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第四話 ジョーの過去?
別れ
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「……俺はやっと復讐できたと喜んだ。そして再び姉さんを支えようと、一年ぶりに故郷へ戻ったんだ。たが……そこで想定外の事が起きた」
「想定外のこと……?」
「……姉さんの症状は、かなり悪化していたんだ。金を積まれた医者が必死に延命させていたが、もう助からなかった。僅かな寿命を少しだけ伸ばすしかできなかったようだ。俺は急いで村へ戻ったが……姉さんと過ごせたのは、たった二日だけだった」
「…………」
正直、ナガレはこれ以上聞きたくは無かった。自分の友達がこんな悪人だったなんて、信じたくはない。だが、いまさら後には引けない……。
「姉さんは医者に『最期に一度でいいからジャックに会いたい』と無理を言って治療してもらったそうだ……俺が復讐に身を投じている間、ずっと姉さんを苦しめていたんだ」
ジョーは下を向く。その目には、ぐちゃぐちゃになった感情が渦巻いていた。
「そして姉さんは亡くなった。俺の五歳年上で、二十四歳だった。……辛かったろうな、一年以上、たった一人で……俺のせいで、姉さんを苦しめてしまった……俺は大馬鹿野郎だ」
「ジョー……」
ジャックというのは誰なのかは、ナガレにも理解できる。もしアリッサがふざけて言ったのなら、ナガレは遠慮なく突っ込んだだろう。しかし、ジョーの悲しみをよく分かっていて、そんなことをする気も起きなかった。
そしてジョーは顔を上げる。オレンジ色の夕陽を眺めて、ため息をついた。
「……ナガレ。俺はお前が思っている以上にクズで外道の悪人だ。復讐と恩返しこそ、俺が生きる意味だった。それを失った今、俺はもう……」
ナガレは少し考える。それは正しいことなのだろうか。やるべき事をやった後は死んでもいいだろうか。自分の夢はS級冒険者になり、このギルドを出て、世界中の人を助ける強くて優しい存在になる事だ。それが終わったら、死んでもいいか?
答えはすぐに出た。
(……そんなの、ゼッタイ嫌だ! 人の人生は夢を叶えて終わりじゃない! オレだって美味しいものを食べて、いっぱい友達を作って、たくさん冒険して……可愛さS+体力S+の女の子とオレのマルチスタッフ(大)で夜の合体技するんだァーッ!)
……最後がなければ純粋な少年だったのに。それはともかく、ジョーをなんとかして引き止めないといけない。約束のためだけに危険な町まで馬で突っ走ってくるくらいだし、決心すれば本当に命を絶ちかねない……。
「あのさ、ジョー」
もう少し考えた末、ナガレはようやく口を開いた。
「……なんだ?」
ジョーが反応する。
「嫌だったら別にいいんだけどさ。しばらくこの町で暮らしてみないか?」
「……なんだって?」
耳を疑い、思わず聞き返してしまうジョー。
「そうは言っても……大した金も持っていないし、家具も何もない。持ってきているのはこの体だけだ……」
「大丈夫! 住む場所もアテはあるし! それがダメならウチで居候すればいいからさ!」
ナガレの脳内にいるのは、赤面した顔のアリッサだ。きっと「アリッサの家に泊めたげてよ」といえば、二つ返事、いや、ロクに話も聞かずOKしてくれるだろう。……ドキドキしすぎて倒れてしまうかもしれないが。あとルックの肩身が狭くなってしまうかも知れないけど、そこは後で労ってやろう。
「想定外のこと……?」
「……姉さんの症状は、かなり悪化していたんだ。金を積まれた医者が必死に延命させていたが、もう助からなかった。僅かな寿命を少しだけ伸ばすしかできなかったようだ。俺は急いで村へ戻ったが……姉さんと過ごせたのは、たった二日だけだった」
「…………」
正直、ナガレはこれ以上聞きたくは無かった。自分の友達がこんな悪人だったなんて、信じたくはない。だが、いまさら後には引けない……。
「姉さんは医者に『最期に一度でいいからジャックに会いたい』と無理を言って治療してもらったそうだ……俺が復讐に身を投じている間、ずっと姉さんを苦しめていたんだ」
ジョーは下を向く。その目には、ぐちゃぐちゃになった感情が渦巻いていた。
「そして姉さんは亡くなった。俺の五歳年上で、二十四歳だった。……辛かったろうな、一年以上、たった一人で……俺のせいで、姉さんを苦しめてしまった……俺は大馬鹿野郎だ」
「ジョー……」
ジャックというのは誰なのかは、ナガレにも理解できる。もしアリッサがふざけて言ったのなら、ナガレは遠慮なく突っ込んだだろう。しかし、ジョーの悲しみをよく分かっていて、そんなことをする気も起きなかった。
そしてジョーは顔を上げる。オレンジ色の夕陽を眺めて、ため息をついた。
「……ナガレ。俺はお前が思っている以上にクズで外道の悪人だ。復讐と恩返しこそ、俺が生きる意味だった。それを失った今、俺はもう……」
ナガレは少し考える。それは正しいことなのだろうか。やるべき事をやった後は死んでもいいだろうか。自分の夢はS級冒険者になり、このギルドを出て、世界中の人を助ける強くて優しい存在になる事だ。それが終わったら、死んでもいいか?
答えはすぐに出た。
(……そんなの、ゼッタイ嫌だ! 人の人生は夢を叶えて終わりじゃない! オレだって美味しいものを食べて、いっぱい友達を作って、たくさん冒険して……可愛さS+体力S+の女の子とオレのマルチスタッフ(大)で夜の合体技するんだァーッ!)
……最後がなければ純粋な少年だったのに。それはともかく、ジョーをなんとかして引き止めないといけない。約束のためだけに危険な町まで馬で突っ走ってくるくらいだし、決心すれば本当に命を絶ちかねない……。
「あのさ、ジョー」
もう少し考えた末、ナガレはようやく口を開いた。
「……なんだ?」
ジョーが反応する。
「嫌だったら別にいいんだけどさ。しばらくこの町で暮らしてみないか?」
「……なんだって?」
耳を疑い、思わず聞き返してしまうジョー。
「そうは言っても……大した金も持っていないし、家具も何もない。持ってきているのはこの体だけだ……」
「大丈夫! 住む場所もアテはあるし! それがダメならウチで居候すればいいからさ!」
ナガレの脳内にいるのは、赤面した顔のアリッサだ。きっと「アリッサの家に泊めたげてよ」といえば、二つ返事、いや、ロクに話も聞かずOKしてくれるだろう。……ドキドキしすぎて倒れてしまうかもしれないが。あとルックの肩身が狭くなってしまうかも知れないけど、そこは後で労ってやろう。
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