崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

イミヅカ

文字の大きさ
212 / 1,728
第十話 闇を抱える爆音波

驚愕の再会

しおりを挟む

 ……と、ここでまたも「おーーい!」と呼ぶ声が。
(このセリフ、今日はよく聞くな)
 ジョーがそっちを向くと、走ってくるケンガがいた。プンスコ怒りながら突撃してくる姿はなんだか滑稽である。
「おっせーぞジョー! 一体何を話してやがる……」
 ここでヤケに気落ちしたナガレたちと、それを何とか取り持とうとしているセンチアを見て首を傾げた。
「なんだ? 何の騒ぎだ。俺様にも教えろよ~」
 全く周囲が見えていないようだ。説明するのもめんどくさいので、ジョーは黙ってカナたちの方へ顎をしゃくった。
「ったく、相変わらず口数が少ない、ん、だか、ら…………………」
「……ウソ」

 そうしてカナと目が合った瞬間、ケンガからニヤけた笑いが引っ込んだ。

「か……カナ⁉︎」
「ケンちゃん⁉︎」

「……カナ? ケンちゃん?」
「なんと、知り合いでしたか!」
 思わずジョーとサニーは顔を見合わせた。
「え、ダチなん? なんかあーし困惑しててウケる」
「ああ……コイツが前話してた……なんだか頼りなさそうだが……?」
それだけでなくセンチアとダンケも困惑している上、二人同時に名前を叫んだのでナガレたちも思わずそちらを見てしまう。
「え、何?」
「あら、いつの間に増えてたの~⁉︎」
 しかしケンガとカナはそんな周りの様子など関係なく二人で喋っていた。
「か、カナ! お前冒険者になってたのか⁉︎」
「ケンちゃんだって、本当に冒険者だったんだね! 昔は嘘つきで見栄っ張りの『弱虫ケンガ』なんて言われてたのに……」
「お、おい! その話はよせって……」
「昔の事じゃない! うわぁ、懐かしいな~。一緒に遊んだ時のこと思い出すね~」

「なんだよ、二人は知り合いか?」
 流石に気になってナガレが聞いてみた。
「べ、別に俺様はこんなヤツ知らねえよ」
「はぁ~っ、まーだウソばっか。ケンちゃんはあたしの幼馴染なんです。あっ、こんにちは! あた……私カナって言います」
「ああ、オレはナガレ・ウエスト。アンタが次の冒険者?」
「それについちゃ、あーしがメイセツしちゃる!」
 空気をシラけさせた名誉を挽回するチャンスに飛び込んだのは、イヌ耳のセンチアだった。
「実は本来参加する冒険者のティーパー(パーティ)は他のトコだったん! だけどそいつら急に依頼キャンセルしてどっか行っちゃったんよね~。それでウチのギルマスに、あーしらが代わりに言ってくれって頼まれたんよ」
「へぇ~、そうだったのか」
 それなら人数が少なかったのも納得だ。なぜ前の冒険者たちが突然キャンセルしたのか気になるが、とにかく代わりが来てくれてよかった。

「それにしてもケンちゃん、どうしてずーっと村に帰って来なかったの? あたしら地元の冒険者ギルドに着いたのに」
「俺様は……俺はアタカンの、オヤジの苗字に恥ずかしく無い冒険者になりたかった。だから帰らなかったんだ。タイガスでビッグになって、おめーを迎えに行こうと……」
(へぇ~)
(そうなのね~)
(初めて聞いたぞ、そんなの)
 二人の会話を、しれっとみんなで聴いている。そういえばケンガの父親は、昔有名な冒険者だった。
「え、それホントだったんだ。今までずっとウソだと思ってた」
「…………」
 カナにそう言い放たれてしまい、なんとも言えない表情になるケンガ。まあ正直ナガレたちも、あんまり信じていなかったが。
「今はとっても楽しいよ! ダンケとセンチアみたいな仲間もできたし、ケンちゃんも戻ってこれば良いのに」
「え、それはオレたちが困る!」
 あんまりな話に流石のナガレも声を上げた。ただでさえ人が足りて無いバッファロー冒険者ギルドで、新たに抜けられるのはマズイ!
「うわ、ナガレさん? どうしたんですか……」
「今コッチは大変なんだよ。人も金も無くて解散の危機でさ」
 
 そこまで言ったところで……急にダンケがカナの手を取り、ケンガたちから引き離した。
「ほらカナ、ずっと立ち話ばかりではいられまい。ナガレさんたちもやることがあるだろう。俺たちは準備しようじゃないか」
 そう言ってカナの首根っこを掴み、ズルズル引っ張って向こうへ歩いて行く。
「あーもうダンケ……ケンちゃん、また後でね!」
 その状況でものんきに手を振るカナ。
「ウチもイノヘッドでリターンすんわ! そんじゃバイビー☆」
「…………」
 大袈裟に手を振るセンチアと無言で片手を上げるワッカーサも、その後を急いで追いかけた。

 カランカラーン!

「……!」
 と、ここでワッカーサのベルトポーチから水筒が落ちた。硬い地面にぶつかって大きな音を立てる。
「大丈夫ですか? はい、どうぞ……」
 さすがは紳士、サニーがいち早くしゃがんで水筒を取った。それをワッカーサに手渡そうとするが……。

 その瞬間、ワッカーサが突然サニーに低い声で耳打ちした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

薬漬けレーサーの異世界学園生活〜無能被験体として捨てられたが、神族に拾われたことで、ダークヒーローとしてナンバーワン走者に君臨します〜

仁徳
ファンタジー
少年はとある研究室で実験動物にされていた。毎日薬漬けの日々を送っていたある日、薬を投与し続けても、魔法もユニークスキルも発動できない落ちこぼれの烙印を押され、魔の森に捨てられる。 森の中で魔物が現れ、少年は死を覚悟したその時、1人の女性に助けられた。 その後、女性により隠された力を引き出された少年は、シャカールと名付けられ、魔走学園の唯一の人間魔競走者として生活をすることになる。 これは、薬漬けだった主人公が、走者として成り上がり、ざまぁやスローライフをしながら有名になって、世界最強になって行く物語 今ここに、新しい異世界レースものが開幕する!スピード感のあるレースに刮目せよ! 競馬やレース、ウマ娘などが好きな方は、絶対に楽しめる内容になっているかと思います。レース系に興味がない方でも、異世界なので、ファンタジー要素のあるレースになっていますので、楽しめる内容になっています。 まずは1話だけでも良いので試し読みをしていただけると幸いです。

【完結】国外追放の王女様と辺境開拓。王女様は落ちぶれた国王様から国を買うそうです。異世界転移したらキモデブ!?激ヤセからハーレム生活!

花咲一樹
ファンタジー
【錬聖スキルで美少女達と辺境開拓国造り。地面を掘ったら凄い物が出てきたよ!国外追放された王女様は、落ちぶれた国王様゛から国を買うそうです】 《異世界転移.キモデブ.激ヤセ.モテモテハーレムからの辺境建国物語》  天野川冬馬は、階段から落ちて異世界の若者と魂の交換転移をしてしまった。冬馬が目覚めると、そこは異世界の学院。そしてキモデブの体になっていた。  キモデブことリオン(冬馬)は婚活の神様の天啓で三人の美少女が婚約者になった。  一方、キモデブの婚約者となった王女ルミアーナ。国王である兄から婚約破棄を言い渡されるが、それを断り国外追放となってしまう。  キモデブのリオン、国外追放王女のルミアーナ、義妹のシルフィ、無双少女のクスノハの四人に、神様から降ったクエストは辺境の森の開拓だった。  辺境の森でのんびりとスローライフと思いきや、ルミアーナには大きな野望があった。  辺境の森の小さな家から始まる秘密国家。  国王の悪政により借金まみれで、沈みかけている母国。  リオンとルミアーナは母国を救う事が出来るのか。 ※激しいバトルは有りませんので、ご注意下さい カクヨムにてフォローワー2500人越えの人気作    

神様に与えられたのは≪ゴミ≫スキル。家の恥だと勘当されたけど、ゴミなら何でも再生出来て自由に使えて……ゴミ扱いされてた古代兵器に懐かれました

向原 行人
ファンタジー
 僕、カーティスは由緒正しき賢者の家系に生まれたんだけど、十六歳のスキル授与の儀で授かったスキルは、まさかのゴミスキルだった。  実の父から家の恥だと言われて勘当され、行く当ても無く、着いた先はゴミだらけの古代遺跡。  そこで打ち捨てられていたゴミが話し掛けてきて、自分は古代兵器で、助けて欲しいと言ってきた。  なるほど。僕が得たのはゴミと意思疎通が出来るスキルなんだ……って、嬉しくないっ!  そんな事を思いながらも、話し込んでしまったし、連れて行ってあげる事に。  だけど、僕はただゴミに協力しているだけなのに、どこかの国の騎士に襲われたり、変な魔法使いに絡まれたり、僕を家から追い出した父や弟が現れたり。  どうして皆、ゴミが欲しいの!? ……って、あれ? いつの間にかゴミスキルが成長して、ゴミの修理が出来る様になっていた。  一先ず、いつも一緒に居るゴミを修理してあげたら、見知らぬ銀髪美少女が居て……って、どういう事!? え、こっちが本当の姿なの!? ……とりあえず服を着てっ!  僕を命の恩人だって言うのはさておき、ご奉仕するっていうのはどういう事……え!? ちょっと待って! それくらい自分で出来るからっ!  それから、銀髪美少女の元仲間だという古代兵器と呼ばれる美少女たちに狙われ、返り討ちにして、可哀想だから修理してあげたら……僕についてくるって!?  待って! 僕に奉仕する順番でケンカするとか、訳が分かんないよっ! ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい

ベルピー
ファンタジー
☆8月23日単行本販売☆ 気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。 チートを使って楽しみつくすミツヤあらためクリフ・ボールド。ざまぁあり、ハーレムありの王道異世界冒険記です。 第一章 テンプレの異世界転生 第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!? 第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ! 第四章 魔族襲来!?王国を守れ 第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!? 第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~ 第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~ 第八章 クリフ一家と領地改革!? 第九章 魔国へ〜魔族大決戦!? 第十章 自分探しと家族サービス

勇者パーティーを追い出された大魔法導士、辺境の地でスローライフを満喫します ~特Aランクの最強魔法使い~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
クロード・ディスタンスは最強の魔法使い。しかしある日勇者パーティーを追放されてしまう。 勇者パーティーの一員として魔王退治をしてくると大口叩いて故郷を出てきた手前帰ることも出来ない俺は自分のことを誰も知らない辺境の地でひっそりと生きていくことを決めたのだった。

勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました

久遠 れんり
ファンタジー
別の世界からの侵略を機に地球にばらまかれた魔素、元々なかった魔素の影響を受け徐々に人間は進化をする。 魔法が使えるようになった人類。 侵略者の想像を超え人類は魔改造されていく。 カクヨム公開中。

処理中です...