崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

第十七話 ハト・スタンピード！

お屋敷

「では兄のところへ案内いたします」
「へ、旦那様？　すいません。オレたちは……あ、オレはナガレ・ウエストっていいます。それで、この地域の領主さまにご挨拶しようと伺ったのですが……」
　するとシャルロットさんは口元だけで微笑んだ。
「はい。私の兄であり領主である、ハーバード・フラー・ブラッドリーです」
「あ、そうでしたか。……うぇぇーーーーっ⁉︎」
　コレには冒険者全員、飛び上がって驚いた！　まさか領主の妹だったとは…….。
(さ、サニー！　お前重罪だぞ！)
(も、もう勘弁してください！　もうしませんから！)
　サニーを睨みつけている間に、シャルロットさんは豪邸の重厚なドアへ向かっていく。白樺でできた大きくてゴージャスな玄関扉だ。
　見張りをしていたタキシード姿の男女が、彼女を見て敬礼する。手には槍を持っており、ソードベルトに弓を背負っている。
「お嬢様、本日はお日柄もよく、何よりでございます。そちらの方は？」
「あ、こんにちは。オレたちはバッファローから来た冒険者です。先のスラガンピジョン大量発生の報告を受け、この村の防衛クエストに来ました。領主様にもご挨拶をと思いまして……」
「はい、かしこまりました！　それでは私たちがご案内いたしますので……」
　タキシードの女性が先導の交代を申し出たが、シャルロットはそれを断った。
「いいえ、彼らは大切なお客様です。彼らは村の暮らしを守ろうと来てくださいました。村の損失は我らブラッドリー家の損失……その意味がわかりますか？」
「は、はい、かしこまりました」
　タジタジになって敬礼するタキシードの二人。
「ですが規則ですので、念のため武器は預からせていただきます」
　そう言うとすぐに家の中から、シンプルなメイド服を着た女性従業員が扉を開けてやってきた。提示された様々な大小様々なアタッシュケースに武器をしまう。
「あの、大丈夫っすか？」
「は、はいぃ。問題なくぅ……ッ」
「ご、ご心配なくっ……！」
　……タネツのタワーシールドはケースに入れられる代物ではなく、メイドさん二人がかりで顔を真っ赤にしながらヨロヨロと運んでいった。

　家の中も相変わらずゴージャスだった。汚れ一つない真っ白な壁に赤いカーペット、そこら中に高そうな絵が飾ってある。
「ひえぇ～、まるで王宮だよ」
「ナガレさん、王宮に行ったことあるんですか？」
「いや、ないけど。でもこんなイメージじゃない？　こういった高そうなツボがあってさぁ……」
「それは三ダラーの花瓶です。私が育てた花をよく植えているんですよ」
「は、はぁ。そうですか……」