崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

イミヅカ

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第五話 荒野のスカベンジャー!

もいっちょ特訓!

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~☆~☆~☆~☆~☆~

 それから数週間が過ぎた。気温もだんだんと上がってきて、夏が近付くのを感じる。とは言ってもスラガン地方は乾燥地帯であるため、そこまで蒸し暑くはない。井戸も枯れてはいないし街の近くに小さな湖もあるし、乾いた風が気持ち良く、強めの日差しに気をつければ夏でも結構心地いいらしい。
「ゼェゼェ……つ、疲れたぜ」
「も、もうダメ……走れない……」
「はぁっはぁっ……く、くそ……動けないって……」
 夕暮れの高台広場……ではなく、噴水公園前で冒険者トリオがへたりこんでいた。鎧を着て町内を四十周走(また増えている!)したもんだから、インナーは汗でギトギトだ。肩で息をしながら、息も絶え絶えになって噴水にもたれている。
「よ、鎧が群れる……ベトベトして気持ち悪い……」
「汗疹ができちゃいそうだわ……水浴びたい……」
「す、すぐそこにあるじゃないっすか……お、オレら……そっぽ向いといてあげますから、脱いでいいっすよ……」
「そ、それ……確かに体はキレイになるけど……ひ、人として色んなものを失いそうだわ……」
 セリフも途切れ途切れに話していると、そこにジョーがやってきた。隣にはアリッサも一緒だ。
「……ほら、冷たい水だ」
 そう言って三本の水筒を差し出す。るとす三人は血相を変えて奪い取った。
 ごくごく……。
「う、うまいっ……! キンキンに冷えてやがるっ……!」
「あ、ありがてぇっ……涙が出るっ……!」
「染み込んできやがる……体にっ……!」
 体が一気に冷えて活力がみなぎってくるような気分だ。超長距離を走った後の冷たい水は、どんなジュースやドリンクよりも美味しいものだ……後でお腹を壊さなければ、だが。
「ただの水でそんなに感動するんだねえ。あたしもちょっと走ってみようかな?」
 ポカンとした表情のアリッサがそう呟いた。しかしジョーは何も反応しない。この町を四十周するなんて、元Sランクの自分でもできるかどうか分からない……。

「……ずっと止まっていると筋肉が強張って、ケガの元になってしまう。辛いだろうが、走った後こそ歩くんだ。クールダウンは大切だぞ」
「む、無茶言いやがるよジョーの奴……」
 とは言いつつ、元気が戻ってきたので立ち上がるナガレ。タネツとヒズマも後に続いた。
 そのままみんなで散歩がてら大通りを歩く。
「なぁナガレ君よぉ~、銭湯行こうぜ銭湯」
「いいですよ! オレもこんな汗ダラダラのままだったら、明日メチャクチャかゆくなっちゃいそう……」
 バッファローの町にも小さいが銭湯がある。元は遠いコウヨウ地方の文化であり、家に風呂場がない中流階級の庶民が体を癒す場所だ。……だが町の銭湯は浴場も小さく数人しか入れないうえ、湯沸かしも未発達なため温度もヌルい。ナガレも時々行くのだが、あまり浸からずお湯を被って体を洗うだけというのが大半だった。
「あそこの牛乳、ちょっと高くない~? 牧場で売ってるやつ三十セートも安いのよ~。しかもほんのり甘くて味も濃いし……」
 そうぼやくヒズマ。ちなみにセートとは通貨の一つで、百セートで一ダラーだ。
「バカいえヒズマ、あのさっぱりした感じがいいんだろーが!」
「んもう、タネツはもっとハングリーになりなさいよ! 冷たくて味の濃い牛乳が飲みたくないの⁉︎」
「すごい。牛乳で喧嘩してる……」
 ヒートアップする二人を、ジョーの背中に隠れてアリッサが見つめていた。……が、そのジョーはナガレと話しているため修羅場に気づかない。

「あんさジョー、オレもうすぐロックホーク討伐に行くよ。三日後にしようかな?」
「……そうか。もう準備は整ったのか」
「ああ! ギン爺に頼んで鎧は補強してもらったから、傷とかはついてないはず。それに回復魔法もちゃんと練習したし、毎日特訓してるから、きっとスキルがつくんじゃないかな」
 ニッと笑うナガレ。日替わりでバリスタにしばかれたり死ぬほど走ったり回復魔法をミスりまくったり、大変な日々だった……。それをみんなで乗り越えたのだから、強敵との戦いでスキルが目覚めてくれるだろう。
「……そうか。手を貸してやりたいところだが、俺は冒険者は辞めたんだ」
「分かってるって。それにジョーの手は借りちゃダメって、マスターにも言われてるからな。大丈夫大丈夫、タネツさんとヒズマさんもついてるし!」
「フッ、頼もしいな。……よし、そろそろクールダウンもいいだろう。今日はよく休めよ。……アリッサさん、行こう」
「呼び捨てで良いのに……うん、行こっか」
「はーいはい、分かった! またな、ジョー! それとアリッサも!」

 二人に手を振って別れた後、ナガレはようやく先輩の様子に気がついた。
「ぐぬぬ……」
「ぬぐぐ……」
「え! ちょ、ど、どうしたんすか! そんな顔に皺いっぱい作って、何話してるんすか⁉︎」
 まさか牛乳について喧嘩してるなんて、思いもしないナガレであった。
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