112 / 1,768
第五話 荒野のスカベンジャー!
ついに昇格!
しおりを挟む~☆~☆~☆~☆~☆~
「ア……アァ……ひ、ひぬかと思った……」
「……早く逃げろと言ったのに」
そんな訳でバッファローの街まで全力疾走したナガレたち。最後尾のナガレはホクス平原まで追いかけられ大変だった……。
「ハァハァ……よ、よくアイツを撒けたわね~……」
「森に入ったらどっかに行きました……じ、じぬぅ……」
「そ、そろそろ降りてくんねぇか?」
「もう少しお願いしまずぅ~……」
タネツにおぶってもらいながら、ナガレはなんとか息を整える。逆にジョーはあれだけの速度で走りながら、ほとんど息を切らせたりしていない。
「おっ? お帰り、遅かったな……わーっ⁉︎」
「なんじゃアルクル、でかい声出しおって……ふぇぇーーっ⁉︎」
ギルドに入ってきたボロボロの一行を見て、アルクルとレンは相当驚いたようだ。
「な、ナガレ君⁉︎ 装備が所々コゲてるぞ⁉︎」
「何があったのじゃ! ロックホークは討伐出来たかの⁉︎」
「ちょ、ちょっと休ませてぇ……」
冒険者トリオは疲労のあまり、床に倒れ込んでしまった。
「……何があったかは、俺が説明します」
「アックス殿⁉︎ まさかロックホークを手伝ってしもうたのか!」
「いえ……ロックホークを倒したのは、ナガレたちです。俺は何も助けていません。ですが倒した直後にレッドワイバーンが現れたのです」
そうしてジョーは、何が起こったのかを丁寧に説明する。最初は慌てていたレンとアルクルも、だんだん深刻な表情になってきた。
「むぅっ……まさかレッドワイバーンまで現れるとは。事態は想像以上におかしくなっておるんじゃのう」
「レッドワイバーンは火山地帯に生息するモンスターだ。こんなところにいるのはおかしい……ロックホークを追いかけ回していたのも妙だな。火山近くに迷い込んだロックホークをここまで追いかけ回したってことなのか?」
二人して考え込んでいる間に、ようやくナガレが立ち上がった。
「あー疲れた……そうだ、これロックホークの皮です。これで証明になります?」
背負っていたズタ袋から、大きめの皮をアルクルに差し出した。残念ながら所々コゲているが、ほとんどは無事だったようで、新品そのものである。
「ふーん、確かにロックホークの素材だ。マスター、これクエスト達成でいいっすかね?」
「うむ……死体が見つかるか分からんのが心配じゃが……。まあ問題はないじゃろう」
「そ、それじゃあ……」
目を輝かせるナガレ。レンはにっこり笑って、ナガレに小さなバッジのようなものを差し出した。
「うむ! ナガレ・ウエストよ! そなたをこれよりC級冒険者に昇格する! より一層励むのじゃぞ」
「こ、これはライセンスか!」
震えながらバッジを受け取り、スカーフにピンとつけてみる。銅で出来たC級ライセンスは、心なしかピカピカに光って見えた。
「やった……いーやったぁーーっ!」
ついに喜びが爆発して、ナガレは完全復活! その勢いのままジョーに飛びついた!
「ぐわっ⁉︎」
「どうだどうだジョーっ! オレもCランクだぞーっ! あと三回でお前に追いつくんだーっ! わーっはっはっはっは~!」
「く……フフッ、そうだな……」
ジョーは少し嫌そうな表情だったが、ナガレを拒絶することはなかった。彼もまた、努力の成果を認めているのかもしれない。
「よぉっしよくやったナガレ! こりゃ昇格を祝って酒盛りだな!」
「え、タネツ奢ってくれるの~⁉︎ 私なんにもしてないのに悪いわね~」
「え、いやそんなこたぁ一言も……」
「マジっすか⁉︎ ゴチになりまっす!」
タネツが何かいう前に、ナガレとヒズマに手を引っ張られていく。
「ジョー! おめーも来いよ! タネツさんが奢ってくれるってさ!」
「だからそんなこと言ってねぇよ~っ!」
「あはははははは~っ!」
そう言ってギルドを出ていく一向。その姿を見送りながら、ジョーはマスクの下で微笑んだ。
(……フッ、たまにはこんなのも良いか……)
そう心中で呟いて、その後を歩いて追いかける。真っ赤な夕陽を浴びながら、一行は酒場へ歩いていった。
1
あなたにおすすめの小説
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
捨てられた前世【大賢者】の少年、魔物を食べて世界最強に、そして日本へ
月城 友麻
ファンタジー
辺境伯の三男坊として転生した大賢者は、無能を装ったがために暗黒の森へと捨てられてしまう。次々と魔物に襲われる大賢者だったが、魔物を食べて生き残る。
こうして大賢者は魔物の力を次々と獲得しながら強くなり、最後には暗黒の森の王者、暗黒龍に挑み、手下に従えることに成功した。しかし、この暗黒龍、人化すると人懐っこい銀髪の少女になる。そして、ポーチから出したのはなんとiPhone。明かされる世界の真実に大賢者もビックリ。
そして、ある日、生まれ故郷がスタンピードに襲われる。大賢者は自分を捨てた父に引導を渡し、街の英雄として凱旋を果たすが、それは物語の始まりに過ぎなかった。
太陽系最果ての地で壮絶な戦闘を超え、愛する人を救うために目指したのはなんと日本。
テンプレを超えた壮大なファンタジーが今、始まる。
ブラック企業で心身ボロボロの社畜だった俺が少年の姿で異世界に転生!? ~鑑定スキルと無限収納を駆使して錬金術師として第二の人生を謳歌します~
楠富 つかさ
ファンタジー
ブラック企業で働いていた小坂直人は、ある日、仕事中の過労で意識を失い、気がつくと異世界の森の中で少年の姿になっていた。しかも、【錬金術】という強力なスキルを持っており、物質を分解・合成・強化できる能力を手にしていた。
そんなナオが出会ったのは、森で冒険者として活動する巨乳の美少女・エルフィーナ(エル)。彼女は魔物討伐の依頼をこなしていたが、強敵との戦闘で深手を負ってしまう。
「やばい……これ、動けない……」
怪我人のエルを目の当たりにしたナオは、錬金術で作成していたポーションを与え彼女を助ける。
「す、すごい……ナオのおかげで助かった……!」
異世界で自由気ままに錬金術を駆使するナオと、彼に惚れた美少女冒険者エルとのスローライフ&冒険ファンタジーが今、始まる!
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる