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一章
帰宅後
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生徒達の自己紹介が終わり、下校時刻になりました。もう少し話しかけてみようと思ったのですが、新城君はさっさと帰って行ってしまいました。彼は私にあまり興味を抱いていないのでしょうか…
なぜでしょう、とても悲しく感じます。
あ、悲しいと言えば、さっきまで新城君はとても悲しそうな顔をしていました。
何かあったんでしょうか…
「…?お嬢様?ご自宅に着きましたぞ?」
え!?もうですか?いけない。私、ずっと新城君のことを考えていたの?
「やはり、どこか体の具合がよろしくないのですか?」
送迎車の運転手のじいやが、心配そうに私に声を掛けます。
「いえ、少し考え事をしていただけです。」
私はそう言い、自室に向かいました。夕食の時間まで勉強しなければいけませんから。
…そういえば、新城君は入試の成績が私より高いのですよね?やっぱり、帰宅してすぐに勉強しているのでしょうか。
いけません。また、新城君の事を考えてしまいました。なぜでしょう、彼の声が、姿が、冷たい手の感触が、頭から離れないのです。
ですが、今は勉強です。成績が落ちてしまうと彼の隣の席に座れませんから。
…あれ?私は彼の隣に座りたいのですか?なんでそう思ったのでしょう。
夕食の時間になりました。この場には私の他にお父様、お母様、姉様。あと、料理人の方々がいらっしゃいます。
「咲良、新しい学校はどうですか?楽しめそうですか?」
お母様がおっしゃいます。
「そんな訳ないじゃん。だってあの学校、馬鹿ばっかりでしょ?話とか絶対合わないし、家に取り入ろうとしてくる奴ばっかりじゃない?」
確かに、姉様のいう様な人もいました。でも、新城君はその素振りすら見せませんでした。
「姉様。一人ですが、私より成績のいい方もいらっしゃいましたよ?」
「ふぅん、それはその人というより、あなたの成績が悪かったんじゃない?」
姉様は私を嘲るように言いました。
「いえ、そこまで悪くはなかったはずです。私自身、納得するくらいの成績でしたが。」
「へぇ!納得しちゃったんだ!ただの庶民に負けて「冬華、いい加減にしろ。」…分かりましたよ。」
お父様が姉様を止めました。姉様の悪い癖です。すぐに他人を見下してしまう。
「それより咲良、お友達はできたのかい?」
お父様が優しく聞いてきます。
「えと、はい。さっき言った方とお話しすることができました!」
握手だってしたし、お友達だよね?
「ほお、それは何よりだ。その子は良い子かね?」
お父様が再び聞いてきます。
「そう、ですね…彼は優しい人です。でも、少しお話をするのが苦手なのかもしれません。」
それにかっこいいけど、どこか子供っぽかったり…
「そうか、そうか…ん?『彼』と言ったか?」
お父様が雰囲気が変わり、尋ねてきます。
「え?あ、はい。男性の方ですが…」
新城君は男の人です。
「な、なんだと!?まてまてまて、友達なんだよな?決してそれ以上ではないんだよな?」
お父様が凄い形相で聞いてきます。それ以上?どういうことでしょうか?
「え?あ、はい。新城君はお友達ですよ?」
「そ、そうか…今までおまえから色恋沙汰の事は聞いたことなど無かったものだから、つい、焦ってしまった。」
え?色恋沙汰?私が?確かにしたことありませんね。
「え?ああ、新城君はお友達ですよ?恋人とか、では…///あれ?あっ、ちょ、ちょっとお手洗いに行って参ります!」
新城君が私の恋人に…なんて想像してしまい、もうそれで頭がいっぱいいっぱいになってしまいました。顔が熱いです。なぜでしょう?いけません、皆に不審がられる前に退避しないと!
…え!?なんで、まさか、本当に!?
私って、新城君の事…
~取り残された家族の会話~
「え、今の反応は、咲良、まさか…」
父が愕然として震え続ける。
「あらあら、あの子にもやっと春が来たのね~。」
母は、のほほんと微笑ましそうな目で咲良が去っていった方を見る。
「分かりやす過ぎでしょ。あれで誤魔化せているつもりなのかしら。」
姉は呆れたように首を振る。
「確か、シンジョウ、とか言ったな。私の娘に手を出しおったのは…ククク。」
父が危険な笑みを浮かべている。
「あなた?娘の初恋を邪魔すれば、どれだけ嫌われるとお思いですか?」
母が苦笑しながら言う。
「うぐっ!だ、だが!」
父が反論しようとする。
母は、
「ですので、調べるだけです。手出ししてはいけませんよ?」
楽しそうに笑い、言った。
「あ、調べるんだ…」
姉は、ぽつりと言葉をこぼす。
「ええ。あの子が惚れた男がどんな人間か、私だって知りたいのですよ?」
「わ、分かった。だが、碌でも無いような男だったなら…」
「手出しはいけませんよ?それとなく口を出すしかありません。」
母は念のために釘を刺す。
「う、聞いてくれるのか?…」
咲良の父、裕樹は心配そうに、手を忙しなく何度も組み直している。
「聞いてくれますよ。あなたはともかく、私の言葉は。」
咲良の母、花蓮は、悪戯めいた笑みを浮かべる。
「ぐふっ、そ、それは…いや、その時は、頼む。」
考えたくもない事を考えてしまい、父は大ダメージを受けた。
「ちょっと、お母さん。お父さんを苛めちゃ可哀そうだよ。」
咲良の姉、冬華が諫める。
「あら、この人を揶揄うのが可愛くて良いんじゃない。」
花蓮はそう言った。
それが咲良に受け継がれているのは明らかだろう。
…まったく、この一家は我らが主人公『新城 翼』と、どのように関わり合うのか。楽しみやら、空恐ろしいやら。
なぜでしょう、とても悲しく感じます。
あ、悲しいと言えば、さっきまで新城君はとても悲しそうな顔をしていました。
何かあったんでしょうか…
「…?お嬢様?ご自宅に着きましたぞ?」
え!?もうですか?いけない。私、ずっと新城君のことを考えていたの?
「やはり、どこか体の具合がよろしくないのですか?」
送迎車の運転手のじいやが、心配そうに私に声を掛けます。
「いえ、少し考え事をしていただけです。」
私はそう言い、自室に向かいました。夕食の時間まで勉強しなければいけませんから。
…そういえば、新城君は入試の成績が私より高いのですよね?やっぱり、帰宅してすぐに勉強しているのでしょうか。
いけません。また、新城君の事を考えてしまいました。なぜでしょう、彼の声が、姿が、冷たい手の感触が、頭から離れないのです。
ですが、今は勉強です。成績が落ちてしまうと彼の隣の席に座れませんから。
…あれ?私は彼の隣に座りたいのですか?なんでそう思ったのでしょう。
夕食の時間になりました。この場には私の他にお父様、お母様、姉様。あと、料理人の方々がいらっしゃいます。
「咲良、新しい学校はどうですか?楽しめそうですか?」
お母様がおっしゃいます。
「そんな訳ないじゃん。だってあの学校、馬鹿ばっかりでしょ?話とか絶対合わないし、家に取り入ろうとしてくる奴ばっかりじゃない?」
確かに、姉様のいう様な人もいました。でも、新城君はその素振りすら見せませんでした。
「姉様。一人ですが、私より成績のいい方もいらっしゃいましたよ?」
「ふぅん、それはその人というより、あなたの成績が悪かったんじゃない?」
姉様は私を嘲るように言いました。
「いえ、そこまで悪くはなかったはずです。私自身、納得するくらいの成績でしたが。」
「へぇ!納得しちゃったんだ!ただの庶民に負けて「冬華、いい加減にしろ。」…分かりましたよ。」
お父様が姉様を止めました。姉様の悪い癖です。すぐに他人を見下してしまう。
「それより咲良、お友達はできたのかい?」
お父様が優しく聞いてきます。
「えと、はい。さっき言った方とお話しすることができました!」
握手だってしたし、お友達だよね?
「ほお、それは何よりだ。その子は良い子かね?」
お父様が再び聞いてきます。
「そう、ですね…彼は優しい人です。でも、少しお話をするのが苦手なのかもしれません。」
それにかっこいいけど、どこか子供っぽかったり…
「そうか、そうか…ん?『彼』と言ったか?」
お父様が雰囲気が変わり、尋ねてきます。
「え?あ、はい。男性の方ですが…」
新城君は男の人です。
「な、なんだと!?まてまてまて、友達なんだよな?決してそれ以上ではないんだよな?」
お父様が凄い形相で聞いてきます。それ以上?どういうことでしょうか?
「え?あ、はい。新城君はお友達ですよ?」
「そ、そうか…今までおまえから色恋沙汰の事は聞いたことなど無かったものだから、つい、焦ってしまった。」
え?色恋沙汰?私が?確かにしたことありませんね。
「え?ああ、新城君はお友達ですよ?恋人とか、では…///あれ?あっ、ちょ、ちょっとお手洗いに行って参ります!」
新城君が私の恋人に…なんて想像してしまい、もうそれで頭がいっぱいいっぱいになってしまいました。顔が熱いです。なぜでしょう?いけません、皆に不審がられる前に退避しないと!
…え!?なんで、まさか、本当に!?
私って、新城君の事…
~取り残された家族の会話~
「え、今の反応は、咲良、まさか…」
父が愕然として震え続ける。
「あらあら、あの子にもやっと春が来たのね~。」
母は、のほほんと微笑ましそうな目で咲良が去っていった方を見る。
「分かりやす過ぎでしょ。あれで誤魔化せているつもりなのかしら。」
姉は呆れたように首を振る。
「確か、シンジョウ、とか言ったな。私の娘に手を出しおったのは…ククク。」
父が危険な笑みを浮かべている。
「あなた?娘の初恋を邪魔すれば、どれだけ嫌われるとお思いですか?」
母が苦笑しながら言う。
「うぐっ!だ、だが!」
父が反論しようとする。
母は、
「ですので、調べるだけです。手出ししてはいけませんよ?」
楽しそうに笑い、言った。
「あ、調べるんだ…」
姉は、ぽつりと言葉をこぼす。
「ええ。あの子が惚れた男がどんな人間か、私だって知りたいのですよ?」
「わ、分かった。だが、碌でも無いような男だったなら…」
「手出しはいけませんよ?それとなく口を出すしかありません。」
母は念のために釘を刺す。
「う、聞いてくれるのか?…」
咲良の父、裕樹は心配そうに、手を忙しなく何度も組み直している。
「聞いてくれますよ。あなたはともかく、私の言葉は。」
咲良の母、花蓮は、悪戯めいた笑みを浮かべる。
「ぐふっ、そ、それは…いや、その時は、頼む。」
考えたくもない事を考えてしまい、父は大ダメージを受けた。
「ちょっと、お母さん。お父さんを苛めちゃ可哀そうだよ。」
咲良の姉、冬華が諫める。
「あら、この人を揶揄うのが可愛くて良いんじゃない。」
花蓮はそう言った。
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