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第二章 ダンテと離婚希望の君6
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かくして、試合の日はやってきた。
ちょうどハルピュイアの買い出しの日でもあったので、キールがリシュと共に、街へ出るついでにスタジアムに応援に来てくれた。
試合開始まではあと三十分ほど。
ちょっとした市民球場くらいの規模のスタジアムには、お客さんがぎゅうぎゅうに入っている。本当に人気スポーツなんだ。
心配していたチームメイトとの軋轢は、ほとんど問題なかった。
なにしろ、メメン・トモモリの選手たちときたら、ユニフォームを着たダンテがロッカーに現れるなり、
「うおおおおお!」
「ダンテさん!」
「本物!」
「おれ、小さい頃に試合見てました!」
と喜び勇んでダンテを囲んでしまう。
「みんな、今日は無理言って済まねえな。魔道での後方支援はルリエル、おれは司令塔として中盤にいる。点取り役は、そこのリドーレだ。ほかのみんなは、ディフェンスに集中してくれ」
そういって示されたリドーレを見るみんなの目は、こころなしか冷たい。
無理もないか。本来、二軍の選手だっていうし。
さっきまで浮かれていた選手たちは、
「リドーレって、誰だよ」
「ダンテさんがおっしゃるからやるんだぜ」
「昔はそこそこできたらしいけど、今はただの酒浸り野郎だろ?」
と口々に言う。
当のリドーレは、浮かれる気持ち半分、恐縮が半分――もとい、三対七くらいのようだ。
毛の細そうな金色の長髪をオールバックにして、いかめしそうに見えてもよさそうなのに、あまり体格がいいほうではないせいもあってどこか貧相だった。両手のひらを合わせてもじもじとしてるのも、どうもスポーツマンらしくない。
こんな人が、調子のいい嘘つきで、家では暴君……? お酒って、怖いな。とはいえ、飲んでるのは本人なんだから、あまり同情もできないけど。
試合開始時間になったので、私たちは整列した。
私もダンテもユニフォーム姿になったんだけど、服装としてはバスケットとかバレーに近いと思う。
さすがというか、ダンテは様になっていた。
一方私は、今日も赤いマスクを着けているため、ユニフォームのスポーツ感と顔面が裏腹で、完全に浮いていた。
「頑張ってください、ルリエル!」
「負けんなよ! ぶっ飛ばしてやれ!」
客席から、キールとリシュの声が聞こえた。そちらを見ると、二人とも両手を振ってくれていたので、こっちもひらひらと手を振って応える。
スタジアムはかなり賑やかだけど、彼らもテンションが上がっているように見えた。うーむ、本当に人気のスポーツなんだな。
よく見たら、二人の横に、フルクトラさんがいた。はらはらとした様子で、こっちを見ている。まあ、二軍級の夫、ここのとこ練習したとはいえ引退済みのダンテ、ほぼ素人の私、というチーム事情を知っているんだから、無理もないけど。
「セット!」と審判の声が響いた。
私たちの赤いユニフォームに対して、相手チーム――キッスなんとか――は黄土色。
それぞれが一列に並んだかと思うと、一気にフィールドに散った。フィールドの形式はサッカーやバスケットと同じで、中心にセンターサークルがあって、向き合う形でゴールが二つ。長さは七十メートルくらい、幅は四十メートルくらいあって、そこそこ広い。ただ、十六人もの人間が走り回ると思うと、意外に余裕がない気もする。
ボールはバスケットみたいにドリブルとかはせずに、手でもって運ぶ。それを奪い合うので、結構激しいコンタクトがある……らしい。
なので選手の皆さんは、揃いも揃って、しっかりした体格であられた。それでも一番立派な体つきをしているのはダンテだけど。
作戦通り、リドーレ氏が最前線。そのすぐ後ろにダンテ。
ほかのメンバーは自陣のゴール近くに控えて、私は遊撃隊よろしく、全体を見渡しやすい好きな位置にいていいそうだ。
「フェイス・オフ!」
そう審判が叫ぶと、フィールドの中央にボールが投げ込まれた。
リドーレがジャンプして手を伸ばす。けれど、その体は敵チームの選手に弾かれ、バレーボールより少し小さいくらいの白い球は、相手の手に渡った。
多少の体のぶつかり合いくらいでは、ファウルにならないんだな。ダンテからも、「ルリエルは肉弾戦に巻き込まれないように注意しろ」と言われている。
ボールを持って一気に駆け出そうとした相手選手に、ダンテがタックルした。その手からこぼれたボールを奪い取り、私とリドーレに、「上がれ!」と檄を飛ばす。
「了解!」と私。
「は、はいい!」とリドーレ。ほんと、いまいち迫力がないな? いや、私生活ではむしろそうして欲しいんだけど。
ダンテに、敵選手が次々と襲いかかった。
それを、ダンテは時にひらりとかわし、時に腕ではねのけながら、ゴールへと迫っていく。
相手ゴールには、二人の選手が立ちはだかっていた。ハンドボールより少し広いくらいのゴールには、ほとんどもう隙間がない。
「ほうっ、ダブルキーパー型か!」とダンテが叫ぶ。
「えっなにそれ、そんなのいいの!?」
「別に悪くはねえだろ! そうらよ!」
ダンテが、ゴール前で細かいステップを刻んだ。相手のディフェンスとキーパーの一人が、それに吊り出されてくる。
「よおし、リドーレ! 行けッ!」
「は、はいい!?」
ダンテが、リドーレを見もせずに正確なパスを出した。ダンテに翻弄されていた相手のゴールは隙だらけだ。
素人の私にも、そのプレイの凄さは分かった。その場にいた全員が、意表を突かれ、ボールに釘づけになってしまい、動けない。
……リドーレも含めて。
実況が、マイクのような効果の魔術を使っているらしく、やたらとエコーの効いた声で叫んでくる。
『おおっと、伝説のプレーヤーダンテのノールックパス! しかし本日ワントップに抜擢のリドーレ、これを取れない! ボールはラインを割りまして、スローイン!』
てんてんとフィールドの外に転がっていったボールが、投げ返されてきた。
相手チームがそれを受け取ると、リドーレはダンテに、
「あ、あの……す、すみま……」
と歯をかちかち鳴らしながら詫びようとする。
「なあに気にすんな! 固くなることねえよ、一本ずつ行こうぜ!」
ダンテがリドーレの背中をぽんぽんと叩いた。ダンテはあまり彼のことをよく思っていないはずなんだけど、試合の中と外で、また別ってことなのかな。
「ほらルリエル、油断すんなよ! 向こうの魔法使いも仕掛けてくるぞ!」
「う、うん。ねえダンテ、例の話本当なんだよね?」
「話?」
「うん。試合中は、ボールには魔法は使えないけど、フィールドや選手には使える。しかも、選手には対魔法処理がほどこしてあって、たとえば突風の魔法を受ければ飛ばされたりはするけど、魔法そのものでけがをすることはまずない、って」
「その通りだ。たとえばルリエルの魔法の矢を選手にぶち当てても、まあ転倒くらいはするだろうが、けがはしねえよ。だから思う存分やってくれ」
「ふううううん……思い通り、ねえ……」
私は腰に手を当てて、ゆっくりと息を吸い込んだ。
「……なんだよ」
「ダンテ、格闘技やってたなら知ってるよね。人間、たとえば殴り合いの試合をするにしても、実は、『相手をけがさせることへのストレス』って結構大きくて、このせいで無意識に攻撃側が委縮しちゃう時があるって」
「ああ、そりゃああるある。競技者は技比べがしたいんであって、別に相手を病院送りにするのが目的ってんじゃないからな」
「逆に言うとさ、……その心配がなければ、人は全力全開を出せるってことだよね」
新鮮な酸素と、大いなる期待が、一体となって私の胸を膨らませた。
「……おお。そうだな」
「プレーイン!」と審判の声が響き渡る。
相手チームが、ボールを持って私たちの陣地に攻め込んできた。
ディフェンスは味方に任せてあるので、私たち三人は守備に参加せずに敵陣近くにいる。
すると、リドーレがぼそぼそとダンテに話しかけていた。
「あ、あの、ダンテさん。あのルリエルさんて、魔法使いなんですよね?」
「ああ、そうだ。魔道士だから、攻撃魔法のスペシャリストだな」
「ということは、味方のスピードアップとか、耐久力アップみたいな、補助魔法はあまり期待できないってことですよね? 直接的に、敵選手を攻撃するばっかりで。相手のスピードダウンとかもさせられない、と」
「そうなるだろうな」
リドーレは、落ち着かない様子できょろきょろと敵味方を見回す。
ダンテは、それとは対照的に、てんで落ち着いていた。
「で、でも、それって、ダンテさんならご存じでしょうけど、マジカルボウルではあまり効果的じゃないってデータが出てますよね。攻撃魔法は見た目は派手ですけど、一時的な妨害にしかならないから、そんな戦術を使ってるチームは現代のマジカルボウルでは皆無ですよ。勝負を決めるのは、補助魔法です」
「もちろん知ってる。向こうの魔法使いは、魔術師みたいだな。多分、補助魔法が得意なんだろうよ」
のんきに首をこきこき言わせているダンテに、リドーレが(珍しく)強気に食ってかかる。
「だ、だったら! あんな、華奢で当たりに弱そうな女の子の魔法使いより、もう少し体格のいい補助魔法の使い手を選んでおけば!」
「あー。……お前が、なんで二軍なのか、それにそんなに冴えないプレイヤーなのか。分かる気がするな。女とか、ガタイとかは、大した問題じゃねえんだよ。……あれくらいになるとな」
「……あれくらい?」
「人材の本質を見抜け。チームプレイに必要なのは、それだ。それができねえようなやつが組織の中枢にいれば、どんなチームもガタガタになる。……ああ、いや、後半は個人的なこった。悪い」
……なんか、試合中に好きなことしゃべってるな。
その時、味方がボールを奪った。
すぐに、パスがダンテに渡る。あまりにスムーズだったので分かりにくいけど、これはきっと、ダンテがちゃんとパスを受けやすいところにいたんだろう。なにやら、細かく左右に動いてたし。
「よおし、ナイスパス! 行くぞ!」
かくして、試合の日はやってきた。
ちょうどハルピュイアの買い出しの日でもあったので、キールがリシュと共に、街へ出るついでにスタジアムに応援に来てくれた。
試合開始まではあと三十分ほど。
ちょっとした市民球場くらいの規模のスタジアムには、お客さんがぎゅうぎゅうに入っている。本当に人気スポーツなんだ。
心配していたチームメイトとの軋轢は、ほとんど問題なかった。
なにしろ、メメン・トモモリの選手たちときたら、ユニフォームを着たダンテがロッカーに現れるなり、
「うおおおおお!」
「ダンテさん!」
「本物!」
「おれ、小さい頃に試合見てました!」
と喜び勇んでダンテを囲んでしまう。
「みんな、今日は無理言って済まねえな。魔道での後方支援はルリエル、おれは司令塔として中盤にいる。点取り役は、そこのリドーレだ。ほかのみんなは、ディフェンスに集中してくれ」
そういって示されたリドーレを見るみんなの目は、こころなしか冷たい。
無理もないか。本来、二軍の選手だっていうし。
さっきまで浮かれていた選手たちは、
「リドーレって、誰だよ」
「ダンテさんがおっしゃるからやるんだぜ」
「昔はそこそこできたらしいけど、今はただの酒浸り野郎だろ?」
と口々に言う。
当のリドーレは、浮かれる気持ち半分、恐縮が半分――もとい、三対七くらいのようだ。
毛の細そうな金色の長髪をオールバックにして、いかめしそうに見えてもよさそうなのに、あまり体格がいいほうではないせいもあってどこか貧相だった。両手のひらを合わせてもじもじとしてるのも、どうもスポーツマンらしくない。
こんな人が、調子のいい嘘つきで、家では暴君……? お酒って、怖いな。とはいえ、飲んでるのは本人なんだから、あまり同情もできないけど。
試合開始時間になったので、私たちは整列した。
私もダンテもユニフォーム姿になったんだけど、服装としてはバスケットとかバレーに近いと思う。
さすがというか、ダンテは様になっていた。
一方私は、今日も赤いマスクを着けているため、ユニフォームのスポーツ感と顔面が裏腹で、完全に浮いていた。
「頑張ってください、ルリエル!」
「負けんなよ! ぶっ飛ばしてやれ!」
客席から、キールとリシュの声が聞こえた。そちらを見ると、二人とも両手を振ってくれていたので、こっちもひらひらと手を振って応える。
スタジアムはかなり賑やかだけど、彼らもテンションが上がっているように見えた。うーむ、本当に人気のスポーツなんだな。
よく見たら、二人の横に、フルクトラさんがいた。はらはらとした様子で、こっちを見ている。まあ、二軍級の夫、ここのとこ練習したとはいえ引退済みのダンテ、ほぼ素人の私、というチーム事情を知っているんだから、無理もないけど。
「セット!」と審判の声が響いた。
私たちの赤いユニフォームに対して、相手チーム――キッスなんとか――は黄土色。
それぞれが一列に並んだかと思うと、一気にフィールドに散った。フィールドの形式はサッカーやバスケットと同じで、中心にセンターサークルがあって、向き合う形でゴールが二つ。長さは七十メートルくらい、幅は四十メートルくらいあって、そこそこ広い。ただ、十六人もの人間が走り回ると思うと、意外に余裕がない気もする。
ボールはバスケットみたいにドリブルとかはせずに、手でもって運ぶ。それを奪い合うので、結構激しいコンタクトがある……らしい。
なので選手の皆さんは、揃いも揃って、しっかりした体格であられた。それでも一番立派な体つきをしているのはダンテだけど。
作戦通り、リドーレ氏が最前線。そのすぐ後ろにダンテ。
ほかのメンバーは自陣のゴール近くに控えて、私は遊撃隊よろしく、全体を見渡しやすい好きな位置にいていいそうだ。
「フェイス・オフ!」
そう審判が叫ぶと、フィールドの中央にボールが投げ込まれた。
リドーレがジャンプして手を伸ばす。けれど、その体は敵チームの選手に弾かれ、バレーボールより少し小さいくらいの白い球は、相手の手に渡った。
多少の体のぶつかり合いくらいでは、ファウルにならないんだな。ダンテからも、「ルリエルは肉弾戦に巻き込まれないように注意しろ」と言われている。
ボールを持って一気に駆け出そうとした相手選手に、ダンテがタックルした。その手からこぼれたボールを奪い取り、私とリドーレに、「上がれ!」と檄を飛ばす。
「了解!」と私。
「は、はいい!」とリドーレ。ほんと、いまいち迫力がないな? いや、私生活ではむしろそうして欲しいんだけど。
ダンテに、敵選手が次々と襲いかかった。
それを、ダンテは時にひらりとかわし、時に腕ではねのけながら、ゴールへと迫っていく。
相手ゴールには、二人の選手が立ちはだかっていた。ハンドボールより少し広いくらいのゴールには、ほとんどもう隙間がない。
「ほうっ、ダブルキーパー型か!」とダンテが叫ぶ。
「えっなにそれ、そんなのいいの!?」
「別に悪くはねえだろ! そうらよ!」
ダンテが、ゴール前で細かいステップを刻んだ。相手のディフェンスとキーパーの一人が、それに吊り出されてくる。
「よおし、リドーレ! 行けッ!」
「は、はいい!?」
ダンテが、リドーレを見もせずに正確なパスを出した。ダンテに翻弄されていた相手のゴールは隙だらけだ。
素人の私にも、そのプレイの凄さは分かった。その場にいた全員が、意表を突かれ、ボールに釘づけになってしまい、動けない。
……リドーレも含めて。
実況が、マイクのような効果の魔術を使っているらしく、やたらとエコーの効いた声で叫んでくる。
『おおっと、伝説のプレーヤーダンテのノールックパス! しかし本日ワントップに抜擢のリドーレ、これを取れない! ボールはラインを割りまして、スローイン!』
てんてんとフィールドの外に転がっていったボールが、投げ返されてきた。
相手チームがそれを受け取ると、リドーレはダンテに、
「あ、あの……す、すみま……」
と歯をかちかち鳴らしながら詫びようとする。
「なあに気にすんな! 固くなることねえよ、一本ずつ行こうぜ!」
ダンテがリドーレの背中をぽんぽんと叩いた。ダンテはあまり彼のことをよく思っていないはずなんだけど、試合の中と外で、また別ってことなのかな。
「ほらルリエル、油断すんなよ! 向こうの魔法使いも仕掛けてくるぞ!」
「う、うん。ねえダンテ、例の話本当なんだよね?」
「話?」
「うん。試合中は、ボールには魔法は使えないけど、フィールドや選手には使える。しかも、選手には対魔法処理がほどこしてあって、たとえば突風の魔法を受ければ飛ばされたりはするけど、魔法そのものでけがをすることはまずない、って」
「その通りだ。たとえばルリエルの魔法の矢を選手にぶち当てても、まあ転倒くらいはするだろうが、けがはしねえよ。だから思う存分やってくれ」
「ふううううん……思い通り、ねえ……」
私は腰に手を当てて、ゆっくりと息を吸い込んだ。
「……なんだよ」
「ダンテ、格闘技やってたなら知ってるよね。人間、たとえば殴り合いの試合をするにしても、実は、『相手をけがさせることへのストレス』って結構大きくて、このせいで無意識に攻撃側が委縮しちゃう時があるって」
「ああ、そりゃああるある。競技者は技比べがしたいんであって、別に相手を病院送りにするのが目的ってんじゃないからな」
「逆に言うとさ、……その心配がなければ、人は全力全開を出せるってことだよね」
新鮮な酸素と、大いなる期待が、一体となって私の胸を膨らませた。
「……おお。そうだな」
「プレーイン!」と審判の声が響き渡る。
相手チームが、ボールを持って私たちの陣地に攻め込んできた。
ディフェンスは味方に任せてあるので、私たち三人は守備に参加せずに敵陣近くにいる。
すると、リドーレがぼそぼそとダンテに話しかけていた。
「あ、あの、ダンテさん。あのルリエルさんて、魔法使いなんですよね?」
「ああ、そうだ。魔道士だから、攻撃魔法のスペシャリストだな」
「ということは、味方のスピードアップとか、耐久力アップみたいな、補助魔法はあまり期待できないってことですよね? 直接的に、敵選手を攻撃するばっかりで。相手のスピードダウンとかもさせられない、と」
「そうなるだろうな」
リドーレは、落ち着かない様子できょろきょろと敵味方を見回す。
ダンテは、それとは対照的に、てんで落ち着いていた。
「で、でも、それって、ダンテさんならご存じでしょうけど、マジカルボウルではあまり効果的じゃないってデータが出てますよね。攻撃魔法は見た目は派手ですけど、一時的な妨害にしかならないから、そんな戦術を使ってるチームは現代のマジカルボウルでは皆無ですよ。勝負を決めるのは、補助魔法です」
「もちろん知ってる。向こうの魔法使いは、魔術師みたいだな。多分、補助魔法が得意なんだろうよ」
のんきに首をこきこき言わせているダンテに、リドーレが(珍しく)強気に食ってかかる。
「だ、だったら! あんな、華奢で当たりに弱そうな女の子の魔法使いより、もう少し体格のいい補助魔法の使い手を選んでおけば!」
「あー。……お前が、なんで二軍なのか、それにそんなに冴えないプレイヤーなのか。分かる気がするな。女とか、ガタイとかは、大した問題じゃねえんだよ。……あれくらいになるとな」
「……あれくらい?」
「人材の本質を見抜け。チームプレイに必要なのは、それだ。それができねえようなやつが組織の中枢にいれば、どんなチームもガタガタになる。……ああ、いや、後半は個人的なこった。悪い」
……なんか、試合中に好きなことしゃべってるな。
その時、味方がボールを奪った。
すぐに、パスがダンテに渡る。あまりにスムーズだったので分かりにくいけど、これはきっと、ダンテがちゃんとパスを受けやすいところにいたんだろう。なにやら、細かく左右に動いてたし。
「よおし、ナイスパス! 行くぞ!」
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