幸せの在り方

親の目を盗んで

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二章

王族魔法

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やっと学園生活が始まった。

ある程度想像は付いていたが、望んでいたものとは違う。

座学。僕は後ろから飛んでくる紙くずを消去する。

実技。僕はどこからか飛んでくる攻撃魔法を消去する。

トイレ。上から降ってくる水を消去する。

昼食。背後からしつこく飛んでくる虫やゴミごといくつかの生徒を消去。その後、生徒のみを再構成。さらに永続的な幻覚と激痛の呪いを付与。あ、でも、それは女の子だけだよ?ちゃんとそうする理由もある。…べつに、女の子の悲鳴が聞きたいって、その裸が見たいって、それだけの理由じゃないんだからね!

…この学園では、昼休みに女学生が急に裸で叫びだす生徒が続出するという、学園七不思議があるらしい。

コワイネ~。

そして!ついにウィリアムとソフィアが恋人として付き合い始めたよ!学園が始まって三か月の頃だ。今は常にアツアツのカップルで、それが学園中に知れ渡っているらしい。

でも、キスすらしてないんだよ?

…もう少し時間がかかるかな?我慢だ。我慢。

もっと、アイツが満たされる寸前に…

ククク。笑いが止まらんな。


さて、僕も本格的に動き始めるとしますかね。

「いた!ねえあなた?少し、話があるのだけれど、いいかしら?」

…ハア、面倒なやつが来た。

「これはこれは、クローズ王国第一王女、シャルロット・クローズ殿下ではありませんか。ご機嫌麗しゅうございます。(棒)では、私めは用事がありますので…」

僕はすぐに踵を返して、

「待ちなさい!あなたでしょう?この学園の生徒を、発狂に追いやっているのは!」

シャルロットは、わざと周囲に聞こえるように大声で言う。

「え!?」

「なるほど、やっぱりそうだったのか…」

「本当にクズだな。」

「アイツが親友を!?…なら、ぶっ殺してやる!」

知らない男が僕に向かって走ってくる。

「静まりなさい!喚いても仕方がないわ。それに、証拠がないのも確かよ。」

シャルロットが演技めいたセリフを放つ。

「そ、それは…」

「ですから、私が確かめます。王家に代々伝わる、王族魔法で!」

「ほ、本当ですか!?」

「マジか。俺たち、王族魔法を見られるのか!?」

「これでアイツも終わりだな。」

わあ~、これはやばいやばい(棒)

あ、説明していなかったね。王族魔法は、精神を操作する魔法だ。

魅了して命令に従わせたり、洗脳して大量の生物兵器を作り上げることだってできるのだ。嘘を禁じ、本当の事を言わせること位、簡単だろうね。

まあ、魔素を支配する僕に、魔法は効かないけど。

「では、いきます!…オリバーよ、我が前に跪け。」

「はい。」

僕は返事をして跪く。…別に従わなくてもいいけど、それだと不自然だからね。これはちゃんと利用させてもらうよ。

「オリバーよ、あなたはこの学園の生徒に危害を加え、発狂に追いやったのは事実ですか?」

シャルロットが魔力を込めた声で僕に聞く。

「はい。事実です。」

僕は正直に答える。

「ッ!…やはり、そうでしたか。なら、なぜそのようなことをしたのですか?」

「命令です。ある方からの。」

僕は息をするように嘘をつく。

「ある方?それは、誰ですか?」

シャルロットは怪訝そうな顔をして聞いてくる。

「それは…言えません。そう命令を受けていますので。」

どうだ?なかなかの演技力だろう?

「言えない?なぜですか?私の、王族の命令ですよ!答えなさい、オリバー!なぜあなたはその者の名を言えないのですか!?」

シャルロットは信じられないものを見たかのように叫ぶ。

「あの方の名は言えませんが、なぜ言えないのかは禁じられていない為、お答えできます。」

いよいよ大詰めだ。

「…言いなさい。」

シャルロットは煮え切らないような思いなのだろう。

「僕は王族魔法で多数の命令を受けています。その中に、あの方の名前を言ってはいけないという命令が存在するためです。」

「なっ!?そんな…まさか!あなた、私の妹が、スカーレットが命令したと言いたいの!?」

シャルロットは半狂乱になって僕の胸ぐらを掴む。

「申し訳ございません。あの方の命令により、その質問に答える事は禁じられているのです。」

「そんな!まさか、本当なの?…なら、あの子に直接聞いてみるしか…」

そこで僕は叫ぶ。

「僕から離れてください!シャルロット様!」

僕はそう叫びながらシャルロットに魔力で強化した貫手を放つ。…まあ、ゆっくりとだけどね。

「え、きゃ!」

よし、ナイスタイミングだが、ここからは僕の演技力が試されるね。うっかり殺意をばらまいてしまったら意味がなくなってしまう。

「ご無事ですか?シャルロット様。」

…ウィリアムだ。リリアンとソフィアもいる。

「一体、何をしているの!?オリバー!この人に危害を加えたら、死罪なのよ?」

「なんで、こんな事をしたのですか?答えてください、オリバー。」

「オリバー、貴様はもう看過できない。それ相応の報いを受けてもらうぞ!」

ウィリアムがそう言い、構える。

…隙だらけだ。この一瞬だけで何千回、何万回殺せるだろうか。

おっといかんいかん。あまり物騒なことは考えるなよ?僕。

そこでシャルロットが叫ぶ。

「待ってください!オリバーは、操られているだけなのです!私の妹のスカーレットが王族魔法で命令していただけなのです!」

「何!?」

「えっ」

「それ、本当!?」

ウィリアムとソフィア、リリアンが驚く。

僕はその隙にシャルロットを攻撃する。

「おっと、危ないな!」

ウィリアムは金属の鎖を作り出し、僕を地面に縫い付ける。

何だこの鎖は。泥で作っているのか?と言う位に脆いんだが…

「よし、これか!?」

ウィリアムは、僕が作ったフェイクの魔力の乱れを、彼自身の魔力をぶつけて吹き飛ばした。

「う、ぐはっ。…かはっ、ハアッ、ハアッ…」

僕はそのまま地面に手を付き、息を切らしているかのように呼吸する。

「ウィル君!?何をしたの?」

ソフィアがウィリアムに聞く。

「えっと、魔力が乱れていたから、それが原因かなって思ったから吹き飛ばしてみたんだ。」

「まさか、王族魔法をレジストしたのですか!?」

シャルロットが目を見開いてウィリアムに尋ねる。

「あ、うん。そういうことだね。」

ウィリアムは頷く。

「は~、本当に規格外だねぇ。」

「凄い、です。」

リリアンとソフィアが言う。

そこで僕は全身から目に見える程の大量の魔力を放出する。

「ッ!?」

「え、なにこれ」

「魔力?…これが?」

「うそ、こんなの、ありえない。」

四人はこの魔力量に愕然としているようだ。…まだ魔素を利用していないのにこの反応か。こいつらは僕が思っているよりも弱いんだな。
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