崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

イミヅカ

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第三話 誇りとプライドを胸に

死戦

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~☆~☆~☆~☆~☆~

「皆さん、なるべく静かに避難を! 騎士様の後に続いてください!」
 崖上では、すでにルーカスの指示で町民が避難を始めている。しかしアリッサたちはまだ動かなかった。
「お、おいアリッサちゃん! 早く逃げねえと! ほら、みんな避難はじめてるぞ!」
「でもナガレ君が! あ、あたしほっとけないよ!」
 アルクルの声にも聞く耳を持たず、少し離れたところのナガレたちを見守るアリッサ。すぐ横で身を乗り出すルックも離れようとしない。
「ああもう、お前らに何が出来るってんだよ……! どうせ勝敗なんか分かりきっているだろうが……!」
 イライラを隠せないアルクルだが、彼自身も避難しないようだ。おぶっていたレンを下ろし、自分も腕を組んで崖下を見つめている。
「アルクル……無理することはないぞよ。お前には辛いことになるかも知れぬ」
「……うるさいですよ、マスター」
 レンの忠告に、アルクルはそっぽを向いた。その表情から、感情を窺い知ることはできない。
 崖下では、ナガレが駆け出したところだった。

「だりゃあぁぁぁっ!」
 一番槍はナガレだ。舞うようにマルチスタッフを振り回し、ガラガラマムシの太いお腹をぶっ叩く!
 ドスッ!
「ぐ……硬い!」
 少し入っても跳ね返される感じはまるで、巨木を殴りつけたようだ。分厚い筋肉に阻まれ攻撃が通らない。その時ガラガラマムシが頭を振り上げ、ナガレに向けてヘッドバット!
 ズガァン!
「ぐわぁっ!」
 強烈な一撃に、ナガレの体が宙を舞った。
「ナガレッ! 大丈夫か!」
「く……大丈夫! オレに構うなっ!」
 しかし特訓の賜物か、咄嗟にマルチスタッフを構えガードしていたようだ。ダメージを抑えて空中で態勢を立て直し、受け身を取って立ち上がった。
「ちょっとタネツ! こいつって弱点とかないの⁉︎」
「俺が知るか! とりあえず叩けるところをぶっ叩け! うぉぉぉっ!」
 続いてタネツとヒズマが同時ジャンプで飛びかかる。タワーシールドとロングソードを同時に振り上げ、渾身の一撃を叩き込む!
「うぉらぁっ! シールドバッシュ!」
「居合斬りっ!」
 バキッ! シャキーン!
 その二撃は、振り下ろされたガラガラマムシの頭部にクリーンヒット。するとガラガラマムシが少しだけ怯む!
「ギシャッ!」
「は、入った!」
 手応えのあった攻撃に、タネツが感情を上げる……が、ガラガラマムシの素早い反撃! 
「ギシャアーッ!」
 ガキン!
「きゃあっ⁉︎」
 顎を大きく開き、空中のヒズマに噛みついた! 空中で体を逸らし直撃を避けたヒズマだが、少し掠っただけで軽々と吹き飛ぶ。器用に着地したが、キバの攻撃をくらった左手を押さえている。
「く……左手の動きが鈍いわ。ガラガラマムシの麻痺毒ね……!」
「キシャーッ!」
 続いて敵はタネツを狙い頭を振り下ろす。だが素早く着地したタネツは、間一髪でガードが間に合う!
「ふんぬっ!」
 ガキィン!
 大人の体が隠れるほどの巨大盾、タワーシールドを掲げるタネツ。分厚い金属の防御は非常に高い……はずなのだが、ガラガラマムシのパワーはそれ以上! 強烈な頭突きをくらったタネツは、数メートルも後ずさった。
 ズザザザザーッ!
「く……なんてパワーだ! 俺とタワーシールドの重さを合わせりゃあ、どんだけの体重が分からんぞ!」
「それを吹き飛ばすほどの攻撃ってことか……! こんなところで負けるかよっ、絶対に勝つ! はぁぁぁぁぁっ!」
 再び走り出すナガレ。今度は大地を蹴って高く跳躍、大きな頭を叩く!
 バキッ!
「ギギッ⁉︎」
 軽いナガレの攻撃でも、明確にガラガラマムシが怯む。
「やっぱり! 弱点は頭かっ!」
 明らかに手応えが違う。しかし相手は突然頭を下ろし、勢いよくタックルを放つ!
「ギシャーッ!」
 ガンッ!
「ぐあっ!」
 空中では踏ん張りが効かず、ナガレはまるで木の葉のように軽々と吹っ飛んだ。硬い地面に叩きつけられ、そのままゴロゴロ転がっていく。
「はぁはぁ……そ、そうか。あいつの頭は確かに弱点だけど、それはあいつの武器でもある。下手に狙えば、確実に反撃をもらってしまうのか」
 空中では踏ん張りが効かない都合上、防御でダメージを軽減できない。それに頭部付近に行けば、ガラガラマムシにとってヘッドバットや噛みつき攻撃など強い攻撃を喰らわせるチャンスだ。
「くそっ、厄介だな。……だけど裏を返せば、胴体への攻撃は反撃をもらいにくい。回復のタイミングをしっかりすれば……!」
 ナガレは腰のポーチに入っている回復薬の数を手探りで確かめる。個数は……五つ。タネツとヒズマが何個持っているのかは知らないが、数には限りがあるため大切に使わなくてはいけない。
「ヒズマ! あんた回復する魔法とか使えないの⁉︎」
「あいにくだけど、魔法なんて全く使えないわ。でも仲間を回復するなら、こうよ! はいナガレ、パスっ!」
 そう言うとヒズマは回復薬のビンをナガレに投げつけた!
「うわ!」
 パシッ!
「ナイスキャッチ! お互いピンチの時は、こうやってアイテムを投げ渡しましょう」
「よし、わかったぜ! おいっ、ヒズマ! シビレ取り薬だ!」
 続いてタネツがヒズマに薬を投げ渡す。
「ありがとタネツ~! でもあんな強い攻撃、数発でもくらったらヤバいわよ! 回復薬の数にも限りがあるから、回復のタイミングに気をつけて!」
「ごくごく……ぷはっ! よーし、体力回復! まだまだこれからだっ!」
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