転生したらいろんな意味で兄に可愛がられています~ヴァルハラで死合いましょう~

夢咲まゆ

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第23章~間幕・透ノ国へ~

第25話

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「そう? じゃあマント掴んでていいよ。そうしてくれた方が、お前がちゃんとついてきていることがわかって、私も安心する」

 そう言われたので、アクセルは兄の片マントの端をそっと摘まんだ。何も触っていないと不安だが、これなら兄の存在を確かめられる。それだけでも随分安心できた。

 そのまま下に降りていき、とある開けた場所に出る。

 暗かった道が急に明るくなったので、アクセルは反射的に手で光を遮った。

「おや、ここは……」

 兄が周囲を見回している。

 そこは研究施設のような場所で、素人にはよくわからない機械や器、ストレッチャーなどが大量に置かれていた。

 ただ、しばらく使われていないみたいで、片付けも中途半端なまま放置されている。

 嫌な汗が背中を伝い、アクセルはポツリと呟いた。

「夢で見た光景とよく似ている……」
「……そうかい。だったらお前の言う、『カプセルに入った赤子』もいるかもしれないね」
「もしいたらどうするんだ……?」
「そりゃあ、始末するしかないでしょ。魂が入っていない身体なんて、ただの肉塊だもの」
「…………」
「ここまで来たなら、お前も覚悟を決めなさい」

 厳しいことを言われ、アクセルは無言のまま目を伏せた。

 兄の言うことは正しい。いい加減、覚悟を決めなければいけないというのもわかる。

 だけど、いざその場に直面した時、自分は躊躇なくカプセルを始末できる自信がない。片付けなければいけないのは承知しているが、「もしかしたらこれが俺になっていたのかも」などと考えてしまうと、どうしても……。
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