幸せの在り方

親の目を盗んで

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一章

入学

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「じゃあ、行ってきます!おじいちゃん、おばあちゃん。」

「うむ、頑張ってくるのじゃぞ?」

「ええ、気を付けてね。」

俺はおじいちゃん達が手配した屋敷を出て、学園に向かう。

…楽しみだ。友達できるかな。ソフィアと同じクラスになれたらいいな。







着いた。それに、ソフィアとリリアンもいる。

「やあ、おはよう。久しぶりだね。」

「あ!ウィル君だ!久しぶり~。」

リリアンが返事をしてくれる。

「ッ!///…あ、その…お、おはよぅございます。」

ソフィアがリリアンの背中に隠れるようにして、呟くように言った。

…え?怯えられてる?

あ、確かにあの時、ソフィアにも殺気の余波を当ててしまったけど…

そんな!ソフィアと仲良くなりたかったのに、もう、嫌われてる。

「…ぅん。学校、行こっか。」

俺はもう、これしか言えなかった。










やった!ソフィアと同じクラスだ!これは嬉しい!

…よーし。嫌われてしまったのは痛いけど、これから取り返そう。そうしよう。

「これから一年間、よろしくね。ソフィア。」

「あ、ひゃ、ひゃいぃ。///」

まだ少し距離を感じるが、今はこれでもいい。同じクラスだし、これからだ。

「あの~、私も同じクラスなんだけどな~。」

リリアンが愚痴るように言った。

「あ、ごめん。すっかり忘れてた。…よろしくね。」

「ご、ごめんなさい。でも、リリアンと同じクラスになれて嬉しいよ。」

「え!?ウィルはともかく、ソフィアまで忘れてたの!?」

リリアンは口をあんぐりと開けて叫ぶ。

「ごめんなさい。」

「がくっ」

ソフィアは頭を下げ、リリアンは白目で膝をつく。

「え?…リリアン?リリアン!しっかりして!」

「ショック、私、ソフィアにまで、忘れられちゃった。…確かに昔から、そこまで目立たなかったけどさ。それはあんまりじゃない?…」

リリアンが白目のまま何かをぶつぶつと言っている。

…合掌。

ん?

「なあ、これって…」

俺はクラス発表用紙のある箇所を示す。

「え…」

「うわ~、最悪。何でこいつもいるのかなぁ。…あ、でも、知ってる?こいつの噂。」

リリアンが聞いてくる。

俺はソフィアの方を見る。だが、ソフィアも知らないようだ。首を傾げている。

「いや、知らないな。」

「確か…試験の時、凄くみっともない姿でウィルから逃げていたでしょ?あれが今、王都中で広まってるの。」

「へえ~」

良いことしたのかな?

「それで、オリバーの父親の、侯爵様が切れたらしくてね。オリバーは自室謹慎の上、家から追放されたってわけ。…まあ、噂だけどね。」

「ってことは、オリバーは今、平民と変わらないってこと?」

俺は聞いてみる。

「正確には平民そのものよ。それも、元貴族っていう、不人気なレッテルを張られた平民。」

「ほえ~。じゃあ、もうソフィアにちょっかいかけて来ないのかな?」

「それは噂がどこまで正確かという事次第ね。噂の一つに、自分から平民落ちを望んだとか、ありえないようなものがある位だから、今言ったことも全部間違っているかもしれないわ。」

そうか…なら、まだ警戒はしておこう。

「酷い言われ様だねぇ。…まあ、仕方ないか。僕がこの体を選んだんだ。こうなることも承知だったけどね。」

…ッ!?

俺は自分の目を、耳を疑った。

声の方にはオリバーがいた。俺の背後に、立っていた。

今も、探索魔法に反応しない。そんな事、今まで一度も無かった。

「オリバー・キャンベル。何をしに来た!?」

俺はソフィアを背後に、オリバーを睨む。

「ん?自分のクラスを見に来ただけだよ。…あと、僕はオリバーだ。平民のね。」

なんだと!?噂は本当だったのか。だが、何でこんなに落ち着いているんだ!?


「へえ~、噂は本当だったのか。おい!平民落ちのオリバー!お前、以前はよくも舐めた真似してくれたなぁ!」

「そうだ!平民のお前は、子爵家の兄貴に媚びへつらうがいい!」

男二人組が周囲に聞こえるような声でオリバーを貶める。

「ん?君たちは誰だい?残念だが、覚えてないね。」

オリバーはおどけるように肩をすくめる。

「ああん!?おい平民、俺様に対する礼儀がなってないな。もうお前が侯爵家の権力を振るうことなど、できはしないのだ。…ほら、謝るなら今のうちだぞ?」

「ケケケ、ちゃんと額を地べたに擦り付けてなあ。」

男二人は、続けてオリバーに言う。

「Aクラスか。えっと…あれがその教室かな。」

オリバーは手元の紙を見て男二人組の右側に視線を送り、そのままそっちに歩き出した。

「おいてめえ!俺様を無視するとは、良いどきょ…」

オリバーの肩を掴もうとした子爵家の方の男が倒れる。…何があったんだ!?

「あ、兄貴?あれ?目が…」

取り巻きの方も続けて倒れた。魔力は感じなかった。まさか、毒か!?

俺はこちら側が風上になるように魔法を発動する。

「あれぇ?どうかしたの?…まあ、いいや。おやすみ~。」

オリバーは白々しく言い残し、教室の方へと歩いて行った。

「…な、何をしたの?」

「魔力も何も、感じませんでした。」

リリアンとソフィアもオリバーの違和感に気付いたようだ。

「嫌な予感がする。二人とも、あまり気を抜きすぎるなよ。」

俺は二人に警告をする。

「はい、気を付けます。」

「あ!そうだ、それならウィルがソフィアの送り迎えをしたら?これなら安心でしょ?」

リリアンがそう提案してきた。

「あ~、なるほど。確かにそれはいいかも!」

毎朝ソフィアに会えるなんて、最高だ!

「えっ、ふぇええ!?///…そ、そんな、迷惑ですよぅ。」

「そんな訳ないだろう!俺は、君の役に立てるならできる限りのことはするよ!」

ソフィアの為なら、惜しくないって思えるんだ。

「ひゅう~、かっこいいね~。…ね、ソフィア。」

「あ、うう、///えと、はい。よろしく、お願いします。」

ソフィアが顔を赤く染めてお辞儀をする。

…破壊力がすげえ。可愛すぎる。

この子は、俺が絶対に守らなきゃ、だな。
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