12 / 14
二章
アイツの真相
しおりを挟む
な、なんて魔力だ!
俺はすぐにオリバーから守るようにソフィアの前に立つ。
「オリバー!一体、何をしたんだ!?」
そして、その魔力の発生源である男を睨みつける。
やばいな。もしこれほどの量の魔力が暴走すれば…ここら一帯吹き飛ぶぞ!?
その瞬間、魔力が一点に集中し始める。
…これは、制御された魔力の動き方だ。まさか、これがオリバーの保有魔力なのか!?俺の隠蔽している魔力よりは少ないが、俺以外でこれほど大量の魔力を持っている人間は初めて見た。「勇者」のおじいちゃん以上だ。
「ッ!?…なんて保有魔力なの!?まさか、スカーレットが何かをしたのかしら?」
「いいえ、違いますよ。」
シャルロット様の問いにオリバーが答える。
「なら、何をしたんだ!?」
こんな急激に保有魔力が増えるなんて、聞いたこともない。一体、オリバーに何が起こったというんだ!?
「魔力の封印を解いただけだよ。」
オリバーがそう言う。…どういうことだ?
「封印、ですか?」
シャルロット様が尋ねる。
「ええ、スカーレット様の魔法に抗えずに隷属される直前、自分の魔力を封印し、この力を利用されないようにしたのです。」
なるほど。なら…
「ということは、それがお前の本来の力なのか?」
「はい。…それと、僕の意志ではないにしても、あなた方に多大なる迷惑をかけてしまった事をお詫びいたします。」
オリバーは申し訳なさそうな顔をして、頭を下げた。
「え、ん、お?…どういうことだ?」
オリバーに向かって走って行った男が首を傾げる。
「言いたいことは分かったわ。…でも、なぜスカーレットがそのようなことをするの?あの子はそんな事をするような人間じゃないわ。」
シャルロット様が問う。俺も同感だ。スカーレット様のそのような噂は聞いたことがない。
「はい。全てお話しします。…シャルロット様、今なら王族魔法での命令が通じるはずです。」
オリバーがそう言った。…本当に操られていたのかもしれないな。あのような男がこんな演技をするとは思えない。
それに、王族魔法は俺でさえも防げない。かけられた王族魔法を無理やり弾き飛ばすことはできたが…仮にオリバーが防げたとしても、魔力を見ればわかる。
「それは…いいのかしら?」
シャルロット様はオリバーに気を使っているようだ。
「はい。どうぞご命令を。」
「分かったわ。…オリバーよ、我が命に応えよ。なぜ、スカーレットがこのようなことをしたのですか?」
シャルロット様が魔力を込めた声でオリバーに命令する。
…やはりオリバーは何もしていないし、王族魔法がかかった時の魔力の乱れのようなものもある。つまり、オリバーはシャルロット様のこの問いに嘘はつけない。
「はい。それは、スカーレット様がウィリアム・マーティン殿を好いておられることが原因です。」
…は?
「へ?」
「どういうことだ?」
第二王女様が?俺を?好いているだと?
…
…いや、仮にそうだとして、なぜオリバーに多数の生徒を発狂させるようなことをさせたんだ?
「あ…」
「まさか、そういうこと?」
ソフィアとリリアンは心当たりがあるようだ。
「く、詳しく話しなさい。」
シャルロット様も訳が分からず、混乱しているようだ。
「スカーレット様にとって、ウィリアム殿の近くに居る女性は全員、敵なのです。初めは監視という、まだ可愛いものでした。しかし、ウィリアム殿がソフィアと正式に付き合い始めてから、あの方はまるで人が変わったように僕に非道な命令を突き付けてきたのです。」
ええ…ああ、でも、確かにソフィアに他の男ができたら俺もそんなことをしていたのかもしれない。
「そんな…ですが、確かに被害にあっているのは女性の方ばかり。…おや?しかし、あなたはソフィアさんに昔からちょっかいを出していた、と聞いたことがありますが…」
ん?それはそうだ。だとすると、つじつまが合わないぞ?
「あ、そ、それは…」
オリバーはうろたえ、口ごもっている。
…怪しいな。確実に何かを隠そうとしている。本能のようなものでわかるぞ!それが、決して看過できないものであると!
「怪しいですね。あなたは、私に何を隠しているのですか?包み隠さず、全て答えなさい!」
シャルロット様がオリバーに命令する。そうだ!言え!
「ぐ、う…ぼ、僕は、その頃…」
オリバーは王族魔法に抗おうとしている。が、無駄だ。力ずくでどうにかなるものではない。
「その頃?何ですか?答えなさい。」
シャルロット様が再び王族魔法を発動する。
「ソフィアに、恋情を抱いておりました。」
オリバーがそう言った。
「何!?」
なんだと!?
「それは僕にとって経験の無い事であり、錯乱しておりました。…かつて僕の友人だった者がソフィアに好意を寄せていた事を知った時、僕は初めて、家の権力を行使してしまいました。僕はどうしてもこの恋を実らせたかった。」
…気持ちはわからなくもない。だが、それはダメだな。
「ですがそれは許されることではありません。僕は父にこの事を伝えようとしたのです。…そこであることが頭をよぎりました。もし伝えたら、もうソフィアに会えなくなってしまうのではないか?…僕は恐れました。なにより、それをソフィアが知り、失望されてしまうことが。」
ああ、なるほど。
「結局、僕は何もできなかった。そのまま父に伝えず、ソフィアに近づく男を脅し続けていました。…ですが、もう限界だと感じていたのです。このままでは、僕がしていることも周囲に広まってしまう。そのため、ソフィアにその気持ちを伝えようとしたのです。」
オリバーは拳を握り締め、顔をしかめる。
「ですが、素直に言えなかった。しかも、あろうことか、権力を使ってソフィアを脅してしまったのです。そして当時、その事に疑問を持つことすらしなかった。…フフフ、そこで入学試験の時、ウィリアム君に言われましたね。おかげで目が覚めましたよ。僕は、何であんなことをしていたのでしょうか。…嗤ってください。ここまで哀れで間抜けな男など、珍しいですよ?」
オリバーは自嘲する。…そうか。あの時はまだ操られてはいなかったのか。
「次会うときは、謝ろうと、そう思ったのですが…」
オリバーは視線を下に向ける。
「第二王女様に操られたと?」
…そういうことか。
「はい。僕の体は僕の意識に関係なく、スカーレット様の命令に従っていました。」
オリバーが目を伏せ、そう言った。
俺はすぐにオリバーから守るようにソフィアの前に立つ。
「オリバー!一体、何をしたんだ!?」
そして、その魔力の発生源である男を睨みつける。
やばいな。もしこれほどの量の魔力が暴走すれば…ここら一帯吹き飛ぶぞ!?
その瞬間、魔力が一点に集中し始める。
…これは、制御された魔力の動き方だ。まさか、これがオリバーの保有魔力なのか!?俺の隠蔽している魔力よりは少ないが、俺以外でこれほど大量の魔力を持っている人間は初めて見た。「勇者」のおじいちゃん以上だ。
「ッ!?…なんて保有魔力なの!?まさか、スカーレットが何かをしたのかしら?」
「いいえ、違いますよ。」
シャルロット様の問いにオリバーが答える。
「なら、何をしたんだ!?」
こんな急激に保有魔力が増えるなんて、聞いたこともない。一体、オリバーに何が起こったというんだ!?
「魔力の封印を解いただけだよ。」
オリバーがそう言う。…どういうことだ?
「封印、ですか?」
シャルロット様が尋ねる。
「ええ、スカーレット様の魔法に抗えずに隷属される直前、自分の魔力を封印し、この力を利用されないようにしたのです。」
なるほど。なら…
「ということは、それがお前の本来の力なのか?」
「はい。…それと、僕の意志ではないにしても、あなた方に多大なる迷惑をかけてしまった事をお詫びいたします。」
オリバーは申し訳なさそうな顔をして、頭を下げた。
「え、ん、お?…どういうことだ?」
オリバーに向かって走って行った男が首を傾げる。
「言いたいことは分かったわ。…でも、なぜスカーレットがそのようなことをするの?あの子はそんな事をするような人間じゃないわ。」
シャルロット様が問う。俺も同感だ。スカーレット様のそのような噂は聞いたことがない。
「はい。全てお話しします。…シャルロット様、今なら王族魔法での命令が通じるはずです。」
オリバーがそう言った。…本当に操られていたのかもしれないな。あのような男がこんな演技をするとは思えない。
それに、王族魔法は俺でさえも防げない。かけられた王族魔法を無理やり弾き飛ばすことはできたが…仮にオリバーが防げたとしても、魔力を見ればわかる。
「それは…いいのかしら?」
シャルロット様はオリバーに気を使っているようだ。
「はい。どうぞご命令を。」
「分かったわ。…オリバーよ、我が命に応えよ。なぜ、スカーレットがこのようなことをしたのですか?」
シャルロット様が魔力を込めた声でオリバーに命令する。
…やはりオリバーは何もしていないし、王族魔法がかかった時の魔力の乱れのようなものもある。つまり、オリバーはシャルロット様のこの問いに嘘はつけない。
「はい。それは、スカーレット様がウィリアム・マーティン殿を好いておられることが原因です。」
…は?
「へ?」
「どういうことだ?」
第二王女様が?俺を?好いているだと?
…
…いや、仮にそうだとして、なぜオリバーに多数の生徒を発狂させるようなことをさせたんだ?
「あ…」
「まさか、そういうこと?」
ソフィアとリリアンは心当たりがあるようだ。
「く、詳しく話しなさい。」
シャルロット様も訳が分からず、混乱しているようだ。
「スカーレット様にとって、ウィリアム殿の近くに居る女性は全員、敵なのです。初めは監視という、まだ可愛いものでした。しかし、ウィリアム殿がソフィアと正式に付き合い始めてから、あの方はまるで人が変わったように僕に非道な命令を突き付けてきたのです。」
ええ…ああ、でも、確かにソフィアに他の男ができたら俺もそんなことをしていたのかもしれない。
「そんな…ですが、確かに被害にあっているのは女性の方ばかり。…おや?しかし、あなたはソフィアさんに昔からちょっかいを出していた、と聞いたことがありますが…」
ん?それはそうだ。だとすると、つじつまが合わないぞ?
「あ、そ、それは…」
オリバーはうろたえ、口ごもっている。
…怪しいな。確実に何かを隠そうとしている。本能のようなものでわかるぞ!それが、決して看過できないものであると!
「怪しいですね。あなたは、私に何を隠しているのですか?包み隠さず、全て答えなさい!」
シャルロット様がオリバーに命令する。そうだ!言え!
「ぐ、う…ぼ、僕は、その頃…」
オリバーは王族魔法に抗おうとしている。が、無駄だ。力ずくでどうにかなるものではない。
「その頃?何ですか?答えなさい。」
シャルロット様が再び王族魔法を発動する。
「ソフィアに、恋情を抱いておりました。」
オリバーがそう言った。
「何!?」
なんだと!?
「それは僕にとって経験の無い事であり、錯乱しておりました。…かつて僕の友人だった者がソフィアに好意を寄せていた事を知った時、僕は初めて、家の権力を行使してしまいました。僕はどうしてもこの恋を実らせたかった。」
…気持ちはわからなくもない。だが、それはダメだな。
「ですがそれは許されることではありません。僕は父にこの事を伝えようとしたのです。…そこであることが頭をよぎりました。もし伝えたら、もうソフィアに会えなくなってしまうのではないか?…僕は恐れました。なにより、それをソフィアが知り、失望されてしまうことが。」
ああ、なるほど。
「結局、僕は何もできなかった。そのまま父に伝えず、ソフィアに近づく男を脅し続けていました。…ですが、もう限界だと感じていたのです。このままでは、僕がしていることも周囲に広まってしまう。そのため、ソフィアにその気持ちを伝えようとしたのです。」
オリバーは拳を握り締め、顔をしかめる。
「ですが、素直に言えなかった。しかも、あろうことか、権力を使ってソフィアを脅してしまったのです。そして当時、その事に疑問を持つことすらしなかった。…フフフ、そこで入学試験の時、ウィリアム君に言われましたね。おかげで目が覚めましたよ。僕は、何であんなことをしていたのでしょうか。…嗤ってください。ここまで哀れで間抜けな男など、珍しいですよ?」
オリバーは自嘲する。…そうか。あの時はまだ操られてはいなかったのか。
「次会うときは、謝ろうと、そう思ったのですが…」
オリバーは視線を下に向ける。
「第二王女様に操られたと?」
…そういうことか。
「はい。僕の体は僕の意識に関係なく、スカーレット様の命令に従っていました。」
オリバーが目を伏せ、そう言った。
0
あなたにおすすめの小説
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
主人公に殺されるゲームの中ボスに転生した僕は主人公とは関わらず、自身の闇落ちフラグは叩き折って平穏に勝ち組貴族ライフを満喫したいと思います
リヒト
ファンタジー
不幸な事故の結果、死んでしまった少年、秋谷和人が転生したのは闇落ちし、ゲームの中ボスとして主人公の前に立ちふさがる貴族の子であるアレス・フォーエンス!?
「いや、本来あるべき未来のために死ぬとかごめんだから」
ゲームの中ボスであり、最終的には主人公によって殺されてしまうキャラに生まれ変わった彼であるが、ゲームのストーリーにおける闇落ちの運命を受け入れず、たとえ本来あるべき未来を捻じ曲げてても自身の未来を変えることを決意する。
何の対策もしなければ闇落ちし、主人公に殺されるという未来が待ち受けているようなキャラではあるが、それさえなければ生まれながらの勝ち組たる権力者にして金持ちたる貴族の子である。
生まれながらにして自分の人生が苦労なく楽しく暮らせることが確定している転生先である。なんとしてでも自身の闇落ちをフラグを折るしかないだろう。
果たしてアレスは自身の闇落ちフラグを折り、自身の未来を変えることが出来るのか!?
「欲張らず、謙虚に……だが、平穏で楽しい最高の暮らしを!」
そして、アレスは自身の望む平穏ライフを手にすることが出来るのか!?
自身の未来を変えようと奮起する少年の異世界転生譚が今始まる!
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
地味スキル「ためて・放つ」が最強すぎた!~出来損ないはいらん!と追い出したくせに英雄に駆け上がってから戻れと言われても手遅れです~
かくろう
ファンタジー
【ためて・放つ】という地味スキルを一生に一度の儀式で授かってしまった主人公セージ。
そのせいで家から追放され、挙げ句に異母弟から殺されかけてしまう。
しかしあらゆるものを【ためる】でパワフルにできるこのスキルは、最高ランクの冒険者すらかすんでしまうほどのぶっ壊れ能力だった!
命からがら魔物の強襲から脱したセージは、この力を駆使して成り上がっていく事を決意する。
そして命の危機に瀕していた少女リンカニアと出会い、絆を深めていくうちに自分のスキルを共有できる事に気が付いた。
――これは、世界で類を見ない最強に成り上がっていく主人公と、彼の元へ集まってくる仲間達との物語である。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる