幸せの在り方

親の目を盗んで

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一章

劇の始まり

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「さて、オリバーよ。謹慎は終わったが、反省はできているのだろうな?」

キャンベル侯爵が僕にそう言った。

「はい。自分のこれまでの行動を思い返し、この身を恥じる思いです。」

「ほう、よく言ったものだ。」

「そして僕は、自分が貴族の器ではないことを自覚いたしました。」

さっさとこの家を出たいんだよねぇ。

「は?」

「よって、僕はこの家を出て、平民へと身を落とす所存でございます。」

「いやいやいや、待て。なぜそうなったのだ?」

キャンベル侯爵が慌てている。

「それはあなたが一番お分かりでしょう?キャンベル卿。」

「なっ、それは…」

「では、準備が終わり次第、僕はこの家を出ます。…あ、学園には通い続けるつもりですが、資金はこちらで準備できますので、僕にお金を使う必要はありませんよ。では。」

僕は呆然としているキャンベル侯爵を放置して部屋から出た瞬間、転移魔法で学園の近くの宿に転移し、一晩を明かした。

翌朝、僕は学園に向かった。

オリバーとしての記憶では何度かここに来たことがあるが、僕は始めて来る。なんだか新鮮なような、そうでもないような、奇妙な感覚だ。

…あれは、いたいた。アイツだ。ウィリアムだ。ソフィアもいるな。

…やはり、少しオリバーの感情が残っているようだ。ソフィアの事が気になってしまう。…まあ、それも良い一興だ。上手く利用してみよう。

さて、知っているが、確認だ。僕のクラスは…

「正確には平民そのものよ。それも、元貴族っていう、不人気なレッテルを張られた平民。」

誰だったか、いつもソフィアの近くに居る女が、恐らく僕の事を噂している。

「ほえ~。じゃあ、もうソフィアにちょっかいかけて来ないのかな?」

ウィリアムはやはりソフィアに好意を抱いているようだ。そして、魔法で視る限り、ソフィアもウィリアムに恋情を抱いているようだ。

「それは噂がどこまで正確かという事次第ね。噂の一つに、自分から平民落ちを望んだとか、ありえないようなものがある位だから、今言ったことも全部間違っているかもしれないわ。」

女が言う。

「酷い言われ様だねぇ。…まあ、仕方ないか。僕がこの体を選んだんだ。こうなることも承知だったけどね。」

僕はつい、声をかけてしまった。

(いつからいたんだ、気が付かなかった。なっ!?探索魔法に反応しない!?どういうことだ?)

「オリバー・キャンベル。何をしに来た!?」

うんうん。読心魔法は使えるね。…でも、ソフィアの事を我が物顔で守ろうとしているのを見ると、殺意が湧いてくるねぇ。

「ん?自分のクラスを見に来ただけだよ。…あと、僕はオリバーだ。平民のね。」

まあ、そんな事は顔に出さず、事実を言った。ウィリアムもソフィアも驚いているようだ。


「へえ~、噂は本当だったのか。おい!平民落ちのオリバー!お前、以前はよくも舐めた真似してくれたなぁ!」

「そうだ!平民のお前は、子爵家の兄貴に媚びへつらうがいい!」

ん?これは、オリバーの知り合いかな?…いや、記憶にはないな。

「ん?君たちは誰だい?残念だが、覚えてないね。」

「ああん!?おい平民、俺様に対する礼儀がなっていないな。もうお前が侯爵家の権力を振るうことなど、できはしないのだぞ?…ほら、謝るなら今のうちだ。」

「ケケケ、ちゃんと額を地べたに擦り付けてなあ。」

いや、本当に知らないんだけど…

まあいいや。僕は手元の紙を見る。

「Aクラスか。えっと…あれがその教室かな。」

僕はその教室に向かう。

「おいてめえ!俺様を無視するとは…」

うるさいなぁ。

「良いどきょ…」

殺しちゃダメだから、魔法で眠らせておこう。もちろん悪夢を見るだろうけど。

魔力の隠蔽も忘れない。これで僕がこれをやったという、確固たる証拠は無い。

「あれぇ?どうかしたの?…まあ、いいや。おやすみ~。」

そのため、こう言っておけば、これからもとぼけ続けることができる。

さっさと教室に向かおう。少し冷静にならないと、ウィリアム君をうっかり殺しちゃいそうだから。

…ウィリアムは魔法で風向きを変えていたね。僕の隠蔽を見破るほどの実力は無いようだ。これなら、いつでも殺せるだろう。

その為にはまず、幸せになってもらわないとだね~。

(この子は、俺が絶対に守らなきゃ、だな。)

僕はウィリアムの思考を読む。

計画も、かなり順調だ。やっぱり、ソフィアを中心とした復讐劇が一番良いよね。

僕は一人、教室の席に座る。
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