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異世界に帰りたいはずなのに
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休み時間。
教室は一気に騒がしくなった。
転校生の席には、
さっそく人だかりができている。
「前どこいたの?」
「彼女いる?」
「部活やる?」
矢継ぎ早の質問にも、
光一は表情を変えない。
「秘密」
「いない」
「考えてない」
短い返事だけ返している。
その様子を横目に、
廊下へ出る。
少しして、
後ろから足音がついた。
「逃げたな」
振り向かずに言う。
「面倒だ」
光一が隣に立つ。
窓の外を見るふりをしながら、
小声で聞く。
「……そっちは、順調か」
一瞬だけ、間。
「まあな」
淡々と返る。
「昨日も徳を積んだ」
「何やった」
「妹に飯作った」
思わず息が漏れる。
「毎日か?」
「ああ」
「安定してポイントが入る」
相変わらず合理的だ。
「そっちは」
今度は向こうが聞く。
「昨日、やりかけたの止めた」
「殴らなかった」
光一は一瞬だけこちらを見る。
「らしいな」
「見てたのか」
「女神が言ってた」
ため息が出る。
「監視付きかよ」
「修行だからな」
廊下を生徒が通り過ぎる。
平和な音。
だが話している内容は、
戦場帰りの会話だ。
「俺はさっさと徳を積んで戻る」
迷いのない声だった。
「長居する気はない」
「向こうの方が性に合ってる」
光一は言い切る。
強いか、死ぬか。
あの世界の方が、
分かりやすかった。
「お前もだろ」
当然のように聞かれる。
一瞬、言葉に詰まる。
だが、すぐに答えた。
「ああ」
「俺も戻る」
本来は、それしかない。
この世界では、
力も使えない。
戦うこともできない。
俺はただの高校生で、
特別なことなんて何もできない。
役に立たない。
だから、早く戻るべきだ。
――なのに。
胸の奥に、
小さな違和感が残る。
理由は分からない。
ただ、
何かを置いていくような、
そんな感覚だけが引っかかった。
「どうした」
「……いや、別に」
首を振る。
チャイムが鳴る。
「先戻るぞ」
「ああ」
光一は教室へ戻っていく。
一歩遅れて歩きながら、
小さく息を吐く。
(……何なんだ)
帰りたいはずなのに。
それでも――
後ろ髪を引かれている自分がいた。
教室は一気に騒がしくなった。
転校生の席には、
さっそく人だかりができている。
「前どこいたの?」
「彼女いる?」
「部活やる?」
矢継ぎ早の質問にも、
光一は表情を変えない。
「秘密」
「いない」
「考えてない」
短い返事だけ返している。
その様子を横目に、
廊下へ出る。
少しして、
後ろから足音がついた。
「逃げたな」
振り向かずに言う。
「面倒だ」
光一が隣に立つ。
窓の外を見るふりをしながら、
小声で聞く。
「……そっちは、順調か」
一瞬だけ、間。
「まあな」
淡々と返る。
「昨日も徳を積んだ」
「何やった」
「妹に飯作った」
思わず息が漏れる。
「毎日か?」
「ああ」
「安定してポイントが入る」
相変わらず合理的だ。
「そっちは」
今度は向こうが聞く。
「昨日、やりかけたの止めた」
「殴らなかった」
光一は一瞬だけこちらを見る。
「らしいな」
「見てたのか」
「女神が言ってた」
ため息が出る。
「監視付きかよ」
「修行だからな」
廊下を生徒が通り過ぎる。
平和な音。
だが話している内容は、
戦場帰りの会話だ。
「俺はさっさと徳を積んで戻る」
迷いのない声だった。
「長居する気はない」
「向こうの方が性に合ってる」
光一は言い切る。
強いか、死ぬか。
あの世界の方が、
分かりやすかった。
「お前もだろ」
当然のように聞かれる。
一瞬、言葉に詰まる。
だが、すぐに答えた。
「ああ」
「俺も戻る」
本来は、それしかない。
この世界では、
力も使えない。
戦うこともできない。
俺はただの高校生で、
特別なことなんて何もできない。
役に立たない。
だから、早く戻るべきだ。
――なのに。
胸の奥に、
小さな違和感が残る。
理由は分からない。
ただ、
何かを置いていくような、
そんな感覚だけが引っかかった。
「どうした」
「……いや、別に」
首を振る。
チャイムが鳴る。
「先戻るぞ」
「ああ」
光一は教室へ戻っていく。
一歩遅れて歩きながら、
小さく息を吐く。
(……何なんだ)
帰りたいはずなのに。
それでも――
後ろ髪を引かれている自分がいた。
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