転生したらいろんな意味で兄に可愛がられています~ヴァルハラで死合いましょう~

夢咲まゆ

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第30章~奇妙な敵~

第48話*(リバ注意)

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「……まあ、お前が堪え性ないのは知ってたけど。でもそんなに興奮してちゃ、やることもやれない。落ち着くまで少しじっとしていなさい」
「……はい……」

 どっちが抱いているのかわからないような台詞だ。

 ――ああもう……俺、さっきからダメダメすぎる……。

 自分の気持ちを伝えたくて強引に兄を押し倒したのに、これでは雰囲気に呑まれているだけではないか。全く、情けない。

 何とか気持ちを落ち着かせるべく、アクセルは深呼吸を繰り返した。

 その間兄はこちらを優しく撫で、暴走しそうな興奮状態を鎮めようとしてくれた。

「ふー……ふー……」
「そう、いいよ……。そのままゆっくり深呼吸して……」
「……兄上……」

 何度も酸素を取り込んでいたら、少しずつ頭がクリアになってきた。

 兄に包まれている欲望が熱に溶け出し、じんわりと中で一体化していく感じがする。獣めいた興奮とは違う、温かくて幸せな感情が溢れて来る。

 気付いたら、目からぽろりと涙がこぼれ落ちていた。

「ちょっと……何で泣いてるの? まだそんなすごいことしてないでしょ……。急に情緒不安定になってない?」
「違うんだ……。上手く説明できないけど、なんか嬉しくて……。こんな風に兄上と交われるのが、本当に幸せで……」
「……それは知ってる。私も、久しぶりの感覚ですごくいい気分だよ……。地上で生きていた時は、こんなこと考えられなかったもんね……」

 こくこくと頷きながら、アクセルは自分の目元を拭った。
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