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第三章 15
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尾幌エツの施術を終えた週の金曜日、欧華橋高校の近くの公園のベンチに、クツナはいた。駅とは反対方向にあるため、生徒は滅多に通りがからない。
既に日は暮れている。月は雲に隠れ、切れかけた街灯が頼りなく周囲を照らしていた。
「すみません、茎川先生。学校の先生というのは、かなりお忙しいとはうかがっているんですが」
「いえ。何か、重要な用事ですよね。でもなければ、繭使いの方が依頼者に、仕事の終わった後に会うことなんてそうないでしょう」
茎川はクツナの隣に腰を下ろした。
「茎川先生。空木トワノが、尾幌エツへの好意を先生に告白したという件ですが」
「ああ。あれでしたら、昨日空木から訂正されましたよ。気のせいでした、エツとはただの友達です、と。御格子さんにはお見通しだったみたいですね」
「直接空木トワノの繭を見たわけではありません。空木の告白が方便に過ぎないと見抜いていた、あなたの繭を見ただけです」
「なるほど」
「空木トワノは、あなたが、尾幌エツの告白を受け入れるわけがないと分かっていた。そして彼女を拒絶することで、尾幌だけでなくあなたもひどく傷つくであろうことも。その罪悪感のせめてもの軽減材料として、空木は尾幌を好きだとあなたに言った。尾幌を振る理由を、ひとつ与えてくれたわけですね」
「私のことを好きな女子生徒のことを、好きな男子がいる。その男子のためにも、その気がないならきっぱりと彼女に断らなくてはならない。そんな理由をくれました。彼なりにできることをやってくれたのでしょう。優しい子なんです、尾幌だけでなく、空木も」
「しかしあなたは、空木のその気遣いを看破していた」
「看破なんて大げさなものではありませんよ。生徒の中でも、科学部員であるあの二人とは、私は距離が近いですから。それくらいはね。本当に今のところ、恋愛感情はあの二人の間にはないようです」
茎川が少し微笑む。しかし。
「茎川先生。あなたが好きなのは、空木トワノですね」
そう言われて、茎川の顔が強張った。公園の中の草むらから、虫の声がする。それがひどく遠い。空の天井が高くなったような感覚。広い世界の中で、覚える眩暈。
「それも、私の繭を見るだけで読み取ったのですか」
「それだけではありませんが。職業柄、どうしても人の心の裏側に敏感になるものですから」
「軽蔑しますか。教師だから生徒は恋愛対象に見られないと、尾幌に言っておいて」
「いいえ。それだけ特別な相手と出会ってしまわれたのだと思うだけです。尾幌エツにも言いましたが、個人的には、誰だって誰を好きになっても悪いわけがないと思っています」
「でも、告白すべきかどうかは別ですよね」
「先生ご本人の望むとおりにすればいいですよ。先のことを考えるにせよ考えないにせよ、一番いいと思う選択を」
茎川が、「私を信じてくれているんですね」とため息交じりに笑った。
「高校生の時は、高校生を好きになるのは普通だったのにな。その時は、相手は女子でしたけど」
茎川は両手の指を組み、がくりとうなだれた。丸まった背中が、小さい。
「先生が苦しまれているのは、よく分かっています。それに、空木トワノは……」
「ええ。きっと気づいています、私の気持ちに。元々敏感な子なんですよ。その分、尾幌のことは、辛かったでしょうね。そして、尾幌のことを好きだと嘘までついた。あれは私の、尾幌を拒絶する理由だけでなく、私が空木に対して抱いた気持ちを抑え込む言い訳もくれたんです」
「知らぬは尾幌エツばかりなり、ですか」
「尾幌も、普通であれば気づいたのかもしれませんが。自分が熱に浮かされたような状態では、察知できなかったのでしょうね。何とか隠し通さなくてはいけません」
顔を上げた茎川の目を、クツナの視線がとらえた。そして、言う。
「あなたの恋愛感情も、終わらせて差し上げましょうか」
茎川の瞳が揺れた。しかしそれは一瞬のことで、すぐにゆらゆらと首を横に振る。
「いえ。私は、この気持ちと、今しばらく共にありたいと思っています」
「そうですか。余計なお世話でしたね。今回の仕事は、そればかりです」
クツナは立ち上がった。
「今日会っていただいたのは、その件でした。必要ないとあれば、これで失礼します。もちろんご用命があればいつでもご連絡ください。アフターケアは格安にしておきますよ」
「大人を、ずいぶん甘やかそうとされる」
茎川は自嘲を込めて、また笑おうとした。しかしクツナは、真剣な表情で茎川の方へ向き直った。
「大人だって辛い。子供のようなことで、苦しみます。世の中は――」
雲の切れ間から、わずかに月が覗いた。
それまでが暗かっただけに、地面が少し光をたたえただけで、茎川は地に足がついたような気になる。そして目の前の繭使いの言葉は、低く抑えた声でゆっくりと、茎川に注がれた。
「――世の中は、未成年には寛容なことがあっても、成人した途端に手のひらを返されることも少なくない。大人だからというだけで、どんな困難も独力で乗り越えること求められたりもする。誰もが誰かに助けられているはずなのに。逃げ道を断たれたまま別々に重荷を背負えば、人間なんて、一人ずつ潰れていくだけです」
「未成年は未成年で大変ですよ。私の苦労など、たかが知れています」
茎川の耳に、虫の声が近くなった。明るい月が、空の高さを教えてくる。なんだ、そのくらいか。大したことはない。
「今日は、先生にもうひとつお伝えすることがありました」
「……なんでしょう?」
「茎川先生の繭を見れば、あなたが自身の苦悩に加え、尾幌エツの傷心や空木トワノの憂悶に、我が身のように傷ついていることがよく分かります。あなたは、誰も苦しませたくないがために苦しむ人々の中で、その誰よりも静かに耐えた。どんなに辛くても、助けも求めずに、人のために辛さを背負った。そのことを知っている人間が、少なくとも一人は、ここにいます。それだけはお知りおきください。……お望みであれば、それについて、僕の記憶を消しもしますが」
「いえ……覚えていてください。どうか」
「はい。いつまでも」
クツナが、茎川に背を向けて歩き出した。
「待ってください」
呼び止められ、クツナが振り返る。
「もうひとつ、もうひとつだけお願いがあります。繭使いの依頼が」
「お聞きします」
「空木の、空木トワノに悟られた私の気持ちを、彼の中から消してください。そんなことを気遣って、彼に高校生活を送ってほしくない」
「委細、承りました。近日中に、必ず」
「おいくらですか。これは尾幌のアフターケアとは別の依頼ですから」
「そうですね……」
クツナは顎先に拳を当てて思案した。そして顔を上げると、
「僕の同僚が貴校へお邪魔した時、追い出さずに、お目こぼしください。それで結構です」
「え? 鳴島シイカさんのことですか?」
「ちょっとした福利厚生ですよ。それでは」
クツナが、今度こそ公園から出ていく。
茎川は、トワノの中から、茎川から向けられた恋の記憶が消えてしまうことを考えた。
それでいい、と思う。同時に、とても寂しくもある。
一昨日の水曜日、黄昏時の生徒指導室で、エツが茎川に、まだ出ていかないでほしいと頼んだ。その気持ちが今、茎川にはよく分かる。
ただ決定的に違うのは、これからエツの傷は段々ふさがっていくだろうが、茎川のそれは、傷口が癒されずに開いたまま続くということだった。
エツの恋を終わらせてよかったと、全面的にではないが、茎川は思う。
こんな、恋を傷口にたとえてしまうような想いをするのは、自分だけで充分だった。
月が照らす公園は、静かに、穏やかに、闇の中で明るかった。
しかし、一人きりで泣く茎川の顔を見る者は、ここには誰もいなかった。
既に日は暮れている。月は雲に隠れ、切れかけた街灯が頼りなく周囲を照らしていた。
「すみません、茎川先生。学校の先生というのは、かなりお忙しいとはうかがっているんですが」
「いえ。何か、重要な用事ですよね。でもなければ、繭使いの方が依頼者に、仕事の終わった後に会うことなんてそうないでしょう」
茎川はクツナの隣に腰を下ろした。
「茎川先生。空木トワノが、尾幌エツへの好意を先生に告白したという件ですが」
「ああ。あれでしたら、昨日空木から訂正されましたよ。気のせいでした、エツとはただの友達です、と。御格子さんにはお見通しだったみたいですね」
「直接空木トワノの繭を見たわけではありません。空木の告白が方便に過ぎないと見抜いていた、あなたの繭を見ただけです」
「なるほど」
「空木トワノは、あなたが、尾幌エツの告白を受け入れるわけがないと分かっていた。そして彼女を拒絶することで、尾幌だけでなくあなたもひどく傷つくであろうことも。その罪悪感のせめてもの軽減材料として、空木は尾幌を好きだとあなたに言った。尾幌を振る理由を、ひとつ与えてくれたわけですね」
「私のことを好きな女子生徒のことを、好きな男子がいる。その男子のためにも、その気がないならきっぱりと彼女に断らなくてはならない。そんな理由をくれました。彼なりにできることをやってくれたのでしょう。優しい子なんです、尾幌だけでなく、空木も」
「しかしあなたは、空木のその気遣いを看破していた」
「看破なんて大げさなものではありませんよ。生徒の中でも、科学部員であるあの二人とは、私は距離が近いですから。それくらいはね。本当に今のところ、恋愛感情はあの二人の間にはないようです」
茎川が少し微笑む。しかし。
「茎川先生。あなたが好きなのは、空木トワノですね」
そう言われて、茎川の顔が強張った。公園の中の草むらから、虫の声がする。それがひどく遠い。空の天井が高くなったような感覚。広い世界の中で、覚える眩暈。
「それも、私の繭を見るだけで読み取ったのですか」
「それだけではありませんが。職業柄、どうしても人の心の裏側に敏感になるものですから」
「軽蔑しますか。教師だから生徒は恋愛対象に見られないと、尾幌に言っておいて」
「いいえ。それだけ特別な相手と出会ってしまわれたのだと思うだけです。尾幌エツにも言いましたが、個人的には、誰だって誰を好きになっても悪いわけがないと思っています」
「でも、告白すべきかどうかは別ですよね」
「先生ご本人の望むとおりにすればいいですよ。先のことを考えるにせよ考えないにせよ、一番いいと思う選択を」
茎川が、「私を信じてくれているんですね」とため息交じりに笑った。
「高校生の時は、高校生を好きになるのは普通だったのにな。その時は、相手は女子でしたけど」
茎川は両手の指を組み、がくりとうなだれた。丸まった背中が、小さい。
「先生が苦しまれているのは、よく分かっています。それに、空木トワノは……」
「ええ。きっと気づいています、私の気持ちに。元々敏感な子なんですよ。その分、尾幌のことは、辛かったでしょうね。そして、尾幌のことを好きだと嘘までついた。あれは私の、尾幌を拒絶する理由だけでなく、私が空木に対して抱いた気持ちを抑え込む言い訳もくれたんです」
「知らぬは尾幌エツばかりなり、ですか」
「尾幌も、普通であれば気づいたのかもしれませんが。自分が熱に浮かされたような状態では、察知できなかったのでしょうね。何とか隠し通さなくてはいけません」
顔を上げた茎川の目を、クツナの視線がとらえた。そして、言う。
「あなたの恋愛感情も、終わらせて差し上げましょうか」
茎川の瞳が揺れた。しかしそれは一瞬のことで、すぐにゆらゆらと首を横に振る。
「いえ。私は、この気持ちと、今しばらく共にありたいと思っています」
「そうですか。余計なお世話でしたね。今回の仕事は、そればかりです」
クツナは立ち上がった。
「今日会っていただいたのは、その件でした。必要ないとあれば、これで失礼します。もちろんご用命があればいつでもご連絡ください。アフターケアは格安にしておきますよ」
「大人を、ずいぶん甘やかそうとされる」
茎川は自嘲を込めて、また笑おうとした。しかしクツナは、真剣な表情で茎川の方へ向き直った。
「大人だって辛い。子供のようなことで、苦しみます。世の中は――」
雲の切れ間から、わずかに月が覗いた。
それまでが暗かっただけに、地面が少し光をたたえただけで、茎川は地に足がついたような気になる。そして目の前の繭使いの言葉は、低く抑えた声でゆっくりと、茎川に注がれた。
「――世の中は、未成年には寛容なことがあっても、成人した途端に手のひらを返されることも少なくない。大人だからというだけで、どんな困難も独力で乗り越えること求められたりもする。誰もが誰かに助けられているはずなのに。逃げ道を断たれたまま別々に重荷を背負えば、人間なんて、一人ずつ潰れていくだけです」
「未成年は未成年で大変ですよ。私の苦労など、たかが知れています」
茎川の耳に、虫の声が近くなった。明るい月が、空の高さを教えてくる。なんだ、そのくらいか。大したことはない。
「今日は、先生にもうひとつお伝えすることがありました」
「……なんでしょう?」
「茎川先生の繭を見れば、あなたが自身の苦悩に加え、尾幌エツの傷心や空木トワノの憂悶に、我が身のように傷ついていることがよく分かります。あなたは、誰も苦しませたくないがために苦しむ人々の中で、その誰よりも静かに耐えた。どんなに辛くても、助けも求めずに、人のために辛さを背負った。そのことを知っている人間が、少なくとも一人は、ここにいます。それだけはお知りおきください。……お望みであれば、それについて、僕の記憶を消しもしますが」
「いえ……覚えていてください。どうか」
「はい。いつまでも」
クツナが、茎川に背を向けて歩き出した。
「待ってください」
呼び止められ、クツナが振り返る。
「もうひとつ、もうひとつだけお願いがあります。繭使いの依頼が」
「お聞きします」
「空木の、空木トワノに悟られた私の気持ちを、彼の中から消してください。そんなことを気遣って、彼に高校生活を送ってほしくない」
「委細、承りました。近日中に、必ず」
「おいくらですか。これは尾幌のアフターケアとは別の依頼ですから」
「そうですね……」
クツナは顎先に拳を当てて思案した。そして顔を上げると、
「僕の同僚が貴校へお邪魔した時、追い出さずに、お目こぼしください。それで結構です」
「え? 鳴島シイカさんのことですか?」
「ちょっとした福利厚生ですよ。それでは」
クツナが、今度こそ公園から出ていく。
茎川は、トワノの中から、茎川から向けられた恋の記憶が消えてしまうことを考えた。
それでいい、と思う。同時に、とても寂しくもある。
一昨日の水曜日、黄昏時の生徒指導室で、エツが茎川に、まだ出ていかないでほしいと頼んだ。その気持ちが今、茎川にはよく分かる。
ただ決定的に違うのは、これからエツの傷は段々ふさがっていくだろうが、茎川のそれは、傷口が癒されずに開いたまま続くということだった。
エツの恋を終わらせてよかったと、全面的にではないが、茎川は思う。
こんな、恋を傷口にたとえてしまうような想いをするのは、自分だけで充分だった。
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