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第30章~奇妙な敵~
第44話*(リバ注意)
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「約束してくれ。もう二度と軽々しく命を放り投げたりしないって。俺と同じくらい、自分の身も大事にするって」
「アクセル……」
「兄上は俺より好戦的だ。この先、万が一ヴァルキリーと戦争になったら、苛烈な戦いにも赴きかねない。戦士としてはそれが正しい姿なんだろう。でも俺は……」
「…………」
「俺はもう、二度と兄上と死に別れたくないんだ……」
泣きそうになりながらも、一生懸命気持ちを伝える。
その後の記憶がなくなるほどショックだった出来事。瀕死の兄が血塗れ状態で運ばれてきて、その場で最期の言葉を交わした。
生前は自分の気持ちを伝えることもできず、亡くなった兄の唇にそっと口付けたものだった。その時のキスは強烈な血と涙の味がしたのを覚えている。
そんな経験、もう二度としたくない。もしまた同じようなことがあったら、今度こそアクセルは立ち直れないだろう。
すると兄は、こちらの髪を優しく撫でてこう言った。
「わかったよ。私だって、お前を泣かせるのは本意じゃない。戦うのは好きだけど、お前を置いて死ぬようなことはしないよ」
「……本当か? 約束してくれるか?」
「うん、約束する」
「絶対に?」
「絶対にだよ。ヴァルハラで死んだら、本当におしまいだもの」
兄もそのことはわかっているらしい。オーディンの魔法に頼れなくなったら、待っているのは純粋な「死」のみである。
さすがにそれは、兄も望んではいないのだろう。
アクセルは兄の手を握り、コツンと額をくっつけた。そして囁くように言った。
「アクセル……」
「兄上は俺より好戦的だ。この先、万が一ヴァルキリーと戦争になったら、苛烈な戦いにも赴きかねない。戦士としてはそれが正しい姿なんだろう。でも俺は……」
「…………」
「俺はもう、二度と兄上と死に別れたくないんだ……」
泣きそうになりながらも、一生懸命気持ちを伝える。
その後の記憶がなくなるほどショックだった出来事。瀕死の兄が血塗れ状態で運ばれてきて、その場で最期の言葉を交わした。
生前は自分の気持ちを伝えることもできず、亡くなった兄の唇にそっと口付けたものだった。その時のキスは強烈な血と涙の味がしたのを覚えている。
そんな経験、もう二度としたくない。もしまた同じようなことがあったら、今度こそアクセルは立ち直れないだろう。
すると兄は、こちらの髪を優しく撫でてこう言った。
「わかったよ。私だって、お前を泣かせるのは本意じゃない。戦うのは好きだけど、お前を置いて死ぬようなことはしないよ」
「……本当か? 約束してくれるか?」
「うん、約束する」
「絶対に?」
「絶対にだよ。ヴァルハラで死んだら、本当におしまいだもの」
兄もそのことはわかっているらしい。オーディンの魔法に頼れなくなったら、待っているのは純粋な「死」のみである。
さすがにそれは、兄も望んではいないのだろう。
アクセルは兄の手を握り、コツンと額をくっつけた。そして囁くように言った。
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