崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

イミヅカ

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第十話 闇を抱える爆音波

騒動の次の日

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~☆~☆~☆~☆~☆~

 こうして次の日。
 すぐに近隣ギルドから回収用の荷車部隊がすっ飛んできて、ハイランドバットの遺体を回収していった。
「なんつーか……そっけなかったなぁ、みんな」
 資材が入った木箱に座り込んで、少し不満げな表情をするナガレ。肘を突いてつまらなそうに足をぶらぶらさせている。
「仕事とはいえ、助かったよ! これで明日も作業を続けられるねぇ」
 そうねぎらってくれたのはヤングさんだけだ。他の作業員さんも口々にお礼を言ってくれたが、特に何かしてくれるというわけでも無かった……。
「……これが依頼なんだ。仕方がないだろう。それに親切はお礼を求めてやることではないぞ」
 近くで空を見ていたジョーが励ましてくれる。ナガレもそれは分かっているのだが、どうにもドライな気がする……というか、なんか扱いが雑かも……。
「あーもうハッキリ言うわい! もうちょっとチヤホヤしてくれてもええんちゃうか⁉︎」
「……なんだその言い方? あと活躍したのはサニーだけだがな」
「うぐっ……い、言い返せない」
 そんなことを話していると、
 カーンカーンカーン!
 突然鐘の音が鳴り響く。作業開始の合図だ。
「さーて、ネガティブ思考は一旦中断っと。作業の手伝いと行くか!」
 木箱からぴょんと飛び降りて、自分の持ち場である資材置き場へ向かうナガレ。ジョーも先に行ってしまったケンガを追いかけ水汲みに行く。

 ……とここで二人は、遠くからやって来る一団を見つけた。
「お、ありゃなんだ? 冒険者みたいだぞ」
 ナガレが指差して、ジョーはじっと目を凝らした。
「……そうだな。いつごろだったか、ヤングさんが『もう一つ冒険者パーティが来る』みたいな事を言っていた。もしかしたらそいつらかもしれない」
「えーと……ちょうど四人だ。おーーーーい!」
 ナガレが大きく手を振ると、みんな駆け寄って来る。何人かはナガレの方を見ては、しきりに顔を見合わせていた。
「……ん? アイツらは……」
 ジョーは目を細める。冒険者たちの姿に見覚えがあったからだ。
「……ナガレ。アイツら、サラマンダーを討伐した際にいた冒険者だ」
「え? た、確かになーーんか見た事あるような無いような……にしてもよく覚えてるなぁ」
「記憶力は良い方でな」

「なんだなんだ、何話してるんだ?」
 動かないナガレたちが気になったのか、タネツたちも集まってきた。ケンガはもう水汲みに行ってしまったので、すぐには戻って来ないだろう。
「ほら、アレ見てくださいよ」
「ん? ありゃ冒険者か」
「ようやく来てくれたのかしら~? でもなんか少ないような……」
 ヒズマが不思議そうに首を捻った所で、向こうからようやく声が聞こえてきた。

「おーーい! メンゴメンゴ、遅れちゃった。ケツカッチンオーバーだけんど許してちょ!」
 それは先頭に立っている小柄な女性だった。何やら独創的な言葉の訛りや方言を感じさせる。残りの四人を放置して、一人で走ってきた。
「メンゴ……ケツカッチン……? が、外国の言葉なのかぁ?」
「……あれは、とある地方の方言です。『メンゴ』は謝罪の意義で『ケツカッチン』は締め切り時期という意味です」
「へぇ~、ジョーって物知りだなぁ」
 一方近寄ってきた女性は、ナガレを見るなり「あー!」と笑顔になった。
 少しボサボサな、おデコ丸出しのショートヘアで色白の肌。体型は少しスリムで膨らみが少なく、スタイリッシュなシルエットだ。汎用的なインナーである鎖帷子装備の上からヒョウ柄の毛皮製腰巻き、胸当て、脛当てをつけた軽量スタイルだ。
「パイセンらが最近ブイブイにチョズイてるケンボー者のムーチーっしょ? サラマンダー倒したとかマジパネェっぽいじゃん!」
 近くまで来た女性は、突然ジョーを突き飛ばしナガレの肩に手を回す。なんだか腕がモフモフしているような……。
「ジョー! ほ、翻訳してくれ!」
「……もう雰囲気で話してくれ」
「あ! ちょ、丸投げしないで!」
「ねえねえ~、あなたたちが来るって言ってた冒険者の方々かしら~? 私たち、バッファローから来た冒険者なの~」
 状況を見かねてヒズマが助け舟を出してくれた。そのタイミングでサニーが「もしもし」とナガレに耳打ちする。
「ナガレさん、頭の上とお尻の方を見てください」
「え? お、おう」
 言われた通りにじっと見つめるナガレ。頭には所々跳ねたアホ毛が生えている。……いや、さっきからピコピコ動いているような?
「……あ! 違う、アレは動物の耳だ! 尻尾もあるぞ⁉︎」
 女性の頭の上にはピンと立てたイヌ耳があった! お尻の上あたりからも、白黒モフモフの尻尾が垂れている。なるほど、さっき肩に手を回された時モフモフしていたのは、前腕も白黒の毛が生え揃っていたからだ。
 ナガレの視線に気付いたのか、女性はにししっと笑って「ちょりーす!」と軽く会釈した。
「あーし、センチア・バナードって言いまーす! イミフなレベチでテン上げ率バリ三だからよろぴく~!」
 獣人の女性センチアは、尻尾をブンブン振りながらお辞儀した。
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