転生したらいろんな意味で兄に可愛がられています~ヴァルハラで死合いましょう~

夢咲まゆ

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第11章~強くなるために~

第70話

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「わかった、今から夕食作ってくるよ。ちょっと待っててくれ」

 すぐさまキッチンに戻り、食材を切り刻む。ザクザクと切り刻む音がいつもより心地よかった。

「ピピちゃん、帰って来てくれてよかったねぇ」

 と、兄がキッチンに入って来る。

「もっとも、私は近いうちに帰ってくるだろうとは思ってたけど」
「えっ? 何でだ?」
「だって、ピピちゃんにとってはここでの暮らしはメリットばかりだもん。しっかりしたうさぎ小屋で雨風は凌げるし、待っていれば自動的に美味しいご飯が出て来るし、狼を気にせずに走り回ることもできる。これから露天風呂も作ってくれるっていうんだから、ピピちゃんにとっては至れり尽くせりなんじゃないかな」
「そ、そういうことだったのか……」

 言われてみれば、山で家族と暮らすよりも遥かに快適で危険性は少ない。もともとピピは臆病な性格だし、寝ている間に狼に襲われないというだけでも十分すぎるメリットなのかもしれない。

 兄は笑いながら続けた。

「まあ理由はどうあれ、こっちを選んだのは事実なわけで。あまり深く考えなくていいんじゃないかな。これまで通り愛情をもって接してあげれば、ピピちゃんはきっと幸せさ」
「……だといいけどな」

 ちょっと苦笑しつつ、アクセルはひたすら野菜を切り刻んだ。今日見つけたヒノキの群生地、覚えてるだろうか……と少し心配になった。
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