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第七話 剣を手にしたスナイパー
ヒズマの苦しみ
しおりを挟むオレンジ色の夕日に照らされたナガレとヒズマは、まるで母親と娘……じゃなくて息子のようだ。
「私ね……これを見てほしいの」
そう言ってヒズマは一枚の紙をナガレに渡す。
「ん? なんすかこれ、誰かへのラブレター?」
そう思ったナガレが遠慮がちに開けてみると……それはヒズマの新しいステータスだった。
「五日くらい前、私もスキル鑑定屋さんに行ってみたの。自分がどのくらい強いのか、確かめたくって。でも全然強くなくて……」
「はぁ、どれどれ……」
~~~~~~~~~~~~~
氏名:ヒズマ・トーネトラ
武器:ロングソード
技能鑑定:
体力C-
攻撃B
防御D-
魔力C-
魔法防御C
素早さD+
所持スキル:
遠距離強化
弱点アップ
~~~~~~~~~~~~~
「……そんなに弱いとは思えないんすけど」
ナガレの率直な感想だ。しかしその通りで、他のバッファロー冒険者と比べてもそこまで見劣りしていない。(全員のレベルが低いとも言えるが……)
しかしヒズマは「はぁ……」とため息をついた。
「肝心なのはスキルよ。ほらこの『遠距離強化』ってやつ」
「ああ、これがどうかしましたか? 強いスキルじゃないですか……あぁっ!」
スキル『遠距離強化』とは、冒険者が使った弓やブーメランなど投擲武器、いわゆる飛び道具の威力が上がる。このスキルがあれば使いこなせる訳ではなく、それは『弓得意』『ブーメラン得意』など別のスキルがあるのだ。ちなみに魔法攻撃にも別のスキルがあるため対象外である。
そこまで考えて、ようやくナガレは気がついたのだった。
「……それで弓を練習してたんですか」
その言葉に、力無く頷くヒズマ。
そう、今まで彼女が使っていた武器はロングソード。近距離武器ではぶん投げでもしない限り、このスキルの恩恵を受けられない……。
「弓なら私のスキルが乗るからいいと思ったんだけど……私、弓の才能はからっきしみたいなの。どうやっても上手く行かなくて……あの的だって、カスリもしないのよ」
「で、でも、どうして急に? 『遠距離得意』のスキルは前からあったのに、ロングソードを使ってたじゃないですか」
ガラガラマムシ戦の前、ナガレはヒズマのスキルを確認している。その時から『遠距離得意』のスキルは存在していたはずだが……。
「………………その時は、まだ全然気にしてなかったの。これは私が冒険者になった時から付いていた『タレントスキル』だったから、いつか使うかもと思ってそのままロングソードを使ってた」
「じゃあどうして急にそんなこと気にして……」
不安げなナガレの問いに、ヒズマは一瞬俯いてしまう。だがすぐに顔を上げ、まっすぐナガレの方を見た。
「……あなたのため、って言ったら信じる?」
「えっ?」
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