崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

イミヅカ

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第十三話 スライムパニック

登場・エレメントスライム……?

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 そうして宮殿の二階に上がったころ……。ベアンが突然立ち止まった。
「どうしたんッス?」
「しっ! ……静かに。何か聞こえる」
 ナガレも耳をすましてみると……。

 グチュグチュ……グチュグチュ……。
 壁の裏側から、そんな音がした。

「……なぁこれって……い、嫌やぁ! こんなところでおっ始めるなんて、なんちゅーカップルや!」
「マジッスか! 外でヤるなんて、む、無茶苦茶盛ってるじゃないッスか……」
「え、そうなの? それじゃあちょっと覗いて……」
「んな訳あるかぁっ!」
 ポカポカポカッ!
「……ごめん、ウチが変なこと言うたからやわ」
 つい卑猥なことを想像して、三人まとめてフローレンスに頭を叩かれた。ちょっぴり痛い。
「冗談はさておき、ついにスライムやろなぁ」
「突入して先制攻撃を浴びせるッス!」
「それじゃ、ベアン先輩の号令でいこう! 先輩、お願いします……ってありゃ?」
 振り向くと、そこにベアンがいない。
「あぁ、ベアン先輩ならさっき『あーしも混ぜてぇぇぇぇ~っ!』とか言って突っ込んでったッスよ」
「……あの人、女性が好きなんじゃ?」
「いや違うッス。両方いけるらしいッス」
「そんな話はどうでも良いですよぅ! 私たちも早く行きますよ!」
「せ、せやな! イヤーッ!」
 四人一斉に曲がり角から飛び出した。そのまま壁裏だった部屋に突入する。
 そこは結構広々とした部屋だった。かつての王族の部屋だろうか? 壁や天井の美しい絵画は薄汚れていて、物も全くない。
「あ、先輩!」
 そして目の前に、ベアンが剣を構えて立っていた。こちらに立ち塞がるように殺意をたぎらせている。
「どうしたんッスかベアン先輩? 私たちッスよ」
 怒っているようなので、バードがなだめようとする。だがベアンはカッと目を見開き、そして叫んだ。

「違うッ! 上だッ!」

「え……うわぁっ⁉︎」
「きゃあぁぁぁ⁉︎」
 言われた通り上を向いたナガレたちは、驚いて悲鳴をあげた。
 
「にゅるぷぷぷ…………」
 天井に紫色のスライム……それも、人間の体ほどある大きなのが張り付いていたからだ!
 べちょっ!
 四人を捕捉したスライムは、すぐ天井から離れ落下してくる。
「うわぁぁぁぁぁぁ!」
 咄嗟に飛び退いた四人。スライムは落下の衝撃でぐちゃっと崩れるも、すぐにジェルが集まって体を再構築した。
「な、なんか違わないですか⁉︎」
「ホンマやて! こんなヤツがおるなんて聞いてへんど!」
「ど、どういうこと? エレメントスライムじゃないの?」
 ナガレの疑問に答えたのはベアン。
「ち、違うんだよ! エレメントスライムに、こんな紫色の個体はいないはずだ! 自分が宿してる属性に合う色のはずなのに!」
「えぇーっ⁉︎」
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