崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

第三十七話 恐怖の盾なる用心棒

突然の乱入者

「あ、それならアタイが持ってるよー」
　シャットが生地の厚いシートを広げてくれた。一応武器を持ちつつ、みんな別々の方向を向いて腰を下ろす。

　静かな森の雰囲気は、ナガレたちを落ち着かせてくれた。
「この寒さも慣れたら、なんだか心地いいにゃあ」
「もうお昼頃だから気温が上がったんだ」
「ベネット、動けるようになったら言ってよね」
「め、面目ねえッス……」
　このまま回復まで待っている……。

　と、思ったのも束の間のことだった。突如ナガレたちの周囲に影が落ちる！
「ん……雲か？」
　何気なく上を見たナガレ。だがその直後、その顔が驚きに溢れた。

「みんなっ、何か来る！」
「な！」「えー⁉︎」「……！」
　弾かれたように立ち上がるエフォーツ。ベネットも立とうとしたが「あだだだだ！」と再び倒れてしまった。

「ピーヒョロロロローーーー！」

「な、何よあいつっ⁉︎」
　ニンフォたちが見上げる先には、大きな鳥のモンスターがいた。大声で鳴きながら、ナガレたちの上空をクルクル回っている。
　ブランエルクと同じくらい大きな体だ。翼で羽ばたくたびに、灰色の羽が舞い散っている。
　黄色いクチバシ、灰色と白の羽毛、鋭い爪と逞しい二本足、そして恐ろしいも凛々しい鳥類の顔つきだ。

「ピィーーッ！」

「アイツ……！　ブリザードホークだ！」
「ひぇぇー！　パイセンが何時間か前に言ってたやつー⁉︎」
「こんなすぐ出てくることあるにゃあ⁉︎」
　驚きつつ臨戦態勢を取るナガレたち。ブランエルクは邪魔者を見定めると「ピィーーッ！」と威嚇しながら、バッサバッサと降りてくる。

「くそっ、狙いはブランエルクだ！　オレたちが仕留めたのを横取りする気だなっ」
　ナガレたちの数メートル先には、事切れたブランエルクの死骸が残っている。血の匂いを嗅ぎつけて来たのだろう。
「……迂闊だった。スカベンジャーや他のモンスターが来るのは予想できたのに、俺は呑気なことを……」
　自分の迂闊さに頭を抱えるジョー。
　こうなればせめて最初から、ツノと毛皮を剥ぎ取っておくべきだった。クエストは毛皮とツノの調達だ。そうすれば追加報酬は無いにしろ、死骸などくれてやったのに。
「過ぎたことは仕方ない。でも……こりゃマズイぞ」
　ナガレは数歩後退りした。
　目の前にいるブリザードホーク……吹雪の中でも狩りをするような戦闘力、飛行能力を持つ切れ者のモンスターだ。
　危険度はＢ級。ナガレとジョーならまだ勝てるかもしれないが、後輩四人にはとても荷が重い相手。