキッチンに戻り、食材を切り刻む。ザクザクと切り刻む音がいつもより心地よかった。
「ピピちゃん、帰って来てくれてよかったねぇ」
と、兄がキッチンに入って来る。
「もっとも、私は近いうちに帰ってくるだろうとは思ってたけど」
「えっ? 何でだ?」
「だって、ピピちゃんにとってはここでの暮らしはメリットばかりだもん。しっかりしたうさぎ小屋で雨風は凌げるし、待っていれば自動的に美味しいご飯が出て来るし、狼を気にせずに走り回ることもできる。これから露天風呂も作ってくれるっていうんだから、ピピちゃんにとっては至れり尽くせりなんじゃないかな」
「そ、そういうことだったのか……」
言われてみれば、山で家族と暮らすよりも遥かに快適で危険性は少ない。もともとピピは臆病な性格だし、寝ている間に狼に襲われないというだけでも十分すぎるメリットなのかもしれない。
兄は笑いながら続けた。
「まあ理由はどうあれ、こっちを選んだのは事実なわけで。あまり深く考えなくていいんじゃないかな。これまで通り愛情をもって接してあげれば、ピピちゃんはきっと幸せさ」
「……だといいけどな」
ちょっと苦笑しつつ、アクセルはひたすら野菜を切り刻んだ。今日見つけたヒノキの群生地、覚えてるだろうか……と少し心配になった。
0
あなたにおすすめの小説
強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない
砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。
自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。
ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。
とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。
恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。
ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。
落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!?
最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。
12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生
平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)
優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。
本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。
普通の男の子がヤンデレや変態に愛されるだけの短編集、はじめました。
山田ハメ太郎
BL
タイトル通りです。
お話ごとに章分けしており、ひとつの章が大体1万文字以下のショート詰め合わせです。
サクッと読めますので、お好きなお話からどうぞ。
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった
cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。
一途なシオンと、皇帝のお話。
※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる