2,903 / 3,048
第32章~事の真相~
第86話
しおりを挟む
「だからお前、心配だからって勝手に家を飛び出すんじゃないよ? お前が行っていいのは市場まで。その際はバルドル様も連れて行くこと。わかった?」
「は、はい……」
これでもかと釘を刺され、アクセルは強制的に留守番させられる羽目になった。
バルドルと一緒だから寂しくはないけど、随分と信用を失ってしまった気がする。
――仕方ないか……俺の自業自得だしな……。
軽く溜息をつき、キッチンの片付けを再開した。
ついでにコンロや流しを掃除し、食料庫の整理も行う。昨日まではたんまりあった食料が、もう底を尽きかけていた。
市場のおかげで食料は手軽に手に入るようになったけど、それでもちょっと間を置くとすぐ食料がなくなってしまう。
うちはよく食べる人が多いから、こまめに買い出しに行かないと……。
「ねえアクセル、ちょっと散歩に行かない?」
バルドルがキッチンにやってきた。
彼は庭でピピやカメを眺めていることが多いのだが、ただボーッとしているのも手持ち無沙汰であろう。
アクセルは手を拭いて立ち上がった。
「いいですよ、どこに行きましょうか」
「それはアクセルが決めてくれないかな。私はヴァルハラにはあまり詳しくないから」
「あー……じゃあ、市場に買い出しにでも行きます? そこまでなら兄も怒らないでしょうし」
早速買い物籠を持ち、戸締りをして市場に向かう。
道中、スタジアムの前を通りかかったので、バルドルに説明してやった。
「今は死合いも中止のままですけど、普段は俺たちここで戦ってるんですよ。毎日誰かしらの死合いをやってるので、通りかかるだけで歓声が聞こえてきたものです」
「そうか……。いつかアクセルとフレインの死合いも見てみたいね」
「は、はい……」
これでもかと釘を刺され、アクセルは強制的に留守番させられる羽目になった。
バルドルと一緒だから寂しくはないけど、随分と信用を失ってしまった気がする。
――仕方ないか……俺の自業自得だしな……。
軽く溜息をつき、キッチンの片付けを再開した。
ついでにコンロや流しを掃除し、食料庫の整理も行う。昨日まではたんまりあった食料が、もう底を尽きかけていた。
市場のおかげで食料は手軽に手に入るようになったけど、それでもちょっと間を置くとすぐ食料がなくなってしまう。
うちはよく食べる人が多いから、こまめに買い出しに行かないと……。
「ねえアクセル、ちょっと散歩に行かない?」
バルドルがキッチンにやってきた。
彼は庭でピピやカメを眺めていることが多いのだが、ただボーッとしているのも手持ち無沙汰であろう。
アクセルは手を拭いて立ち上がった。
「いいですよ、どこに行きましょうか」
「それはアクセルが決めてくれないかな。私はヴァルハラにはあまり詳しくないから」
「あー……じゃあ、市場に買い出しにでも行きます? そこまでなら兄も怒らないでしょうし」
早速買い物籠を持ち、戸締りをして市場に向かう。
道中、スタジアムの前を通りかかったので、バルドルに説明してやった。
「今は死合いも中止のままですけど、普段は俺たちここで戦ってるんですよ。毎日誰かしらの死合いをやってるので、通りかかるだけで歓声が聞こえてきたものです」
「そうか……。いつかアクセルとフレインの死合いも見てみたいね」
8
あなたにおすすめの小説
うちの家族が過保護すぎるので不良になろうと思います。
春雨
BL
前世を思い出した俺。
外の世界を知りたい俺は過保護な親兄弟から自由を求めるために逃げまくるけど失敗しまくる話。
愛が重すぎて俺どうすればいい??
もう不良になっちゃおうか!
少しおばかな主人公とそれを溺愛する家族にお付き合い頂けたらと思います。
説明は初めの方に詰め込んでます。
えろは作者の気分…多分おいおい入ってきます。
初投稿ですので矛盾や誤字脱字見逃している所があると思いますが暖かい目で見守って頂けたら幸いです。
※(ある日)が付いている話はサイドストーリーのようなもので作者がただ書いてみたかった話を書いていますので飛ばして頂いても大丈夫だと……思います(?)
※度々言い回しや誤字の修正などが入りますが内容に影響はないです。
もし内容に影響を及ぼす場合はその都度報告致します。
なるべく全ての感想に返信させていただいてます。
感想とてもとても嬉しいです、いつもありがとうございます!
5/25
お久しぶりです。
書ける環境になりそうなので少しずつ更新していきます。
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない
砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。
自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。
ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。
とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。
恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。
ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。
落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!?
最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。
12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生
弟のために悪役になる!~ヒロインに会うまで可愛がった結果~
荷居人(にいと)
BL
BL大賞20位。読者様ありがとうございました。
弟が生まれた日、足を滑らせ、階段から落ち、頭を打った俺は、前世の記憶を思い出す。
そして知る。今の自分は乙女ゲーム『王座の証』で平凡な顔、平凡な頭、平凡な運動能力、全てに置いて普通、全てに置いて完璧で優秀な弟はどんなに後に生まれようと次期王の継承権がいく、王にふさわしい赤の瞳と黒髪を持ち、親の愛さえ奪った弟に恨みを覚える悪役の兄であると。
でも今の俺はそんな弟の苦労を知っているし、生まれたばかりの弟は可愛い。
そんな可愛い弟が幸せになるためにはヒロインと結婚して王になることだろう。悪役になれば死ぬ。わかってはいるが、前世の後悔を繰り返さないため、将来処刑されるとわかっていたとしても、弟の幸せを願います!
・・・でもヒロインに会うまでは可愛がってもいいよね?
本編は完結。番外編が本編越えたのでタイトルも変えた。ある意味間違ってはいない。可愛がらなければ番外編もないのだから。
そしてまさかのモブの恋愛まで始まったようだ。
お気に入り1000突破は私の作品の中で初作品でございます!ありがとうございます!
2018/10/10より章の整理を致しました。ご迷惑おかけします。
2018/10/7.23時25分確認。BLランキング1位だと・・・?
2018/10/24.話がワンパターン化してきた気がするのでまた意欲が湧き、書きたいネタができるまでとりあえず完結といたします。
2018/11/3.久々の更新。BL小説大賞応募したので思い付きを更新してみました。
平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています
七瀬
BL
あらすじ
春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。
政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。
****
初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m
俺がこんなにモテるのはおかしいだろ!? 〜魔法と弟を愛でたいだけなのに、なぜそんなに執着してくるんだ!!!〜
小屋瀬
BL
「兄さんは僕に守られてればいい。ずっと、僕の側にいたらいい。」
魔法高等学校入学式。自覚ありのブラコン、レイ−クレシスは、今日入学してくる大好きな弟との再会に心を踊らせていた。“これからは毎日弟を愛でながら、大好きな魔法制作に明け暮れる日々を過ごせる”そう思っていたレイに待ち受けていたのは、波乱万丈な毎日で―――
義弟からの激しい束縛、王子からの謎の執着、親友からの重い愛⋯俺はただ、普通に過ごしたいだけなのにーーー!!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる