1,188 / 2,483
第11章~強くなるために~
第133話
しおりを挟む
人質の件は自分にも当てはまるので、さすがにバツが悪かった。確かにホズの身からすると、どこの馬の骨ともわからないヤツが兄の屋敷に住んでいると知れたら、気が気ではないかもしれない。
「あの……一応断っておきますけど、俺はそういう気持ちは一ミリもありませんでしたよ?」
「わざわざ断らんでいい。それに『一ミリもない』と断言されるのも、それはそれで複雑だ。兄上に魅力なんてないと言われているみたいだろ」
「い、いえ、決してそのような……! バルドル様はどこから見ても素敵な神様ですよ」
「そんなことはわかっている。というか、そうやって手放しで褒められるのもまた微妙な気分になるんだ。兄上に気があるのかと思ってしまうからな」
「そんな……。じゃあ俺はどうすればいいんですか」
気持ちはないと言ってもダメ、素敵な神様だと褒めてもダメ。となれば、何も言わず曖昧に微笑むくらいしかできない。
とはいえ、弁解しなければ誤解が大きくなってしまうこともあるし……こういう場合は一体どうするのが正解なのだろう。
頭を抱えていると、ホズは少し息を吐いて言った。
「……と、このように『気持ち』というのは思った以上に複雑だ。どうやっても正解に辿り着けないこともままある」
「は、はあ……」
「だからこそ、時には『見て見ぬフリ』をするのも重要だ。他人の一挙手一投足をいちいち気にして、その度に一喜一憂していたら身がもたないだろう。浮気される度に大喧嘩するわけにもいかないしな」
「あの……一応断っておきますけど、俺はそういう気持ちは一ミリもありませんでしたよ?」
「わざわざ断らんでいい。それに『一ミリもない』と断言されるのも、それはそれで複雑だ。兄上に魅力なんてないと言われているみたいだろ」
「い、いえ、決してそのような……! バルドル様はどこから見ても素敵な神様ですよ」
「そんなことはわかっている。というか、そうやって手放しで褒められるのもまた微妙な気分になるんだ。兄上に気があるのかと思ってしまうからな」
「そんな……。じゃあ俺はどうすればいいんですか」
気持ちはないと言ってもダメ、素敵な神様だと褒めてもダメ。となれば、何も言わず曖昧に微笑むくらいしかできない。
とはいえ、弁解しなければ誤解が大きくなってしまうこともあるし……こういう場合は一体どうするのが正解なのだろう。
頭を抱えていると、ホズは少し息を吐いて言った。
「……と、このように『気持ち』というのは思った以上に複雑だ。どうやっても正解に辿り着けないこともままある」
「は、はあ……」
「だからこそ、時には『見て見ぬフリ』をするのも重要だ。他人の一挙手一投足をいちいち気にして、その度に一喜一憂していたら身がもたないだろう。浮気される度に大喧嘩するわけにもいかないしな」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
802
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる