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第32章~事の真相~
第94話
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オーディンの娘たちという立場があったからそれなりの仕事を任されていたのに、今やそのオーディンから「仕事を任せられない」と思われているのである。
あれだけ上から目線で威張り散らかしていたヴァルキリーたちが、既存の仕事すら没収されて手持無沙汰になっていく。それを想像したらやや滑稽に思えてきた。
もしかすると、このゴタゴタが解決したらヴァルハラの管理者ですらも降ろされるかもしれない。それはそれでこちらにとって非常に都合がいい。
そんなことを考えていると、兄は小さく息を吐いて言った。
「……まあとにかく、ロキのことは私たちで何とかしましょう。オーディン様がそんな状況じゃ、他に頼れる人もいませんし」
兄が輪切りにされた丸太をひょいと放り投げた。
そして素早く太刀を抜き放つと、落ちてきた木材をスパッと真っ二つに切った。
「とはいえ、私自身も太刀筋がブレ気味です。狂戦士モードがどれくらい長続きするかも計っていませんし、今は実力を戻すことを最優先にした方がいいでしょうね」
「あ、じゃあケイジ様の修行場にでも行かないか? 最近あまり行けてなかったし、あそこならみっちり鍛錬できるぞ」
「ケイジの修行場……? あそこは行くだけでも大変だから好きじゃないんだけど……まあ、手っ取り早く実力を戻すのはそれが一番か」
「よし、じゃあ今から行こう。バルドル様も行きますよね?」
「あ、うん……いいけど、なんかちょっと怖いな。一体どんな修行場なんだろう」
アクセルは急いで出掛ける準備をし、軽食やタオルを持って三人で山に入った。
ケイジの修行場は比較的麓にある初級コース、更にその奥にある上級コースとで分かれている。
あれだけ上から目線で威張り散らかしていたヴァルキリーたちが、既存の仕事すら没収されて手持無沙汰になっていく。それを想像したらやや滑稽に思えてきた。
もしかすると、このゴタゴタが解決したらヴァルハラの管理者ですらも降ろされるかもしれない。それはそれでこちらにとって非常に都合がいい。
そんなことを考えていると、兄は小さく息を吐いて言った。
「……まあとにかく、ロキのことは私たちで何とかしましょう。オーディン様がそんな状況じゃ、他に頼れる人もいませんし」
兄が輪切りにされた丸太をひょいと放り投げた。
そして素早く太刀を抜き放つと、落ちてきた木材をスパッと真っ二つに切った。
「とはいえ、私自身も太刀筋がブレ気味です。狂戦士モードがどれくらい長続きするかも計っていませんし、今は実力を戻すことを最優先にした方がいいでしょうね」
「あ、じゃあケイジ様の修行場にでも行かないか? 最近あまり行けてなかったし、あそこならみっちり鍛錬できるぞ」
「ケイジの修行場……? あそこは行くだけでも大変だから好きじゃないんだけど……まあ、手っ取り早く実力を戻すのはそれが一番か」
「よし、じゃあ今から行こう。バルドル様も行きますよね?」
「あ、うん……いいけど、なんかちょっと怖いな。一体どんな修行場なんだろう」
アクセルは急いで出掛ける準備をし、軽食やタオルを持って三人で山に入った。
ケイジの修行場は比較的麓にある初級コース、更にその奥にある上級コースとで分かれている。
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