崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

第十七話 ハト・スタンピード！

教えたかったこと

「ええっと、つまり？」
「イビル教団は突如行方をくらましたと言うことです。もしかしたら、どこかで何かの準備をしているのかも……」
「そっか……おっかないなぁ」
　自分たちの見知らぬところで脅威が動いていると言うのは気持ち悪い。
「そしてあなたも知っての通り……数年前、教祖が突然何者かによって暗殺されたことで、イビル教団は消滅したかに思われました。ですが……」
「最近になって、その痕跡がいっぱい出てきている、と。なんとなく分かってきたぞ。サニーはオレに『気を引き締めろ』って言いたかったんだな」
「…………」
　サニーは一瞬「は？」とでも言いたげな目つきになった。すぐ正常に戻ったが。
「……はい、まあそれもありますが。ですがそれ以上に、奴らの悪事を早急に突き止めなけれべなりません。私も協力を惜しまないつもりです」
「サニー……お前って、結構アツいエルフだったのか。正直最初は知らなかったよ」
「フ……どうでしょうかね」
　疑うことを知らない、お人好しなヤツ……サニーは心中で毒吐いた。だが、不思議と悪い気はしなかった。

「……ナガレさん」
「お、どうした？」
「あなたからみて、私は変わって見えますか？」
「なんだ急に変なこと言って。うーーーーん、どうだろうな……」
　いざそうやって聞かれると、ナガレもすぐに答えられない。しばらく腕を組んで考え込む。
「……まぁ、オレからすりゃ変わったように見えるぜ」
「ほう、そうですか」
「おう！　あのさ、気ぃ悪くしたら悪いんだけど、サニーって初めて会った時はどっかよそよそしかったよな。オレたちのやる事全部興味なさげで」
「そう見られていましたか。ははは、面目ないです」
　サニーは静かに笑った。つられてナガレもニヤッと笑う。
「へへ、まあな。でも最近はその『我関せず』っていうスタンスが減ってきた気がする。サニーもバッファローに馴染んでくれて良かったよ」
「……そうですかね」
　するとサニーは突然そっぽを向いてしまう。……恥ずかしがるというより、何かを隠しているように見えた。
「……？　あ、そうそう。バッファローに帰ったらさ、良かったらサニーもオレたちと一緒に特訓しようぜ！　今までずっと見るだけだったじゃん。オレさ、それでタネツさんたちともメッチャ仲良くなったんだ」
「……そうですね。考えておきましょう」
「考えるだけじゃなくって、やろうぜ特訓～！」
「はいはい、分かりましたよ」
　そう言って立ち上がるサニー。
「……ではそろそろ帰りますか。これだけ釣れたら大丈夫でしょうか」