崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

第十三話 スライムパニック

激突！ アイドル対スライム

「ぷゆぷゆ！」
　どっから声を出しているのか、甲高い鳴き声を発するエレメントスライム。危険度C級の同格モンスターだ。その巨体は、味方によっては愛嬌のあるもの……敵としてでなければ、だが。
「どうすんねんコレ！　逃げるん、戦うん⁉︎」
「ヘッ！　どーせコイツがエレメントスライムなんだ……どうせもう一体まとめてやらなきゃならねえんだ！　ここであーしらが冥土へ送ってやるっ。いくぞ、てめぇら！」
　ベアンは不敵に笑って剣を構える。ジーカも刀を抜き、バードも杖を構えた。
「ったく、意味わからんわ。なんでエレメントスライムが紫色やねん。そんな紛らわしいヤツはお仕置きや！」
「ホントッス。カチコチに凍らせて、氷属性のエレメントスライムと一緒にしてやるッス！」
「どうせあともう一体戦うんです。勢いに乗るための噛ませ犬……いや、噛ませスライムにしてやりますっ！」
「よぉし！　オレも張り切って行くぜ！」
　みんな一斉に得物の武器を構えた。
「オレっ娘のレガーナちゃんもカワイイね～♡　よっしゃ！　討伐組ベアン班！　ファイトーッ！」
「「「「おぉーっ！」」」」
　五人のやる気も元気もモーマンタイ。バトルスタートだ！

「ぶるるっ！」
　先制攻撃はエレメントスライム。ブルブル体を振って、体のジェルを飛ばしてくる。飛び散る飛沫に黄色い電撃が迸る……体が帯電している！
「ふんっ！」
　ナガレはマルチスタッフを器用に使って、電気の飛沫を弾き飛ばした。マルチスタッフに一瞬帯電して、手のひらがビリビリッと震える。
　頑丈な異世界人は、電撃をちょっと浴びたくらいではほとんど問題ない。しかしそれでもまともに食らえば麻痺してしまうかもしれない。
「電気属性のエレメントスライムかっ！」
「ちょちょちょ、リーダー！　ウチの防具は電気に弱いんや！」
「おう、無理して攻撃すんな！　普段はあーしの後ろに隠れてろっ」
　パチパチ帯電する飛沫から身を守りつつ叫ぶベアン。バードは魔力のシールドで防御して、フローレンスは距離を取って回避する。
「よし、攻撃が止んだ！　今だーっ！」
　ナガレはマルチスタッフをブンブン振り回して駆け出した。両手で長棒を横に持って、エレメントスライムの体に思い切り突き刺す！
「たぁぁっ！　石猿流棒術・蠍壺(さそりのつぼ)ッ！」
　ドスッ！
「ぷるるっ！」
　狙い澄ました突きの一撃で、エレメントスライムも少し怯んだ。それだけではなく、先端に何か固いものがコツンと当たった気がする。
(んっ、核だ！　もう当たったのか！)
　しかし、帯電するスライムにマルチスタッフを突き刺したことで手がピリピリする……これ以上の追撃はできなかった。
「うひー、手が震えるぅ……」