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第13章~獣化の秘密~
第58話
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ミューくらい小柄なら余裕だと思うが、自分はそこまで小柄じゃないので、途中でつっかえないよう気を付けないと……。
「……って、これが梯子?」
申し訳程度にくっついているロープのようなものを見て、愕然とする。
もう少ししっかりした梯子がついているのかと思いきや、ただロープを編んだだけの簡素な梯子しか設置されていなかった。ロープ自体もかなり古くなってボロボロになっていて、強く引っ張ったらブチッと切れてしまいそうだった。
こんな状態のものを使って大丈夫だろうか。下りている途中で切れたら、戻ってこられなくなってしまう。それに……あまりに高いところで切れたら地下通路まで真っ逆さまだし、下手したら打ち所が悪くて死ぬ可能性も……。
「うーん……」
しばらくそこで迷いに迷い、様々なことを天秤にかけた結果、結局踏ん切りがつかずに、アクセルは泣く泣くその場を後にした。
やはり、勢いのまま突き進むのは危険だ。それで何度も失敗してきたし、今はそれをフォローしてくれる人もいない。
せめて、丈夫なロープを用意してからまた来よう。急いで編めば、明日にはまた来られるはず。
そう思い直し、アクセルは早足で家に帰った。
市場で梯子に必要な材料を買い揃え、ベランダの椅子で黙々とロープを編む。
案の定、ピピが近づいてきて「なにしてるの?」と首をかしげてきた。
「ぴー?」
「ロープを編んで梯子を作ってるんだ。急いでるからおとなしくしててな」
「ぴ……」
「……って、これが梯子?」
申し訳程度にくっついているロープのようなものを見て、愕然とする。
もう少ししっかりした梯子がついているのかと思いきや、ただロープを編んだだけの簡素な梯子しか設置されていなかった。ロープ自体もかなり古くなってボロボロになっていて、強く引っ張ったらブチッと切れてしまいそうだった。
こんな状態のものを使って大丈夫だろうか。下りている途中で切れたら、戻ってこられなくなってしまう。それに……あまりに高いところで切れたら地下通路まで真っ逆さまだし、下手したら打ち所が悪くて死ぬ可能性も……。
「うーん……」
しばらくそこで迷いに迷い、様々なことを天秤にかけた結果、結局踏ん切りがつかずに、アクセルは泣く泣くその場を後にした。
やはり、勢いのまま突き進むのは危険だ。それで何度も失敗してきたし、今はそれをフォローしてくれる人もいない。
せめて、丈夫なロープを用意してからまた来よう。急いで編めば、明日にはまた来られるはず。
そう思い直し、アクセルは早足で家に帰った。
市場で梯子に必要な材料を買い揃え、ベランダの椅子で黙々とロープを編む。
案の定、ピピが近づいてきて「なにしてるの?」と首をかしげてきた。
「ぴー?」
「ロープを編んで梯子を作ってるんだ。急いでるからおとなしくしててな」
「ぴ……」
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