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一章
Aクラス
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恐らく教師だろう、二十歳程度の女性が入ってきた。
念のため、調べてみるか。
(『アナライズ』発動)
彼女の名前は『フィオナ』。身分は平民だが、水属性魔法の腕を買われ、学院に入学。卒業後、教師になった。独身。交際歴も無し。…というか、キスをしたことすら無いらしい。この世界で、ここまで経験の無い人を見たのは初めてかもしれないね。
因みにオリバーに嫌悪感を抱いているようだ。
まあ、一人の女をしつこく追いかけまわして迷惑をまき散らした挙句、あの『勇者』の孫に敵対し、みっともなく逃げ去った男に好意を抱くような変人はほぼいないだろう。
改めて考えると、僕って救いようもないよねぇ。
でも、このフィオナ先生は僕にでも平等に接するつもりのようだ。職務に私情を挟まない。プロ意識が高いんだね。
「はい。皆さん揃っていますね?…私はこのAクラスを担任の、『フィオナ』と申します。平民ですが実力は十分にあると、学園長にお墨付きをもらっています。私は主に、水属性の魔法を使います。これから一年間、よろしくお願いしますね。」
パチパチパチ…
拍手が響く。僕はそれに加わってはいない。
それより、さっきの自己紹介で気になったことは無かったかい?魔法の話についてだ。
…え?無かった?そんなことないよね?
僕はこの世界の魔法について、どう説明した?
『魔法を使うためには、自分の魔力を使い、イメージをすることで発動する』
こう言ったはずだ。
…つまり、本来の魔法には属性なんてものは無い。正確なイメージをすれば発動できるのだ。
だが、人は属性によって、不得手がある。
その理由の一つとして、イメージのしやすさだ。特に、子供の頃に何によく触れていたかが重要になる。
フィオナ先生を例に挙げると、彼女は小さい頃、洪水に巻き込まれたことがあるらしい。そこで水についてのイメージがしやすくなった。
なら僕は?
答えは簡単だ。僕は地球人だ。アニメなど、様々な空想の物事を目に、耳にしたことがある。それに、学生の頃は研究が好きだった。科学的に間違っているか否かではなく、この実験の結果、こうなった。そのイメージさえあれば、化学も物理も無視して魔法を行使できるのだ。
そしてベルからは属性なんて考え方は教わってない。その先入観が無いからこそ、柔軟に、幅広く魔法を使える。
ウィルの過去も覗いたが、その先入観が邪魔をして、僕ほど魔法を使いこなせていなかった。
…とはいえ、油断はしない。ウサギはごめんだ。僕はジェット機に乗って終幕まで飛び続ける。
「はい、それでは皆さんも自己紹介をしてください。」
フィオナ先生がそう言った。
「じゃあ、俺から。俺は『ルーカス』。平民だけど、フィオナ先生から推薦されてこの学園に来た。先生と同じ、水属性だ。よろしくな。」
一人の男子生徒が席を立ち、自己紹介をした。
「なら、次私たち~!…私は『アリシア・ミグリット』で、炎を使うよ!こっちは…」
「えと、『エリシア・ミグリット』、です。氷、を使います。あの、よろしく、お願いします。」
「私たちは双子の姉妹なの!よろしくね~。」
続けて二人の女子生徒が自己紹介をする。
騒々しくて赤いのがアリシア。おどおどしている、青いのがエリシアのようだ。
家は騎士爵らしい。
そして…
「俺はウィリアム・マーティン。えっと、得意な属性とかはあまりなくて、まあ、色々使えます。一年間よろしくお願いします。」
なんだろう、コイツの声を聞くだけで、凄くイラっとする。
「え!?まさか、勇者様の!?」
一人の女子生徒が驚きの声をあげ、それが周囲に伝播していく。
「なに!?あの男が…」
「へえ~、かっこいいね~。」
「勇者様の事、教えてくれないかな~?」
「はいはい、まだ自己紹介は終わってませんよ~。…次はあなたですよ。」
フィオナ先生が生徒たちを宥め、先程声をあげた女子生徒に指示を出す。
「あ、はい。私は『シャルロット・クローズ』です。この国の第一王女ですが、気兼ねなく話しかけてください。」
「え!?嘘、王女様…」
「マジか。もしあの子と結婚できれば…」
「高望みはしなくとも、是非お近づきになりたい。」
「綺麗~。」
また騒がしくなった。フィオナ先生が次を促す。
「リリアン・コールマンよ。雷魔法を使うわ。よろしくね。」
「ソフィア・クロフォードです。聖魔法が使えます。よろしくお願いします。」
知っている二人組だ。ソフィアの美しい青髪が風で揺れる。
「ぼくはマシュー・アルディアだ。土魔法を使う。よろしく。」
茶髪の、不快ではないタイプのぽっちゃり体系の男がお辞儀をする。
僕で最後だ。僕は立ち上がり、
「オリバーだ。」
そう言ってすぐ座った。
「短っ!」
「え?ああ、もしかして、あれが…」
「貴族の風上にも置けない。」
「いや、平民落ちしたんだろう?」
「なら、もう侯爵家の後ろ盾は無いんだな?」
わ~お。僕も違うベクトルで有名人。
…フィオナ先生?止めないの?なんで頷いてそのままにしてるの?私情まみれじゃない?
僕は辺りを見渡す。
僕に敵意や嫌悪を抱いていないのは…反応が一つあった。
僕はそっちに向く。目が合った。
…わあ、綺麗なちょうちょ。
だったら良かった。蛾だった。背中の模様が目のように見える、アイツだ。
そりゃあ、虫は何もしていないのに嫌悪を抱くことはしないよね。
…こりゃあ、友達なんて、できそうにもないね。
念のため、調べてみるか。
(『アナライズ』発動)
彼女の名前は『フィオナ』。身分は平民だが、水属性魔法の腕を買われ、学院に入学。卒業後、教師になった。独身。交際歴も無し。…というか、キスをしたことすら無いらしい。この世界で、ここまで経験の無い人を見たのは初めてかもしれないね。
因みにオリバーに嫌悪感を抱いているようだ。
まあ、一人の女をしつこく追いかけまわして迷惑をまき散らした挙句、あの『勇者』の孫に敵対し、みっともなく逃げ去った男に好意を抱くような変人はほぼいないだろう。
改めて考えると、僕って救いようもないよねぇ。
でも、このフィオナ先生は僕にでも平等に接するつもりのようだ。職務に私情を挟まない。プロ意識が高いんだね。
「はい。皆さん揃っていますね?…私はこのAクラスを担任の、『フィオナ』と申します。平民ですが実力は十分にあると、学園長にお墨付きをもらっています。私は主に、水属性の魔法を使います。これから一年間、よろしくお願いしますね。」
パチパチパチ…
拍手が響く。僕はそれに加わってはいない。
それより、さっきの自己紹介で気になったことは無かったかい?魔法の話についてだ。
…え?無かった?そんなことないよね?
僕はこの世界の魔法について、どう説明した?
『魔法を使うためには、自分の魔力を使い、イメージをすることで発動する』
こう言ったはずだ。
…つまり、本来の魔法には属性なんてものは無い。正確なイメージをすれば発動できるのだ。
だが、人は属性によって、不得手がある。
その理由の一つとして、イメージのしやすさだ。特に、子供の頃に何によく触れていたかが重要になる。
フィオナ先生を例に挙げると、彼女は小さい頃、洪水に巻き込まれたことがあるらしい。そこで水についてのイメージがしやすくなった。
なら僕は?
答えは簡単だ。僕は地球人だ。アニメなど、様々な空想の物事を目に、耳にしたことがある。それに、学生の頃は研究が好きだった。科学的に間違っているか否かではなく、この実験の結果、こうなった。そのイメージさえあれば、化学も物理も無視して魔法を行使できるのだ。
そしてベルからは属性なんて考え方は教わってない。その先入観が無いからこそ、柔軟に、幅広く魔法を使える。
ウィルの過去も覗いたが、その先入観が邪魔をして、僕ほど魔法を使いこなせていなかった。
…とはいえ、油断はしない。ウサギはごめんだ。僕はジェット機に乗って終幕まで飛び続ける。
「はい、それでは皆さんも自己紹介をしてください。」
フィオナ先生がそう言った。
「じゃあ、俺から。俺は『ルーカス』。平民だけど、フィオナ先生から推薦されてこの学園に来た。先生と同じ、水属性だ。よろしくな。」
一人の男子生徒が席を立ち、自己紹介をした。
「なら、次私たち~!…私は『アリシア・ミグリット』で、炎を使うよ!こっちは…」
「えと、『エリシア・ミグリット』、です。氷、を使います。あの、よろしく、お願いします。」
「私たちは双子の姉妹なの!よろしくね~。」
続けて二人の女子生徒が自己紹介をする。
騒々しくて赤いのがアリシア。おどおどしている、青いのがエリシアのようだ。
家は騎士爵らしい。
そして…
「俺はウィリアム・マーティン。えっと、得意な属性とかはあまりなくて、まあ、色々使えます。一年間よろしくお願いします。」
なんだろう、コイツの声を聞くだけで、凄くイラっとする。
「え!?まさか、勇者様の!?」
一人の女子生徒が驚きの声をあげ、それが周囲に伝播していく。
「なに!?あの男が…」
「へえ~、かっこいいね~。」
「勇者様の事、教えてくれないかな~?」
「はいはい、まだ自己紹介は終わってませんよ~。…次はあなたですよ。」
フィオナ先生が生徒たちを宥め、先程声をあげた女子生徒に指示を出す。
「あ、はい。私は『シャルロット・クローズ』です。この国の第一王女ですが、気兼ねなく話しかけてください。」
「え!?嘘、王女様…」
「マジか。もしあの子と結婚できれば…」
「高望みはしなくとも、是非お近づきになりたい。」
「綺麗~。」
また騒がしくなった。フィオナ先生が次を促す。
「リリアン・コールマンよ。雷魔法を使うわ。よろしくね。」
「ソフィア・クロフォードです。聖魔法が使えます。よろしくお願いします。」
知っている二人組だ。ソフィアの美しい青髪が風で揺れる。
「ぼくはマシュー・アルディアだ。土魔法を使う。よろしく。」
茶髪の、不快ではないタイプのぽっちゃり体系の男がお辞儀をする。
僕で最後だ。僕は立ち上がり、
「オリバーだ。」
そう言ってすぐ座った。
「短っ!」
「え?ああ、もしかして、あれが…」
「貴族の風上にも置けない。」
「いや、平民落ちしたんだろう?」
「なら、もう侯爵家の後ろ盾は無いんだな?」
わ~お。僕も違うベクトルで有名人。
…フィオナ先生?止めないの?なんで頷いてそのままにしてるの?私情まみれじゃない?
僕は辺りを見渡す。
僕に敵意や嫌悪を抱いていないのは…反応が一つあった。
僕はそっちに向く。目が合った。
…わあ、綺麗なちょうちょ。
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