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第十九話 禍のエースストライカー
オオカミとエルフの激闘
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だがそれを見ていると、同時に不安も感じるのはなぜだろうか。
(僕がケンガと過ごした時間は長くはない。だけどこれだけはきっとそうだ。……己の強さを、己の存在を他者に誇示しようとする事。そして、たとえ虚勢だろうと後ろ指を指されようと、自分の弱さを隠そうとする事。……それはケンガの大きな弱点だ)
そこまで思考を巡らして、マックィーンは「ふぅ……」とため息をついた。
「ん? ケンガっち、どこへ行くんだろ」
カナの頭をポンポン撫でていたセンチアがそれに気づいたが、カナもダンケも気にする様子はなかった。
(だからこそ、放ってはおけない。それにエリートゴースト一体なら、僕とケンガで大丈夫だろう。村のあちこちで待機させてるドルーシバのみんなは連れて行かなくても良いか)
「んだよ、どうしたリーダー。引き返すなら止めやしねえぞ」
「い、いやいや。そんなことしないさ。はっはっは、ケンガにだけ手柄を独り占めさせないぞぉ~」
とぼけた様子でケンガの隣を歩くマックィーン。
だがこの選択は、とんでもない窮地を作り出すことになる……。
~☆~☆~☆~☆~☆~
一方、まだ戦い続けるサニーとワッカーサ。静かな夜に、金属がぶつかる喧しい音がこだまする……。
ガキィン! キィン! ギリギリギリ……ドガァッ! パキィッ! カァン!
「ハァァァァァッ」「ぐぉぉぉぉっ……!」
ブンッ! キィンッ!
サニーのエルドラサーベルは、眩しいくらいに白く激しく美しい光を纏っている。それを縦に横に斜めに、怒涛の勢いで振り回す。
「ハァッ!」
ジャキッ!
「くそ……ぐぅっ!」
光の刃で横腹を刺されうめくワッカーサ。オーバーヒート寸前の聖属性魔力エネルギーは、ライカンスロープの護りを貫通して皮膚を切り裂く!
「ここだ!」
シャキーンッ!
「ぐぁぁっ⁉︎」
なんとか防御したワッカーサだが、サニーはなんとそのまま剣を押し込み強引に切りつけた! 胸にバッサリとした、コゲたように真っ黒な傷跡ができる。ワッカーサもヨロヨロと数歩後ずさった。
「ば、バカな……」
すでにワッカーサの体中には、焼けこげたような切り傷の痕がたくさんあった。どれもこれも全て、光の刃で斬られた痕だ。
「くっ、はぁはぁっ……」
しかしサニーもまた体中傷だらけ。艶やかで美しいポニーテールの黒髪には、返り血が出血か分からないような血がべったりとついていた。
「これで終わりだ! イビルキラーっ!」
サニーはまたも剣を高々と掲げる。すると光がぼんやりと輝き、白い稲妻を纏う!
(僕がケンガと過ごした時間は長くはない。だけどこれだけはきっとそうだ。……己の強さを、己の存在を他者に誇示しようとする事。そして、たとえ虚勢だろうと後ろ指を指されようと、自分の弱さを隠そうとする事。……それはケンガの大きな弱点だ)
そこまで思考を巡らして、マックィーンは「ふぅ……」とため息をついた。
「ん? ケンガっち、どこへ行くんだろ」
カナの頭をポンポン撫でていたセンチアがそれに気づいたが、カナもダンケも気にする様子はなかった。
(だからこそ、放ってはおけない。それにエリートゴースト一体なら、僕とケンガで大丈夫だろう。村のあちこちで待機させてるドルーシバのみんなは連れて行かなくても良いか)
「んだよ、どうしたリーダー。引き返すなら止めやしねえぞ」
「い、いやいや。そんなことしないさ。はっはっは、ケンガにだけ手柄を独り占めさせないぞぉ~」
とぼけた様子でケンガの隣を歩くマックィーン。
だがこの選択は、とんでもない窮地を作り出すことになる……。
~☆~☆~☆~☆~☆~
一方、まだ戦い続けるサニーとワッカーサ。静かな夜に、金属がぶつかる喧しい音がこだまする……。
ガキィン! キィン! ギリギリギリ……ドガァッ! パキィッ! カァン!
「ハァァァァァッ」「ぐぉぉぉぉっ……!」
ブンッ! キィンッ!
サニーのエルドラサーベルは、眩しいくらいに白く激しく美しい光を纏っている。それを縦に横に斜めに、怒涛の勢いで振り回す。
「ハァッ!」
ジャキッ!
「くそ……ぐぅっ!」
光の刃で横腹を刺されうめくワッカーサ。オーバーヒート寸前の聖属性魔力エネルギーは、ライカンスロープの護りを貫通して皮膚を切り裂く!
「ここだ!」
シャキーンッ!
「ぐぁぁっ⁉︎」
なんとか防御したワッカーサだが、サニーはなんとそのまま剣を押し込み強引に切りつけた! 胸にバッサリとした、コゲたように真っ黒な傷跡ができる。ワッカーサもヨロヨロと数歩後ずさった。
「ば、バカな……」
すでにワッカーサの体中には、焼けこげたような切り傷の痕がたくさんあった。どれもこれも全て、光の刃で斬られた痕だ。
「くっ、はぁはぁっ……」
しかしサニーもまた体中傷だらけ。艶やかで美しいポニーテールの黒髪には、返り血が出血か分からないような血がべったりとついていた。
「これで終わりだ! イビルキラーっ!」
サニーはまたも剣を高々と掲げる。すると光がぼんやりと輝き、白い稲妻を纏う!
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